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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

救済策に賛否両論! ドル円107円台の重石解消できず?

●今週の見通し
先週はリーマン破綻ショックによる金融不安拡大とAIG救済による安堵感に明け暮れた一週間であったが、米政府中心に矢継ぎ早の対応策を打ち出したことで週末には金融不安は和らいでいるが、株式市場や商品市場、そして為替市場に至るまで乱高下を余儀なくされている。今週も、ドイツIFO景況感調査、米中古住宅販売件数や新築住宅販売件数などと材料には事を欠かない週であるが、ユーロ圏の景況感の悪化、そして、米住宅関連らは改善の見込みすらない状況であり、市場は米政府と各国の緊急措置を睨みながら展開なだけに、一触即発のムードは隠し切れない状況である。
主要国の金融不安に対する共通概念が一致してはいるが、一方、深刻な財政難に直面している米政府主導による救済策に懐疑的な見方もあり、表面上はRTC(不良債権処理機構)設立など万全な救済策が講じられているが、今後も金融機関の破綻処理と同時進行しなければならず、金融不安を払拭するには至らないのが現状であろう。
今週はバーナンキFRB議長とポールソン財務長官による議会証言が23,24,25日に予定されており、表題もそれぞれ金融危機、経済関連、そして、GSE救済問題に仕分けされており、FRB議長と財務長官の議会証言に注目が集まっている。その他にも要人発言が目白押しであり、彼らの一言一句に市場は急転する可能性があるが、相対的にはドルの上値の重さの中で金融危機を見極める一週間と言えるであろう。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年9月21日(日)
先週は米金融不安をきっかけに、ドルの過大評価が徐々に解消されてはいるが、未だに不十分な下落局面であり、ドルは下げ余地を残している。ドル円相場には特に変化は見られないが、軒並みクロス円が急上昇を見せており、結果的にはドル安と円安が並行している相場展開である。今後もドルの調整売買が主体になるが、既存のテクニカル分析では対応不可能な状況が続いており、チャート自体の見直しが必要な時期でもある。特に短期トレードに不向きな相場展開に遭遇しているため、過信は禁物であろう。
先週と同様にクロス円の変動幅がかく乱要因となっており、瞬間的に売買シグナルが変わる可能性を帯びている。それゆえに、為替相場の争点が定まらず、難度の高い相場展開は否めず、テクニカルやファンダメンタルズ相場ではなく心理相場と化しているのが現状である。基本的には短期と長期の両側面からの判断が必要であるが、現状ではドル円相場がニュートラルなレベルで推移しており、相対的には中期的なチャートを優先して望むことを勧める。いずれにしても、不安定な相場展開が続いており、乖離幅に余裕を見出してからの始動が賢明であろう。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0514→0.0473⇒ドル円107.35円
A)1÷ユーロドル1.4481=0.7029(B)100÷ユーロ円155.45=0.6433(A-B=0.0473)
ドル円相場は先週と比較しても、大きな動きは見られなかったが、ドル全面安の影響を受けてクロス円が軒並み上昇している。週間ごとにドル全面高から全面安へと変動が激しいが、先週の弱い売りシグナル107.90に続いて、今週も弱い売りシグナル107.35円が点灯している。(買いターゲット106.00~106.50)
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 45.60→48.00円
ユーロ1.40割れからは堅調に推移しており、下値の底堅さが窺われる。先週の強めの買いシグナル1.4226から上昇を見せており、今週も引き続き買いシグナル1.4481が点灯している。但し、週足では逆に売りシグナルを維持しており、少な目の買い姿勢の配慮が必要である。(売りターゲット1.4950〜1.5000)
豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅12円 現状乖離幅 19.00→17.65円
0.81台からは切り替えしに転じているが、円キャリートレード通貨の旗頭であるだけに、豪ドル円85円割れからは買いニーズが増している。先週の強い買いシグナル0.8239から上昇を見せており、今週も引き続き買いシグナル0.8356が点灯している。
(売りターゲット0.8750〜0.8800)
NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅27円 現状乖離幅 35.75→33.35円
NZ経済の悪化と金利低下によって、豪ドルの後塵を配していたが、先週の強い買いシグナル0.6687から上昇を見せており、豪ドルの上昇と拮抗している。今週も買いシグナル0.6893が点灯している。(売りターゲット0.7500〜0.7550)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅3円 現状乖離幅 6.25→4.90円
先週の強い売りシグナル1.0615から、急速に乖離幅が縮小しており、今週は通常の売りシグナル1.0478が点灯している。(買いターゲット1.0300〜1.0350)
ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅100円 現状乖離幅 85.70→89.45円
先々週の強い買いシグナル1.76台から、急反発を見せており、先週は買いシグナル1.7943まで上昇し、今週もその勢いから買いシグナル1.8333が点灯している。ポンドは日足と週足共に強い買いシグナルが点灯している。
 (売りターゲット 1.9100〜1.9200)
ドルスイス(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 12.35→10.10円
1.10台では終始強い売りシグナルが点灯しており、当面の売りの目安になっている。先週の強い売りシグナル1.1293に続き、今週も売りシグナル1.1039が点灯している。
(買いターゲット1.0650〜1.0700)
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅14〜15円 現状乖離幅 16.75→16.70円
日足では16円〜17円のレンジでは明確な売買シグナルは出ておらず、様子見レベルで推移しているが、週足チャートでは未だに豪ドル売・NZドル買いが点灯しており、相対的には18円程度の乖離幅が始動の目安になるだろう。
過去数カ月の推移は以下の通り。13.60→14.90→16.30→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→22.35→23.05→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80→16.75→16.70円。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円 (目安*260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。08度第1四半期の平均は263.04。第2四半期の平均は266.95円。7月平均は275.88の
円安。8月平均は第1週は275.15円、第2週は275.60円、第3週272.80、第4週は268.50。 9月第1週は260.55、第2週は261.40、今週は155.45+107.35=262.80と円高レベルに位置している。
★欧州3大通貨(様子見へ)
ユーロポンド 平均乖離45円 現状乖離幅 40.00→41.35円
乖離幅は36円から41円まで拡大を続けているが、ユーロとポンドとの相関性はほぼ一致しており、特に売買シグナルは発生していない。先週の様子見0.7929に続いて、今週も様子見0.7899が点灯している。(様子見)
ユーロスイス 平均乖離60円 現状乖離幅 57.95→58.20円
1.59台から1.60台では様子見が続いており、ユーロとスイスフランの変動率が拮抗しており、先週の弱い売りシグナル1.6065から下落しているが、今週は再び1.5985で様子見に突入している。(様子見)
ポンドスイス 平均乖離105円  現状乖離幅 98.05→99.55円
この数週間強い売買シグナルは発生していないが、レンジ幅としては1.98台の買い2.03台からの売りに傾斜している。先週の弱い売りシグナル2.0262から、今週も引き続き弱い売りシグナル2.0237が点灯している。(様子見)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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