金融危機下のドル過大評価に要警戒相場へ!ユーロ1.35台からの逆襲なるか?
●今週の見通し
先週末に米金融安定化法案が修正を折り込み成立の運びとなったが、週明け早々に、市
場が修正案をどのように受け止めるかがキーポイントになるであろう。本来ならば、金
融危機の震源地である米国ドルが奈落の底に落ちても何ら不思議ではないが、ドル資金
供給が銀行間では枯渇しており、逆に世界共通通貨の強みを発揮している奇妙な構図と
なっている。今週も試行錯誤を繰り返しながら、荒っぽい展開になることは避けられそ
うにないが、市場全体が金融危機の正念場を迎えようとしているだけに、今週の注目は
経済指標よりも各国要人発言の一言一句に集まるだろう。まずは9月16日分のFOMC
議事録が注目されるが、その後にはバーナンキFRB議長やトリシェECB中銀総裁の
講演が予定されており、課題としては法案可決後の金融危機の動向に集中されることは
間違いないが、先週のECB理事会では利下げ観測が論じられているように、金融緩和
の概念が先行しつつあり、一国だけの利下げに留まらず、協調利下げに向けての憶測が
飛び交う可能性がある。特に週末にはG7財務相・中央銀行総裁会合が控えているため、
協調利下げに向けての準備段階とも報じられている。
しかしながら、各国の協調利下げは金融危機を和らげる効果は絶大であるが、恒久的な対
策とは言い難いのが現実であろう。潤沢な資金供給と金融緩和がドルの流動性を高める手
段ではあるが、金融不安を解消するには株式市場への安堵感と相乗効果もたらす対策が求
められている。そのひとつが、修正案に含まれた預金保護を10万ドルから25万ドルに引
き上げたことであるが、本日報道されたドイツ政府による銀行預金を全額保証するような
抜本的な対策が必要なのかもしれない。
現状ではリスク回避処理が優先されており、ユーロドルの下値のメドが不透明であるこ
とがネックであるが、節目でもある1.3500前後までを視野に入れながら、反転時期を
模索することが賢明であろう。反面、急速なクロス円売りが伴ったことで円キャリート
レードの思惑を排除できないレベルに接近していることから、控えめなトレードに専念
することが賢明であろう。
いずれにしても、今のドル高と円高の流れが金融不安による懐疑的な段階であるだけに、
週末のG7を前にして、今後の方向性を確認するためにも重要な週と言えるであろう。
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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年10月05日(日)
先週は相場が乱高下を繰り返しながらも、完全に流れがドル高と円高に傾斜した典型的な
マーケットであるが、明らかにドルの過大評価に繋がっている図式でもある。ドル円相場
が狭いレンジで膠着度を増した結果、ユーロ円は155円前後から145円まで10円以上も急
落している。他のクロス円通貨も軒並み大幅な下降局面に達しており、統計的には円キャ
リートレードが復活しても不思議ではないレベルまで円高に至っている。ドル資金の流動
性が不透明なだけに短期的にはドル売りを強行できない側面があるが、ドル円相場以外で
は強いドル売りシグナルが点灯している。もう一段のドルの上昇が伴えばドルショートで
もリスクは限定的であり、ドルのナンピン売りでも対応可能な相場である。
一方、オセアニア通貨裁定取引では最大乖離幅23.05円から縮小を続けており、先週の15
円台半ばから、今週は11.65円まで縮小しており、10円割れが生じれば、豪ドル買い/NZ
ドル売りの好機が到来する。そして、欧州3大通貨に関しては、ドルの上昇によって歪み
が解消されている状況であり、相関性を強めている。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0396→0.0362⇒ドル円105.25円
A)1÷ユーロドル1.3786=0.7254(B)100÷ユーロ円145.10=0.6892(A−B=0.0362)
ユーロドルが1.4621から急落しているが、ドル円相場は1円の円高に留まっているが、
ユーロ円は10円以上も急落している。結果的にはドル円相場には影響は少なく、先週の
106.15円の様子見に続き、今週も様子見シグナル105.25円が点灯している。当面の売買
シグナルとしては104円買いと107円台の売りが目安となっているが、週足チャートでは
ドル円の買い余地を残しており、104円以下では底堅い動きになるだろう。(様子見)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 49.05→39.85円
先週の弱い買いシグナル1.4621から急落を告げており、今週は一気に強い買いシグナル
1.3786が点灯している。 週足チャートでは売りシグナルからポジション解消レベルまで
急落しており、ポジションの見直し時期が到来している。(売りターゲット1.4850〜1.4900)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅12円 現状乖離幅 17.95→23.85円
0.80前後では強い買いシグナルであったが、先週の通常の買いシグナル0.8309から急落し
ており、今週はかなり強い買いシグナル0.7734が点灯している。
(売りターゲット0.8700〜0.8750)
▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅27円 現状乖離幅 35.75→35.50円
豪ドルの急落とは別に、もともと売られすぎに傾向にあっただけにNZドルの下落率は小幅
に留まっている。先週の通常の買いシグナル0.6854に続き、今週は強い買いシグナル
0.6627が点灯している。(売りターゲット0.7150〜0.7200)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅3円 現状乖離幅 3.50→7.95円
先週はポジション解消買い1.0341が点灯し様子見状態であったが、今週は一気に強い売り
シグナル1.1287が点灯している。(買いターゲット1.0250〜1.0300)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅100円 現状乖離幅 89.45→89.55円
未だに1.80割れから買いシグナルが継続しており、先週の買いシグナル1.8333に続き、
今週も強めの買いシグナル1.8436が点灯している。 (売りターゲット 1.9100〜1.9200)
▲ドルスイス(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 8.65→9.70円
中立通貨のスイスフランもご多聞に漏れず急落している。先週の弱い売りシグナル1.0887
から今週は強い売りシグナル1.1287が点灯している。(買いターゲット1.0600〜1.0650)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅15円 現状乖離幅 15.45→11.65円
先週の乖離幅は15.45円と様子見状態が継続していたが、豪ドルの急落に伴い、漸く豪ド
ル買い/NZドル売りシグナル11.65円が点灯している。過去数カ月の推移は以下の通り。
13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→23.05→21.70→
20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70→15.45→11.65円。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 (目安*260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は上半期280
円、下半期278円。08度第1四半期は263.04。第2四半期は266.95円。7月平均は275.88。
8月平均は272円。9月平均261.50円、そして、今週は一気に145.10+105.25=250.35
円の円高に突入しており、円キャリートレード再開の時期にまで達している。
★欧州3大通貨(様子見へ)
▲ユーロポンド 平均乖離45円 現状乖離幅 40.50→41.35円
レート自体は上下動を繰り返しているが、チャート上では特段の変化は見られず、先週の
様子見0.7931に続いて、今週も様子見シグナル0.7766が点灯している(様子見)
▲ユーロスイス 平均乖離60円 現状乖離幅 57.70→51.85円
先週の様子見1.5918から急落しており、弱い買いシグナルが1.5560で点灯している。1.55
割れの段階からの始動を勧める。(売りターゲット1.5700)
▲ポンドスイス 平均乖離105円 現状乖離幅 99.55→98.20円 2.000前後で推移しており、強い売買シグナルは発生していないが、先週の様子見2.0072
から弱冠下落しているが、今週は様子見に近い弱い売りシグナル2.0038が点灯している。
(買いターゲット1.9950)
***************************★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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