ストレステストのドル買い短命?
FRBがストレステストの結果を明日8日(日本時間午前6時)に発表する見通しであるが、複数のメディアによる事前観測が錯綜している中、JPモルガン、ゴールドマン、そして、モルガン・スタンレーなどの資本増強は不必要、一方、資本増強の必要とされる金融機関はバンカメの350億ドル、シティの100億ドル、ウェルズ・ファーゴの150億ドルが有力視されている。他方、バンカメを筆頭にして、資本増強の必要な米大手銀行は優先株を普通株に転換すれば資本増強は必要なくなると報じられるなど最悪とも言われているバンカメが無事通過する確率が高まっており、他の金融機関も概ね通過する見通しが拡大している。
他方、ストレステストの査定基準の甘さが指摘されており、第2四半期(4〜6月)以降の決算をみるまでは予断を許せないのが実情であろうが、NY株式市場は金融株を中心に堅調は維持されており、同時に昨日のADPによる雇用情勢の改善や原油価格の上昇が株高期待を増幅させている。
株高円安に大きな変調は見られていない状況であるが、総じて、株と為替の関連付けが稀薄になりつつあることも否定できず、ドルロングに分がある相場展開をイメージして臨むことを勧める。
明日の米失業率は9%に迫る情勢は避けられない状況であるが、ADPの想定外の結果が株高にも寄与しているが、米4月非農業部門雇用者数が60万人割れの状況も考慮しなければならず、ドル買いに弾みがつく可能性がある。
今晩はBOE政策金利発表と欧州中銀金融政策発表があるが、英金利は据え置きが予定されているが、直近のポンド上昇に一服感が生じている。同時に、ユーロ金利は0.25%の利下げをトリシェECB総裁が言及しているが、格付け会社S&Pが5行のドイツ地域金融機関を格下げしたこともユーロドルの上値の重さに繋がっている。そして、スイス中銀総裁がスイスフランの上昇に歯止めをかけるために為替を介して行動すると言及しており、欧州通貨全般に重石になっている。
相対的には株高期待を反映して、ドル高要因が増殖されているが、懐疑的なストレステストの結果を控えて、市場全般にリスク回避の動きは顕著であり、一方的なドル買いには繋がりにくい相場展開である。戦略的にはドルの下値を堅調と判断して、ドル円98円割れの買いとユーロドル1.33台半ば以上の売りを勧めるが、同時に戻り売りにも焦点を定めることが賢明であり、ドル円99円台半ばの売りとユーロドル1.32割れの買いを勧める。