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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

買える通貨が見当たらない。ちょっと早いが統計的には円キャリートレード再燃時期が到来?

清々しい秋晴れが続きそうですが、マーケットは冬のロンドン・パリの天候のようにドンよりと雲が幾重にも覆いかぶさっていますね。晴れ間が見えてもリスク回避が殺到して、束の間の状況を見せています、尚一層混迷を深めていル状況ですが、法案可決の効果のほどは測り知れないのが現状でしょう。端的には→→瞬時のドル買い、その後のユーロ買い?そして、中期の円買いへ?

●市場は金融安定化法案の期待感は強まっているが、前回の否決決議の二の舞を恐れて慎重な売買に徹している。米上院では法案が可決したが、法案可決後の明日3日に米下院にお
いて再採決が行われる運びである。いずれにしても、一度は否決された米下院の採決に注目が集まることは避けられず、明日まではもみ合い相場の展開が見込まれるが、一方、日
米欧の経済指標はさらに悪化傾向を見せており、温度差はあるが世界経済の後退を裏付ける経済指標に市場全体がシュリンクしており、リスク回避先行型の相場展開になっている。
昨日の日銀短観の下方修正もしかり、米国のISM製造業景気指数(日銀短観と類似する統計であり、50%を景気の拡大・後退の分岐点。)は予想の49.5から43.5まで大幅に低下しており、光明を見出せないのが現状である。株式市場では空売り規制の延長、証券税制優遇などで現状を凌いでいるが、空売り規制指定銘柄の分野でも下落基調を見せ始めている。
昨日は最優良企業であるGEまでもが増資計画を発表するなど、潜在的なリスク回避の動きにマーケットが翻弄されている状況である。
為替市場においても、金融安定化法案を睨んだ展開であるが、憶測が憶測を呼ぶ状況であり、ある程度のレンジ幅を想定した上での戦略性が求められる。
現状では法案可決期待から、ドルが堅調になっているが、ドルの上値はドル円107円、ユーロドルは今年最安値1.3880割れまでの目安を設けることは必要であろう。
本日はECB政策金利発表とトリシェECB総裁の記者会見、そして、明日は米雇用統計の発表が控えており、金融安定化法案採決を交えながらの相場展開なだけに、基本的には事が生じてからの始動に徹するのが賢明であろう。昨日に続きドル円107円の売りと105円
割れの買いを勧める。ユーロドルは1.39割れからの買いと1.4100前後の売りイメージで臨む事を勧める。急いては事を仕損じる心構えが要求される相場であろう。

▼クロス円はドル円の膠着度と比較して、ユーロドルの値動きが激しいだけに、通常よりもレンジ幅を拡大することを勧めるが、ユーロ円は147〜150円、豪ドル円は83〜86円で様子見が賢明であろう。リスク回避相場であり、円高傾向にあるが、統計的にはユーロ円148+ドル円106=252円のレベルは円キャリートレードの対象になるだけに、250円割れの時点でのクロス円ロングを一考することを勧める。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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