クロス円押し目買い好機!接近中?
株式市場は軟調に推移しているが、日経平均9,000円割れを意識させる展開ではなく、株安円高は限定的になりつつある。
昨日、ガイドナー米財務長官は議会証言で7月上旬までに金融機関の最大95兆円の不良債権買い取りを本格化すると発表。買い取り原資は政府と民間100社の合同ファンドで行う予定を明らかにした上、TARPの残り資金は1237億ドルと公表している。 既にバーナンキFRB議長が金融機関は潰さないと発
言、当面の財政難に一応のメドがついた形からリスク懸念が後退し、リスク回避のドル買い要因が萎えている相場展開である。
FOMC議事録では長期国債買取り拡大の必要性を示唆したことから、長期債利回りが低下し、そして、米経済の取り巻く環境は厳しく、09年度の景気後退はより深く、10年度の回復は一層緩やかになる文言が織り込まれている。そして、想定通りに失業率の上昇が見込まれており、相対的に弱い内容が露呈されたことから、一段とドル売りが進行している。さらに、原油価格が大幅な在庫減少に伴い6か月ぶりに62ドル台まで上昇するなどドル全面安の状況を作り出している。
一方、ECBは更なる緩和措置拡大観測が根強く、前回決定された600億ユーロのカバードボンド(担保付債券)の購入拡大が報じられているが、ユーロ自体に強い買い材料は乏しい中、ユーロドルは不安定な上昇局面を迎えている。
一部では原油価格の上昇基調が早まり、夏季シーズンに向けて需要の高まりから、早くも70ドル前後の観測も浮上、ロシアの外貨準備高がドルからユーロドルにシフトされているように、中期的にはユーロドル1.4000を視野に入れる必要があるだろう。
いずれにしても、世界経済の景気見通しがかなり曖昧なだけに、株価の不安定な動きに左右されがちであり、ドル主体の乱高下が避けられない情勢にある。
戦略的にはドル全面安の状況から、クロス円の上値は抑えられているが、対ドル相場を重んじるよりは円相場に焦点を当てて臨むことが賢明であろう。もう一段の円高局面では少なめからの押し目買いに妙味が生じており、ドル円94円前後からの押し目買いと同時に、ユーロ円130円割れと豪ドル円73円割れを待ってから始動することを勧める。ユーロドルに関しては、ポンドの上昇が急なだけに、レンジ幅を拡大し、1.37割れのロングと1.3900台のショートをイメージして臨むことを勧める。さもなければ、市場が落ち着きを待ってから始動が正解であろう。