株安・円高へとキャッシュ化が加速!90円割れも時間の問題?
先週は株式市場の急落と共に為替相場における超円高は誰しも認める劇的な一週間と言えるだろう。10月はじめのドル円相場105円台から90円割れ寸前まで円全面高の様相を見せている。ドル円に関しては、購買力平価の側面においても、予めドル円95円前後までは想定できる範囲ではあるが、金融危機が世界各国に拡大、浸透しており、すでに実体経済へまで暗雲が忍び寄せている以上、リスク回避の円買いとドル買いが同時進行しており、歯止めがかからない状況である。
先週半ばには各国からの積極的な公的資金注入効果もあり、金融不安が一時的に後退したが、リスク回避の動きは止まらず、想定をはるかに越えた速さでポジションの手仕舞いが生じおり、クロス円相場は完全にパニック相場へと移行している。
考え方によっては、異常な原油価格や投機マネーの相乗効果の役割を果たしているが、世界同時株安による恐怖感が市場を席巻している状況下では為替相場の難易度は計り知れないものがある。
いずれにしても、実質的なドルの流動性が欠如していることから、ドルがあたかも安全通貨のような印象を与えているが、振り返れば、年初は原油価格の異常な上昇と共に、ドルが基軸通貨として信頼性を欠いておやり、ユーロが史上最高値更新し、その他の主要通貨も近年にない急上昇を繰り返していたが、歴史的な経済危機が本格化したことで、円キャリートレード解消が最終段階に達したとも言えるような、前代未聞の円高相場に突入している。
今週は欧米の経済指標にも目が離せない情勢ではあるが、FOMCの政策金利は0.5%の利下げを折り込んではいるが、株式市場の動揺が収まらない限りは為替相場の流れを変えにくい状況にある。しかしながら、ドル円90円割れやユーロ円110円割れの状況にでもなれば、日銀の介入操作の話題が浮上することは間違いなく、株式相場のシナリオは描けないが、為替相場には自発的なエンジンブレーキがかかる段階であり、当面はこれまでの反動に注意して臨む事が肝要であろう。
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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年10月26(日)
大幅な円高現象によって、チャートの修正局面を余儀なくされている。本チャートは2つの通貨ペアを基にした分析であるが、特に縦軸の変動幅が短期間に急拡大したことで、短期チャートでは売買シグナルがかなり曖昧になっていることは否めず、時系列の面においても、週足チャートを軸にした長めのチャートで通貨の相関性を重視することが賢明である。
今回は前週とのチャート比較でも大幅な調整を強いられているように、相対的にあらゆる通貨ペアが損失確定レベルに達しており、為替相場の過渡期にあることは間違いないだろう。既存のテクニカル分析においても対応不可能な相場展開であることを認識すべきであり、当面は相場が落ち着くまで、冷静にチャートの推移を注視する姿勢が必要であろう。そして、リスク回避の相場展開と化している以上、乖離幅の推移を確認する時でもあり、当面は比較的安全と言える欧州3大通貨間の取引と相関性の強いオセアニア通貨裁定取引に比重をおいて臨む事を勧める。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/chart.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.000 現状乖離幅 0.0118→−0.0470⇒ドル円94.40円
A)1÷ユーロドル1.2632=0.7916(B)100÷ユーロ円119.25=0.8386
(A−B=−0.0470)
先々週100.60円から様子見を継続しており、はっきりとした売買シグナルが発生していない。先週の様子見101.60から急落しているが、今週も引き続き様子見94.40円が点灯している。目安としては90円前後が当面の買いターゲットになる。一方、週足では通常の買いシグナルが点灯しており、少な目の押し目買いに妙味がある。(様子見)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)
平均乖離幅38円 現状乖離幅34.65→24.85円
先週の買いシグナル1.3410から、1.300前後では損失確定処理にまで達したが、更に下降局面にあるが、強い買いシグナルは点灯しておらず、今週は通常の買いシグナル1.2632が点灯している。目先は1.25割れからのロングに妙味がある。一方、週足チャートにおいては完全に様子見レベルが点灯しているため、方向性を確認できるまでは少な目からの始動が賢明である。(売りターゲット1.300)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)
平均乖離幅20円 現状乖離幅 31.55→35.85円
先週の強めの買い0.6895も途中経過0.6500前後では損失確定売りに遭遇している。今週も引き続き強めの買いシグナル0.6202が点灯している。(売りターゲット0.6750〜0.6800)
▲NZドル(ドル円−NZD円)
平均乖離幅28円 現状乖離幅 39.50→41.85円
乖離幅自体には大きな変化は見られないが、円高の影響は避けられず、先週の買いシグナル0.6112から損失確定売り局面に転じたが、今週は様子見0.5667が点灯している。(様子見)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)
平均乖離幅10円 現状乖離幅 16.60→20.40円
先週は強い売りシグナル1.1869が点灯していたが、1.200前後の損失確定買いを巻き込み更に上昇している。今週は強めの売りシグナル1.2757が点灯している。(買いターゲット1.2150〜1.2200)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)
平均乖離幅70円現状乖離幅74.15→56.15円
大幅に乖離幅が縮小してはいるが、先週の買いシグナル1.7298から損失確定売り1.65前後を巻き込みながら、さらに下げ足を速めている。今週は様子見1.5948が点灯している。そして、週足では弱い売りシグナルが発生しており、下値の目処は1.5500前後が視野に入る。(様子見)
▲ドルスイス(ドル円−スイス円)
平均乖離幅8円 現状乖離幅 12.15→13.40円
先週の売りシグナル1.1358から上昇しており、1.15前後の損失確定買いを挟み、さらに上昇を見せている。今週は強めの売りシグナル1.1654が点灯している。(買いターゲット1.1400〜1.14500)
▲オセアニア通貨裁定取引
平均乖離幅14円 現状乖離幅 7.95→6.00円
相対的なクロス安の状況の中、豪ドル円・NZドル円の相関性は維持しており、先週の今7.95円の乖離幅が縮小しており、今週は再び、安全圏レベルの豪ドル買い/NZドル売りシグナル6.00円が点灯している。過去数カ月の週間ごとの推移は以下の通り。
13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→
23.05→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70→
15.45→11.65→4.95→7.95→6.00円
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円
(目安*240円以下は円高⇔260円以上は円安)
2006年度上半期平均253円、下半期267円
2007年度上半期平均280円、下半期278円。
08度第1四半期は263.04。第2四半期は266.95円。
7月平均275.88。8月平均272円。9月平均261.50円。
10月第1週は235.40円の円高局面に突入。第2週は237.85。
今週は119.25+94.40=213.65円の超円高水準。
★欧州3大通貨(様子見へ)
▲ユーロポンド ユーロ円―ポンド円
平均乖離35円 現状乖離幅 39.50→31.30円
相場は乱高下を繰り返しているが、欧州3大通貨は比較的冷静な動きを見せている。先週の買いシグナル0.7752にから引き続き、今週は通常の買いシグナル0.7921が点灯している。(売りターゲット0.8050〜0.8100)
▲ユーロスイス ユーロ円―スイス円
平均乖離55円 現状乖離幅 46.80→38.25円
通貨ペア同士では最も安定性の高い通貨である。乖離幅は大きく縮小しているが、変動率が並行しているため、先週の様子見1.5232に続き、今週も様子見1.4722が点灯している。(様子見)
▲ポンドスイス ポンド円―スイス円
均乖離90円 現状乖離幅 89.45→81.00円
2.000台から下げ足を速めているが、先週の売りシグナル1.9648に引き続き、今週は通常の売りシグナル1.8586が点灯している。(買いターゲット1.8150〜1.8200)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページ(Pet chart)よりご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜5段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さ
い。
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