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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

金融危機拡大中! なす術は傍観のみ?

●今週の見通し
今週は引き続き金融不安が先行する中、市場は金融危機から実体経済危機へ
と移行している。先週に引き続き、今週も株式市場主導の相場展開が予想さ
れるが、相対的には米経済指標が少ないため、公的資金注入を中心とした各
国要人発言に集約される状況である。週明け早々にはバーナンキFRB議長が
経済見通しと金融不安に関する議会証言が行われるが、今までの議会証言に
おいても、米経済の危機感を煽るような悲観的な見解に終始しているだけに、
金利引き下げを示唆する可能性は高いであろう。すでにマーケットは0.5%
の利下げを織り込んでいるため、先の協調利下げのようなインパクトは望め
ない状況にあるが、FRB議長としても、これ以上の金融不安を招く発言は回避
すると思われるが、一言一句に注意を払いたい。

一方、英国政府が抜本的な救済策を打ち出したように、公的資金投入が欧州
圏でも続々と発表されており、金融危機の震源地でもある米国当局としては、
金融不安収束にむけて具体的な行動を見せるときである。現状では緊急サミ
ットで協調体制を強化するのが精一杯なのかもしれない。すでに、オランダ
政府がINGに対して公的資金の投入を発表しているが、米国としては財政難
の中、次なるカードが希薄なだけに、本邦を含めて、他国への協力要請を呼
びかけるしかないのであろう。
今週は先週までの金融機関の決算発表に続いて、米有力大手企業の決算が『20
日テキサス・インスツルメンツ、21日はアップル、キャタピラー、そしてヤ
フーなどと目白押しである。実体経済に関心が寄せられている以上は、想定
以上に関心度は高く、引き続き株価主導の相場展開が避けられない情勢であ
る。
週末24日にはOPEC総会があり、原油価格の急落から減産体勢に踏み切る
可能性も高く、原油価格が株式市場にも影響を及ぼす可能性がある。いずれ
にしても、金融危機が高まる中では株価の上昇が見込めない状況であり、総
じて、ドルの上値の重さに繋がる相場展開が予想される。来週29日のFOMC
に向けて憶測が回遊することは避けられないが、日々様変わりする株式市場
なだけに、ことが生じてからの始動に専念すべきであろう。

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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年10月19(日)
先週にかけて、クロス円の異常な急落が続いており、通貨の相関性の側面か
らは、あらゆる通貨ペアに見直しの時期が到来している。過去3年間の変動
率をクリアーするほどの円高局面でもあり、チャート自体の調節が必要にな
っている。基本的には相場の落ち着きを待ってから始動することが賢明であ
るが、昨年8月にサブプライム問題が発生した際にも通貨間での矯正局面が
起きているが、極端に経済不安が発生し、リスク回避の動きが顕著になると、
為替相場は基準値に戻す経緯がある。市場は未だに狼狽的な売買
が横行しているが、今回のリーマンショックによって調整局面に戻りつつあ
る。
相対的にも、僅か2週間足らずで通貨の相関性が大幅に様変わりしており、
既存のチャートでは『だまし』が頻繁に起きているため、日足よりも週足な
どの長めのチャートでトレンドを探ることが肝要である。通貨別には、先週
にも述べたように、リスク面を考慮しても、乖離幅が20円台から5円割れま
で急速に縮小したオセアニア通貨裁定取引に妙味がある。乖離幅5〜7円前後
を目処に豪ドル円ロング・NZドル円ショートの裁定取引であれば、リスクは
最小限に収まるであろう。

HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/chart.html

▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0045→0.0118⇒ドル円101.60円
A)1÷ユーロドル1.3410=0.7457(B)100÷ユーロ円136.26=0.7339
(A−B=0.0118)
相対的には値幅の激しい動きが続いているが、ドル円に限っては100円前後
では強い売買シグナルが発生していない。先週の様子見100.60に引き続き、
今週も様子見シグナル101.60円が点灯している。一方、週足チャートではユ
ーロの下げが厳しく、強い買いシグナルに移行にしている点に要注意。
(様子見)

▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円 現状乖離幅 34.20→
34.65円
先週の買いシグナル1.3400から、途中経過では上昇局面を見せたが、今週も
引き続き買いシグナルが1.3410で点灯している。週足チャートにおいては様
子見レベルであるが、方向性を確認できるまでは少な目からの始動が賢明で
ある。(売りターゲット1.4200〜1.4300)

▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅18円現状乖離幅 35.95→31.55円
先々週は0.7台では損失確定売りが強いられたが、先週の強い買いシグナル
0.6426に引き続き、今週も強めの買いシグナル0.6895が点灯している。
(売りターゲット0.7100)

▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅32円 現状乖離幅 40.90→39.50円
先週の買いシグナル0.5934からは上昇基調にあるが、今週も引き続き通常の
買いシグナル0.6112が点灯している。(売りターゲット0.6500)

▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅7円 現状乖離幅 14.80→
16.60円
先週の強めの売りシグナル1.1725にもかかわらず、再び上昇を見せているが、
1.20前後が上値の目処として一考。今週も強い売りシグナル1.1869が点灯し
ている。(買いターゲット1.1200〜1.1250)

▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅85円現状乖離幅71.00→74.15円
日足および週足は1.700割れからは強い買いシグナルが点灯している。先週
の強い買いシグナル.7058に引き続き、今週は通常の買いシグナル1.7298が
点灯している。売りターゲット(1.78500〜1.7900)

▲ドルスイス(ドル円−スイス円)平均乖離幅7円 現状乖離幅 12.15→
12.15円
乖離幅12.15円の変動が見られず、先週の強い売りシグナル1.3747に続き、
今週も強い売りシグナル1.1358が点灯している。(買いターゲット1.0950)

▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅14円 現状乖離幅 4.95→7.95円
豪ドルの下げ幅が拡大したことで、先週の乖離幅は安全レベルの4.95円まで
縮小し、好機が到来したが、今週は3円ほど拡大してはいるが、尚も豪ドル
買い/NZドル売りシグナル7.95円が点灯している。過去数カ月の週間ごとの
推移は以下の通り。
13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→23.05
→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70→15.45→
11.65→4.95→7.95円。

▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 
(目安*250円以下は円高⇔265円以上は円安)
2006年度上半期平均253円、下半期267円 
2007年度上半期平均280円、下半期278円。
08度第1四半期は263.04。第2四半期は266.95円。
7月平均275.88。8月平均272円。
9月平均261.50円、そして、10月第一週は235.40円の円高局面に突入し、
今週は136.25+101.60=237.85円の円高水準にある。

★欧州3大通貨(様子見へ)
▲ユーロポンド 平均乖離35円 現状乖離幅 36.80→39.50円
一時の乱高下状態からユーロ円およびポンド円が落ち着きを見せている。
先週の弱い買いシグナル0.7856から、今週は通常の買いシグナル0.7752が
点灯している。(売りターゲット0.8500)

▲ユーロスイス 平均乖離55円 現状乖離幅 45.35→46.80円
通貨ペア同士では最も安定性の高い通貨であり、レート自体の動きはあるが、
先週の様子見1.5240に続き、今週も様子見1.5232が点灯している。
(様子見)

▲ポンドスイス 平均乖離95円  現状乖離幅 83.15→86.30円
先々週の売り2.0038前後には強い売りシグナルが見られるが、先週の弱い売
りシグナル1.9401から、今週は通常の売りシグナル1.9648が点灯している。
(買いターゲット1.9300〜1.9350)

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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりご覧になれますのでご参
照ください。
★本ペットチャートは常に3〜5段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしてい
ます。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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