米長期金利上昇!ドル買い/ドル売りの2面性?
NY市場では米長期債が続落、利回りが急上昇しており、米財政難及び住宅ローン関連に対する懸念から、NYダウは一昨日の大幅反発を帳消しする形で反落に転じている。長期債利回り上昇には数多くの要因があるが、基本的には一連の景気対策から発した過剰国債発行計画に尽きるが、同時に米国債格下げ論争が先行し、市場の信用度が薄れている結果でもある。米10年債利回りが3.7%前後から更に上昇する可能性も帯びているが、今後も金融機関への資本注入やゼロ金利及び金融緩和政策に支障をきたすことも指摘されており、これからの上昇は限定的と見るのが妥当であろう。そして、格付け会社S&Pに代わって、ムーディズ社が米国債は安定的と評価した影響があるが、昨日の米5年債の入札が2年債に続いて好調であったように、金利面での優位性を窺わせる状況である。一部メディアでは米経済の回復には悪い金利上昇と捉えられているが、反面、機関投資家やヘッジファンドにとってはキャリトレードの対象として魅力的な金利レベルとも言えるだろう。そして、ドルの過剰流動性を冷やす意味において、ドル債入札は順調に推移すると思われる。とは言え、景気低迷下の金利上昇は米経済の本格的な回復見通しを遅らせることは間違いないであろう。
本日は株価急落によって、ドルを買い戻す動きが大勢を占めているが、米経済のファンダメンタルズから判断すれば、積極的にドル買いを継続する難しさがある一方、ユーロは独消費者物価指数の悪化を受けて、ユーロが再び軟調な動きに転じているが、ECBは流動性供給策が有効に作用しないならば、ECBの600億ユーロのカバードボンド買い入れを市場の動向次第で規模拡大を検討する可能性を述べており、米国と同様に財政状況は一段と圧迫されているのが現状である。そして、ECB理事による追加利下げの 可能性を示唆したことがユーロ売り、ドル買い優勢となったが、ユーロ債と米債利回りの逆転現象の可能性が視野にあるだけに、中長期的な運用ポートフォリオとして、一時的にもドル買いニーズが高まる可能性があるだろうが、市場はリスク回避優先の相場展開が予想されるため、ドルが加速的に買われる状況ではなく、戦略的にはドル円96円前後でポジションを一旦清算する必要性があるが、ドル円95円前後の買いと96円台前半の売りで対処することを勧める。ユーロドルに関しても、原油価格の上昇懸念があり、下値は限定的と判断し、1.38割れからの押し目買いと1.39台で売りを模索することを勧める。
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