米経済楽観論先行!米ドル表裏一体?
昨日はガイトナー米財務長官がSDR(特別引出権)を世界的な基準通貨とする中国の提案に対して、ドルの価値をめぐる中国の懸念は「理解できる」と発言したことを受けて、ドルが売られる局面があったが、そ後、ドルの強さと基軸通貨としての役割は変わらないと言及したことで、ドル売りが一服するなど、為替市場は神経質な展開を見せている。イエレン・サンフランシスコ連銀総裁が述べているように、中国の外貨準備に関する「興味深い」が現実的ではないと言うのが本音であろうが、米政府としては、米国債を大量に抱える中国政府からの提案でもあり、無下に否定できない裏事情があるだろう。
昨日の米経済指標は2月耐久財受注や注目の(米) 2月新築住宅販売件数も増加と軒並み予想を上回る結果と、直近の米経済指標の改善と共に、弱冠サプライズ的な要素が加わり、株式市場の堅調がドルの下支えする可能性があるが、他方、米国債5年物入札が不調に終わり、一部では今後の経済支援が枯渇する危険性まで報じられている。まだまだ予断を許せない状況は否めない。
一方、昨日は相対的にユーロが堅調であるが、英小売統計の悪化や英国債入札の不調などが重なり、ユーロ買いポンド売りの様相を呈しており、ユーロドルの押し上げ要因にもなっている。市場は総じて、対ドル相場に注視しがちだが、ユーロドルの上昇時にはポンド売りやスイスフラン売りが付随する局面が多々あり、対ドル相場だけではユーロドルの強弱を測る難しさが生じている。
いずれにしても、ドルおよびユーロドルの迷走が続いている以上は、円自体にこう着感があり、現状では積極的なポジションが取りにくい状況は否めない。当然、投機筋の思惑売買もポジションの手仕舞いが早まっているため、ボックス圏の短期トレードに専念せざるを得ない外部環境である。
戦略的には主要3大通貨がレンジ相場の域を脱していない状況であり、本日はドル円97円割れの買いと98円台半ばの売り、そして、ユーロドルは1.35割れから押し目買いと、1.37前後の売りで臨むことを勧める。