泥沼の世界経済→ドル安シナリオ優先→円キャリー再燃?
今までは映画鑑賞となれば、洋画にしか関心がありませんでしたが、最近は邦画にはまっています。 気晴らしをかねて、先日『おくりびと』を見てきました。話自体が納棺師とのことで暗いイメージでしたが、内容は笑いと涙で久しぶりに堪能しました。昔、見た故伊丹十三監督の『葬式』を思い出すような映画でしたが、ちょっとばかり涙腺が緩んでしまいましたね。つい最近では『イケガミ』を観賞してきましたが、こちらもなかなかの出来映えでしたよ。
スケールではアメリカ映画には到底及びませんが、やはり、映画は脚本と演技力ですね。 もはや米経済の崩落やドルの陥落を防止するには、当面はドル安誘導の脚本しかないのかも?
▼昨晩のバーナンキFRB議長の講演では米経済リセッション入りを容認した発言が頻繁に飛び出し、先の金融安定化法案の成立にも関わらず、米経済の深刻さを更に強調した内容である。 市場は米経済の回復には相当な時間を要する見解に嫌気して、NYダウは再び733ドルの大幅下落に転じている。
それ以前に発表された米国の小売利売上高の落ち込み、そして、10月ニューヨーク連銀製造業景気指数は−24.6(予想−10.0)と想定以上の景気後退局面を迎えていることを裏付けたFRB議長の発言である。
金融不安が一時的には後退していたが、疑心暗鬼が先行して、再びリスク回避の動きが急を告げている状況である。 いずれにしても、市場のセンチチメントが揺らいでいるだけに、現状ではFRB議長の勇み足とも言える発言であ
ろうが、米金融界全体の杜撰な管理体制に対する苦言と解釈できる。市場では早くも次の協調利下げ観測が台頭しており、NYダウの低迷が恒常化する恐れがある。 当然ながら、日経平均が再度8000円割れを意識させられる状況であり、結果的にはドル売りとユーロドル売りが加速しており、円の
独歩高の様相を見せているが、必ずしも、強い円ではないだけに、当面は短期トレードで売買の展開を早めるしか良策はなく、フットワークに重点を置き、予め決めたポジション枠と損切り枠の範囲での売買に徹することを勧める。
本日のドル円は上値の重い状況であり、100円台半ばからの売りを勧めるが、買いは自重しながら、99円割れの状況を模索してからの始動が賢明であり、98.50以下の買いに焦点を絞ることを勧める。ユーロドルについても上値の重い状況であり、売りを本線として臨む事を勧めるが、1.35台以上と1.33
台半ば前後の買いを勧める。
●補足的になるが、購買力平価の面ではドル円90円割れも生じても不思議ではないが、目先の下限を95円あたりにイメージすることも必要であり、クロス
円の下げ圧力に繋がるため、ドル円と同様に他の通貨も弱含む可能性が強いだろう。
反面、金利格差の縮小が限定的である以上、中期思考の投資家にとっては再び円キャリートレードに妙味が生じる日も遠くはなく、特にオセアニア通貨の豪ドル円65円割れ、NZドル円60円割れからの段階的なロングは魅力あるレベルである。但し、安全を期すならばオージ円60円、キュウイ円55円から
の始動が賢明であろう。