日銀介入が視野に?<ドル円85円>
FRBが実質ゼロ金利政策を打ち出したことにより、明日の日銀金融決定会合に焦点が向けられている。米国追従型のゼロ金利政策に移行する可能性が煮詰まっており、日米の金利逆転現象も三日天下の様相を強くしている。日銀としては、再びゼロ金利政策に逆戻りすることは金融調整の意味合いでも歓迎されない局面である。しかし、輸出企業の不振が加速的に悪化している矢先だけに、円高を阻止するためにも苦渋の選択にならざるを得ないが、0.3%から利下げ効果は期待できず、円高に拍車を欠ける嫌いさえあり、ジレンマに陥っているのが現状かもしれない。
となれば、2004年3月以来の日銀介入操作が視野に入り、85円前後からの介入を考慮した戦術が求められるだろう。しかしながら、米国が不況脱出にはある程度のドル安円高局面も必要であり、日銀との協調介入の見込みは限りなく乏しく、どうしても単独介入にならざるを得ないだろう。
補足的になるが、過去の介入経緯から判断すると、日銀はドルを単に買い支えるだけではなく、ドル円を2円ほど買い上げる手法で臨んでおり、介入当初は円安に振れるであろうが、持続性のある介入操作ではなく、翌日には逆に売り込まれる確率が高い介入操作を実施している。
ちなみに、当時、110回ほど介入を試みた内、2円ほど上昇した経緯は27〜28回程度あるが、さらに円安になったことは僅か2回しか記録されていない。
要は介入の成功率は極端に低く、介入後の逆張りに妙味があると言えるだろう。ただし、今後、介入操作が実行されたとしても、当時のドル円レベルの相違や世界経済の低迷もあり、当時の介入操作とは比較にはならないだろうが、潜在的な手法は変わりようが無いと思われる。とりあえずは、慎重を期す意味でも介入操作の出方を検証してから始動することが賢明であろう。