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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドルの強弱が右往左往、難解な相場展開へ!

●今週の見通し
今週は日米欧経済の後退観測が鮮明になっている中、各国金融政策が発表される。 米国では15-16日のFOMCで追加利下げに踏み切るとみられているが、今週は、オーストラリア、ニュージーランド、英国、そして注目のユーロ金利の大幅な利下げが見込まれるだけに、各国要人発言次第では一喜一憂する相場展開が予想される。(ECBは0.5%もしくは0.75%、英国は前回の1.5%の利下げに続き1%の利下げ予想)
先に中国が大幅な利下げも実施されており、各国の協調利下げを好感した株式市場の底打ち感も浮上しているが、反面、米国では個人消費の低迷が懸念されている中、今週からは消費全体の4割に匹敵するクリスマス商戦がスタートしており、米株式市場においては、依然として、リスク回避の動きが強まる可能性がある。
明日2日には米自動車業界GMの再建策が提示される予定であるが、米国の威信にかけてもGM破綻という選択肢はないであろうが、引き続き、米株式市場の動向を睨んだ相場展開にならざるを得ない状況であろう。
週末には米雇用統計が控えているが、市場では失業率の悪化に伴い、非農業部門雇用者数の減少が浸透しており、市場への影響は限定的になるであろうが、ドル売り材料が週末に待ち構えているだけに、ドルの上昇も限定的と判断し、市場のコンセンサスと同様に、ドルも戻り売りに妙味が生じるだろう。他方、市場のセンチメントは金融危機から実体経済に移行しているが、各国から相次ぐ救援策が打ち出されているが、これまでのリスク回避の動きが徐々に収束に向かうか、それとも加速するかが不透明な状況である。そして、年度末に向けての資金繰りを含めて、今までの投資対象であった低金利のドルと円の流動性が大きく変わる可能性を残しており、金融システミックリスクの影響も含めて、予断が許せない状況には変わりがない。
いずれにしても、これほどまでに多種多様な変動要因が集中している以上、ありとあらゆる材料に翻弄させられる相場展開が予想されるだけに、今週の為替相場は難易度の高いプロ向きの相場でもある。動きを待ってからの参加が賢明であり、控えめなトレードに専念することが一考であろう。
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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年11月30日(日)
先週はチャート上ではドルが過大評価の様相を見せていたが、週初めからドルは下げに転じており、一時ユーロドルは1.25台から1.300台にまで上昇したにもかかわらず、週末にかけては急速に上げ幅を縮小しているように、ドルの強弱が狭いレンジ幅で右往左往しているのが現状である。日足チャートでは弱いドル売り、反面、週足チャートでは弱いドル買いシグナルを形成しており、ドル自体の方向性を探る段階に突入している。 一方、オセアニア通貨裁定取引においては、強い売買シグナルは発生していないが、相対的な円高の進捗度合いから判断すれば、平均乖離幅の基準である10円前後でも、豪ドルショート/NZドルロングに妙味が生じている。リスク限定であれば12〜13円前後からの始動が賢明であろう。
HP新外為の森http://www.justmystage.com/home/kentish/
注:ペットチャートはご覧いただけませんのでご了承ください。


▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.000 現状乖離幅 −0.0343→−0.0371⇒ドル円95.50円
A)1÷ユーロドル1.2691=0.7880(B)100÷ユーロ円11.20=0.8251
(A−B=−0.0371)
98円台から段階的な円高傾向にあるが95円台では膠着感を強めている。 チャート上では先週の95.85円の様子見から、今週は弱い買いシグナル95.50円が点灯している。一方、週足チャートでは依然として買いゾーンにあるが、95円割れからのロングに妙味が生じている。
(売りターゲット96.50〜97.00)

▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)
平均乖離幅38円 現状乖離幅 24.80→25.70円
先週の買いシグナル1.2587から、週初めには売りターゲットである1.28〜1.2900台を突破し、一時は1.30台まで急騰を見せたが、その時点では逆に強い売りシグナルが発生しており、急速に下げ足を速めている。今週は弱い買いシグナル1.2691が点灯している。尚、週足チャートでは様子見レベルに位置しており、大局的には1.25ロングと1.30ショートに妙味が生じている。(売りターゲット1.2800〜1.2900)

▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)
平均乖離幅20円 現状乖離幅 35.25→33.00円
先週の強めの買いシグナル0.6322から段階的な上昇を見せており、瞬間的には下記の売りターゲットに接近しているが、今週も引き続き買いシグナル0.6545が点灯している。(売りターゲット0.6750)

▲NZドル(ドル円−NZD円)
平均乖離幅30円 現状乖離幅 44.45→43.05円
先週の強めの買いシグナル0.5363から、豪ドルと同様に上昇基調にあり、今週も引き続き通常の買いシグナル0.5492が点灯している。
(売りターゲット0.5600〜0.5700)

▲カナダドル(ドル円−カナダ円)
平均乖離幅10円 現状乖離幅 20.05→18.60円
先々週の様子見1.2310から上昇し、先週は通常の売りシグナル1.2721が点灯していたが、今週はポジション解消買いに達しており、1.2419では様子見が点灯している。(様子見)

▲ポンド(ポンド円−ドル円)
平均乖離幅70円 現状乖離幅 46.95→51.30円
先々週から1.50割れで推移し、強めの買いシグナルが点灯していたが、先週の1.4898の強い買いシグナルから上昇したが、今週も引き続き買いシグナル1.5372が点灯している。尚、週足チャートでは様子見レベルに接近しており、強い売買シグナルは発生していない。
(売りターゲット1.5800〜1.5900)

▲ドルスイス(ドル円−スイス円)
平均乖離幅8円 現状乖離幅 17.45→16.85円
スイスフラン売りが一服しており、先週の強めの売りシグナル1.2226に続き、今週も売りシグナル1.2142が点灯している。
(買いターゲット1.1650〜1.1750)

▲オセアニア通貨裁定取引 
平均乖離幅10円 現状乖離幅 9.20→10.05円
今週は先週と同じく弱めのシグナル豪ドル売り/NZドル買いが点灯して
いるが様子見レベルに近い状態である。尚、週足チャートでは同様に弱いシグナルが発生している。過去数カ月の週間ごとの推移は以下の通り。
13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→23.05→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70→15.45→11.65→4.95→7.95→6.00→8.05→8.25→9.15→9.20→10.05円

▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 
(目安*230円以下は円高⇔250円以上は円安)
2006年度上半期平均253円、下半期267円 
2007年度上半期平均280円、下半期278円。
08度四半期ごとの平均は263.04→266.95→269.80
10月平均は229円の円高へと移行。11月第1週は224.05円、第2週は
223.45円、第3週は219.25円、第4週は216.50円、今週は先週と同様に121.20+95.50=216.70円と円高水準をキープしている。直近の円高最高値は213円レベル。押し目買いに妙味が生じている。

★欧州3大通貨(ポンド弱し)
▲ユーロポンド ユーロ円―ポンド円
平均乖離30円 現状乖離幅 20.80→22.15円
先々週のポジション解消売り0.8126から様子見に突入し、先週は一気に
強い売りシグナル0.8546が点灯していたが、今週も引き続き、0.8449の
売りシグナルが点灯している。(買いターゲット0.8250〜0.8350)

▲ユーロスイス ユーロ円―スイス円
平均乖離48円 現状乖離幅 41.25→42.25円
先週の弱めの売りシグナル1.5093から上昇しており、引き続き今週も売りシグナル1.6012が点灯している。(買いターゲット1.4800〜1.4900)

▲ポンドスイス ポンド円―スイス円
均乖離78円  現状乖離幅 62.05→64.40円
先週の様子見1.7660から上昇しているが、今週は一気に強めの売りシグナル1.8214が点灯している。(1.7900〜1.8000)

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★本ペットチャートは常に3〜5段階の少な目の分散投資戦略をお勧めし
ています。最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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