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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

金融不安!負の連鎖継続中!円>ユーロ>ドルの構図?

●今週の見通し
9月末の決算期を迎えて、模様眺めのスタートになるが、先週末に物議を呼んだ金融安定化法案は、ブッシュ大統領が3日連続で異例の米経済危機の声明文を連発している以上、遅かれ早かれ条件付で可決するであろうが、瀬戸際にある米経済を背景にして、次期米大統領選挙が迫っており、救済策に政治の関与までが問われているように、7000億ドルの公的資金に投入でも米経済の建て直しには懐疑的な見方が浮上している。
一方、ECB中銀の政策金利が2日に発表されるが、直近のドイツ経済の減速感を見る限りは、利下げが早々に実施されても何ら不思議ではない状況にある。市場は金利据え置きがコンセンサスであるが、原油価格の下落を反映して、インフレ懸念の後退説が飛び交い始めており、トリシェECB総裁の記者会見に注目が寄せられている。ECB中銀にも米国と同様に早期の英断が必要な時でもあり、利下げの可能性が残されている対応策が必要であろう。
一方、本邦では10月1日に日銀短観が発表されるが、改善見通しの声は全く聞こえてこない状況であり、総じて、どの通貨も買える状況ではなく、また、金利格差の面においても、ドルの資金供給の貸し渋りにより、短期金利が一時的に上昇するなど、短金利および中長期の金利差が確実に縮小傾向にある。 そして、週末には改善見通しのない米雇用統計が待ち構えており、ドルの上値余地も限定的であるが、ユーロドルに買い材料が乏しいため、消去法では円高傾向は否めない情勢である。今週も引き続き一喜一憂する相場展開が予想されるが、戦略的にはドルの戻り売り、そしてユーロドルの戻り売りを軸とした戦術を駆使することが賢明であろう。

●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年9月28日(日)
相場は金融安定化法案を巡って、市場はさらに不透明さを強めているが、本チャート上でもドルが過大評価されていた段階から調整局面に移行しており、どの通貨に対しても強い売買シグナルが発生していない状況である。特にドル円が106円前後でニュートラルなレベルまで達しおり、ドル円105〜107円のレンジ相場にある限りは、クロス円主導の相場展開にはなりにくい状況を見せている。他の通貨においてもリスク回避によるドル調整売りが続いてはいるが、ドルの売り余地が残り少なくなっており、不透明な金融不安を背景にして、株、原油価格の乱高下を伴う可能性が高く、相対的にも強い瞬間風速が起こりうる市場なだけに、当面は明確な売買シグナルが出るまでは少な目のポジションで対応することが望ましいだろう。他方、比較的安全な取引であるオセアニア通貨の裁定取引もこう着感が生じている。欧州3大通貨においても強いシグナルは発生していない状況である。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0473→0.0396⇒ドル円106.15円
A)1÷ユーロドル1.4621=0.6839(B)100÷ユーロ円155.20=0.6443(A−B=0.0396)
先週の弱い売りシグナル107.35円から、段階的に円高傾向が鮮明になりつつある。今週はポジション解消買いと共に様子見106.15が点灯している。現状では105割れの買いと107円台半ばの売りが当面の売買シグナルの目安となっている。(様子見)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 48.00→49.05円
1.40割れからは強い買いシグナルが点灯しており、先々週は1.42、先週は1.4481の買いシグナルと急速に上げ足を速めており、今週は通常の買いシグナル1.4621が点灯している。週足では売りシグナルが点灯しているため、1.48前後がからは一部解消売りレベルにある。(売りターゲット1.4950〜1.5000)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅12円 現状乖離幅 17.65→17.95円
直近の動向では0.80前後では強い買いシグナルを示しているが、先週の買いシグナル0.8356からは大きな変化はなく、今週も引き続き買いシグナル0.8309が点灯している。
(売りターゲット0.8700〜0.8750)
▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅27円 現状乖離幅 33.35→35.75円
豪ドルと同様に大きな動きは見られず、先週の買いシグナル0.6893に引き続き、今週も買いシグナル0.6854が点灯している。(売りターゲット0.7250〜0.7300)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅3円 現状乖離幅 4.90→3.50円
先々週の強い売りシグナル1.0615から、先週は通常の売りシグナル1.0478が点灯していたが、今週は早くもポジション解消買い1.0341が点灯しており、様子見レベルで推移している。(様子見)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅100円 現状乖離幅 89.45→89.55円
未だに1.80割れから買いシグナルが継続しており、先週の買いシグナル1.8333に続き、今週も強めの買いシグナル1.8436が点灯している。 (売りターゲット 1.9100〜1.9200)
▲ドルスイス(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 10.10→8.65円
主要通貨の中では急速に乖離幅が最も縮小している。リスク回避の流れに沿った動きであり、先週の強い売りシグナル1.1039に引き続き、今週は通常の売りシグナル1.0887が点灯している。(買いターゲット1.0550〜1.0600)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅14〜15円 現状乖離幅 16.70→15.45円
週足チャートでは未だに豪ドル売・NZドル買いが点灯しているが、日足チャートでは乖離幅は縮小傾向とともに、完全に様子見状態に突入している。過去数カ月の推移は以下の通り。13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→23.05→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70→15.45円。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 (目安*260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。08度第1四半期は263.04。第2四半期は266.95円。7月平均は275.88の円安。8月平均は272円。9月第1週は260.55、第2週は261.40、先週は262.80、そして、今週は155.20+106.15=261.35円と円高レベルで推移している。
★欧州3大通貨(様子見へ)
▲ユーロポンド 平均乖離45円 現状乖離幅 41.35→40.50円
0.79前後で推移しており、特に売買シグナルは発生していない。先週の様子見0.7899に続いて、今週も0.7931で様子見が点灯している。(様子見)
▲ユーロスイス 平均乖離60円 現状乖離幅 58.20→57.70円
通貨ペアの中でも最も相関性が高い通貨であり、先週の様子見1.5985に続き、今週も1.5918で様子見が点灯している。(様子見)
▲ポンドスイス 平均乖離105円  現状乖離幅 99.55→98.20円
欧州3大通貨の中では最もブレが大きい通貨であるが、この数週間は2.000前後を境にして、1.98台と2.03台のレンジ相場状況を見せている。先週の弱い売りシグナル2.0237から、今週はポジション解消買い2.0072が点灯しており、様子見に突入している。(様子見)
***************************★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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