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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米大統領選挙を控え、強い売買シグナルは欠如?

●今週の見通し
先週は日米の金融緩和政策が実施され、株式市場が下げ止まる気配を見せているが、今週は4日の豪準備銀行理事会、6日には英中銀金融政策委員会とECB理事会が控えており、いずれも利下げが有力視されており、金融危機を背景にして、益々協調利下げの意を強くしている。
先週の日経平均株価はバブル崩壊後の安値を更新したが、一変して7000円割れの状況から9000円台を回復したことから、株式市場では一部安堵感さえもが見られるが、為替相場は株式主導の不安定極まりない相場展開に翻弄されているのが実状であろう。

視点を変えれば、米欧経済の後退観測が激化しており、消去法による円高論が回遊しているが、一方、日欧およびアジア諸国からは最近の円高懸念が浮上しており、再びドル円100円台の可能性が視野に入っており、円買いを強行するリスクが生じている。相対的には急激な円高とドル高には一服感があるが、レベル的にはヘッジファンドの換金売りやが円キャリートレード解消の動きが読み切れない情勢であり、逆に円キャリートレードの再燃までも視野に入る環境である。

週末には10月の米雇用統計が発表されるが、リーマンショック以来、金融セクターの雇用情勢が急激に悪化しており、更に悪化する見通しではあるが、一方、今週は欧州金融機関の決算発表が連日控えており、収益悪化は必至と見られているが、瞬間的なリスク回避の動きには要注意であり、乱高下を想定したポジショニングが要求されるだろう。

他方、11月15日に米国で開かれるG20緊急金融サミットでは、改めて世界の金融システムの信頼性や、ドルの基軸通貨としての役割、そして金融体制の改革などが主な焦点になると思われるが、世界金融市場のグローバル化に向けて、従来にないほど関心が高まっており、まだまだ予断を許せない状況が続くと見るのが無難であろう。

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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年11月02(日)
乖離幅の急拡大により、チャート上でも先週から大幅な調整を余儀なくされたが、今週は比較的落ち着いた動きを見せている。しかしながら、いずれの通貨も強い売買シグナルが発生していない状況である。

ドルは短期(日足)チャートでは過大評価の段階ではあるが、週足チャートでは弱冠売られすぎの傾向を見せており、ドルの評価が分かれているが、直近の短期チャートを重視して、もう一段の上昇を待ってからの売りに転じることを勧める。先週と同様に相場の転換期に差し掛かっており、本来ならばチャートの推移を確認する意味でも、少なくとも2〜3週間の間を取ってからの始動が賢明であろう。今週の欧州3大通貨間の取引ではユーロが弱含んでおり、もう一段の下げを見てからの始動を勧める。一方、オセアニア通貨裁定取引の乖離幅は6円から8円台まで拡大しているが、当面の目安としては10円を挟んだ相場展開が予想され、5〜15円のレンジ幅で様子見が賢明であろう。
HP新外為の森:


▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.000 現状乖離幅 0.0470→−0.0116⇒ドル円98.50円A)1÷ユーロドル1.2740=0.7965(B)100÷ユーロ円125.55=0.7965(A−B=−0.0116)
先々週101円台から、先週は94.40円まで急落しており、今週は弱い売りシグナル98.50円が点灯している。値動き自体は激しい展開を見せているが、強い売買シグナルは発生していない。一方、週足では通常の買いシグナルが点灯しており、100円前後からの売りに妙味がある。
(買いターゲット97.00)

▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)
平均乖離幅38円 現状乖離幅24.85→27.05円
最近の動向を見る限りは1.3000前後が分岐点として売買シグナルが点灯している。先週の買いシグナル1.2632に引き続き、今週も買いシグナル1.2740が点灯している。尚、週足チャートにおいては先週に続いて様子見状態を継続している。(売りターゲット1.31000〜1.3300)

▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)
平均乖離幅20円 現状乖離幅 35.85→33.00円
先週の強めの買い0.6202から上昇基調にあるが、今週も引き続き通常の買いシグナル0.6650が点灯している。(売りターゲット0.6900〜0.7100)

▲NZドル(ドル円−NZD円)
平均乖離幅30円 現状乖離幅 41.85→41.05円
乖離幅は先週から変化は見られないが、縦軸(変動率)の調整があり、先週の様子見0.5567から上昇しているが、今週は改めて買いシグナル
0.5832が点灯している。(売りターゲット0.6100〜0.6200)

▲カナダドル(ドル円−カナダ円)
平均乖離幅10円 現状乖離幅 20.40→17.05円
先週の強い売りシグナル1.2757から急落しているが、引き続き今週も売りシグナル1.2093が点灯している。(買いターゲット1.1850〜1.2000)

▲ポンド(ポンド円−ドル円)
平均乖離幅70円現状乖離幅56.15→59.95円
先週の様子見レベル1.5948から、1.60台に乗せてはいるが、今週は弱めの買いシグナルが点灯している。週足では弱い売りシグナルから様子見に移行しており、少な目からの買い始動が賢明であろう。
(売りターゲット1.6900〜1.7100)
▲ドルスイス(ドル円−スイス円)
平均乖離幅8円 現状乖離幅 13.40→13.35円
乖離幅の変更は見られないが、先週の売りシグナル1.1654に続き、今週も売りシグナル1.1568が点灯している。
(買いターゲット1.1350〜1.1400)

▲オセアニア通貨裁定取引 
平均乖離幅10円 現状乖離幅 6.00→8.05円先週の強めの豪ドル買い/NZドル売りシグナル6.00円から、今週は通常
の乖離幅8.05円で推移しており、週足でも明確な売買シグナルが発生していないため、少な目からの始動が賢明であろう。
過去数カ月の週間ごとの推移は以下の通り。
13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→23.05→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70→15.45→11.65→4.95→7.95→6.00→8.05円

▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 
(目安*240円以下は円高⇔260円以上は円安)
2006年度上半期平均253円、下半期267円 
2007年度上半期平均280円、下半期278円。
08度第1四半期は263.04。第2四半期は266.95円。
7月平均275.88。8月平均272円。9月平均261.50円。
10月第1週は235.40円の円高局面に突入。第2週は237.85。
第3週は213.65超円高水準。今週は125.55+98.50=224.05へと上昇しているがレベル的には円高水準をキープしている。220円割れからのロングに妙味が生じている。

★欧州3大通貨(様子見へ)
▲ユーロポンド ユーロ円―ポンド円
平均乖離35円 現状乖離幅 31.30→32.90円
先々週の強めの買いシグナル0.7752から順調に上昇しており、先週の0.7921の買いに続き、今週は買いシグナル0.7924が点灯している。
(売りターゲット0.8050〜0.8100)

▲ユーロスイス ユーロ円―スイス円
平均乖離55円 現状乖離幅 38.25→40.40円
値動きの激しい中で唯一安定的推移しており、先週の様子見1.4722に続き今週も様子見1.4745が点灯している。(様子見)

▲ポンドスイス ポンド円―スイス円
均乖離90円  現状乖離幅 69.55→73.30円
2.000台から売りシグナルが点灯している。先週の弱い売りシグナル1.8586から上昇しているが、今週はポジション解消の買いシグナル1.8608が点灯しており、様子見レベルに突入している。(様子見)

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★本ペットチャートは常に3〜5段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。

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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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