機関投資家買いニーズ顕在!クロス円押し目買いに妙味有?
昨日発表された米地区連銀経済報告書(ベージュブック)は低水準ながら経済活動が安定した兆候があると言え、米経済回復には程遠い状態である。しかしながら、昨日のNY連銀製造業指数やNAHB住宅市場指数等が改善したこと受け、景気後退懸念が緩和されており、NYダウが再度8,000ドル台に回復しており、素直に株高円安局面と見るべきであろう。
一方、米政府は5月に銀行のストレステスト(健全性審査)の結果を一部公開し、ストレステストの公開で透明性を確約する旨を発表しており、一連の米金融機関の決算の真意を正す目的と思われるが、今後の米金融機関の決算に紆余曲折が生じることが予想されるが、しばらくは、米経済の不確実性に右往左往させられる株式と為替市場ではあることは否めず、ポジションを中期的に構築できない環境である。
本日からは注目の米金融機関JPモルガン・チェースの決算発表が控えており、先のゴールドマンに続いて好結果を得られるかが注目されるが、依然として、米金融機関に対する懐疑的な見方が燻っているが、結果の良し悪しにかかわらず、ドル買いが加速する状況ではなく、ドルの戻り売りに焦点を当てて臨むことが賢明であろう。
相対的に米経済指標は一部改善されている一方、ユーロ経済指標全般に改善見通しが欠如しており、景気対策遅れが明暗を分けている。ECBの利下げが秒読み段階にあり、ユーロドル離れが起こりやすい状況は否めないが、ユーロドル1.3000割れを見せる環境ではなく、基本的にはユーロドルの戻り買いに妙味が生じている。他方、ユーロ売りに伴いポンドが強含んでいるが、英経済に対する懸念は根強く、一過性のユーロポンド売りと見るべきであろう。
クロス円が再び上昇局面にあるが、本邦機関投資家は極端な円高局面では強いサポートになっており、キャリートレード的な発想が蔓延しつつある点に注意すべきである。当面、ドル円98円、ユーロ円130円、そして豪ドル円70円が底値圏に近く、過度な円高局面ではクロス円ロングを一考すべきであろう。
戦略的には繰り返しになるが、98〜100円のボックス圏相場を尊重し、ドル円99円割れからの押し目買いと100円前後での利益確定売りで臨むことを勧める。ユーロドルに関しても、1.3150〜1.3350のレンジ幅で売買志向を強めることが肝要であり、1.32割れからの押し目買いと1.3350前後の売りで対応することを勧める。