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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

クロス円に底打ち感有リ!反発に注意?

米金融安定化策が具体性に欠けており、期待感から失望感にさらされたNY株式市場は再び急落状態にある。官民で不良債権買い取りファンド設立(1兆ドル規模)の計画が発表されてはいるが、買い取り価格は依然として不透明な状態であると同時に、民間出資者の有無、設立時期などが問題視されており、リスク回避の動きが再燃している。昨日は急落の反動もあり、NY株式市場は3日ぶりに上昇に転じているが、米経済指標の悪化と米企業の決算悪化が避けられず、株式市場の低迷が余儀なくされている。他方、原油価格は需要の悪化を背景に続落傾向を見せており、1バレル30ドル説も報じられている。そして、米債券利回りは急速に利回りが低下しており、
リスク回避の動きが顕在化している。状況的にはドルを買い上げる材料は乏しく、中期的にはドルショートに分がある相場展開であるが、他方、欧州圏ではECBのゴンザレスパラモ理事が「2%は最低の金利ではない」と述べ、同時に、シュタルクECB理事がユーロ圏のインフレ率、年央にゼロ%に近づく可能性を示唆し、3月の会合で追加利下げの余地は疑いなくあると述べていることがユーロの押し下げ要因になっている。
又、英国経済の後退観測が更に進んでおり、ユーロ圏以上に、デフレ経済に陥る可能性を指摘されており、追加利下げも含めて、ポンドに対する過大評価売りが散見されている。そして、豪州経済も雇用情勢の悪化により、さらなる利下げが想定されており、どの通貨も買い材料が見当たらないのが現状である。

米財務当局からは今週末のローマG7では為替が協議される見通しであるが、日本も含めて、各国が自国通貨安を望んでいる状況であり、株式相場を睨んだ展開ではあるが、為替相場の迷走が避けられない情勢である。相対的には投機筋の突発的な仕掛けが生じやすい外部環境である。
戦略性を構築する難しさがあり、基本的には待機策で様子見が正解であろう。消極的な戦術にはなるが、動きが生じてからの始動が賢明であるが、クロス円の下げ余地が限定的であり、売りを自嘲したいう局面である。いずれにしても、通常よりもレンジ幅を拡大して臨むことが賢明であり、ドル円は89円台半ば前後の買いと91円以上の売りを勧める。一方、ユーロドルはロシア及び東欧諸国のリスク債務拡大が報じられており、下値懸念があるが、1.2750〜1.3000のレンジ幅で臨むことを勧める。



プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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