米経済再び揺らぐ!ドル円95円=ユーロドル1.35の基準相場?
4月米小売売上高が予想を下回り、3月も下方修正され、2カ月連続の減少となったことから景気不安が再燃、小売業の業績悪化と共に消費者の購買意欲が萎えている。NYダウは金融株を中心に大幅な下落するなど、市場ではリスク許容度が低下する中、再び安全資産買いの思惑からドルが強含み、円買いの動きが強まっている。背景には雇用情勢の悪化があり、先の米失業率8.9%が10%に向かうことが大勢であり、消費意欲の減退が顕著に表れている。ただし、株式市場に対するセンチメントは健在であり、オバマ政権の諸々の景気対策によって、失望売りは限定的であり、NYダウ8,000ドルを維持できる見方が多数を占めている。
一方、輸出依存体質の日本経済としては、ドル円95円が大きな分岐点になると思われるが、世界的な景気後退観測が進行すれば、各国が自国通貨安を望む声は少なくない。ユーロ圏諸国においても直近の過度のユーロ高を歓迎していないが、ユーロ圏の3月鉱工業生産(前年比)が1990年調査開始以来の最大の落ち込みとなったこともあるが、日本サイドがドル円95円を固執するならば、ユーロ圏側の目安をユーロドル1.35を基準とすることも一考であろう。
その中で、米国債の格下げ問題が報じられているように基軸通貨に対するドルの信認が揺らいでおり、上記レベル(ドル円95円、ユーロドル1.35=ユーロ円128.25円)を基準点とした上で、ある程度の乱高下をイメージした売買戦略を見出すことが賢明であろう。
戦略的には、短期的な株式市場の過熱感が終了しており、過度な円高期待を自重することを勧めるが、株式主導の為替相場が薄れているとは言いながらも、現状の流れを重視して、ドル円95円割れからの押し目買いと96円台の売りで対応することを勧める。ユーロドルに関しても、1.35割れからの押し目買いと1.36台半ば以上の売りで待機策を勧める。