ドル過大評価⇒ユーロ過小評価⇒円に主体性見られず
早朝から、住宅公社ファニーメイとフレディマックの救済策が表面化したことで為替市場はドル円相場が2円強も上昇して始まり、株式市場にも金融不安が一掃された形で日経平均株価は450円超の上昇を見せている。 先週末の米雇用統計の悪化にあるように、米経済のファンダメンタルズは依然として悪化傾向にあるが、GSE問題の具体策として、当局の管理化に置かれ、当初は2000億ドルが投じられる予定であるが、その後の救済策に関しては言及されておらず、一時的な安堵感が先行している状況と言えるだろう。相対的には先延ばしの感が否めないであろうが、マーケットは素直に反応しており、好材料として過大評価されている嫌いがある。
市場はドル円の急上昇に伴い、クロス円も同時に大幅に値を飛ばしながら、ストップロス買いがマーケットを席巻している。結果的には対ドル相場においても相乗効果が働き、ユーロ$、ポンド、そして豪ドルなどがドルに対して回復途上にある。
先週までは円の全面高とドル高が並行していただけに、円高に対する反動も半端ではなかった状況と言えるであろうが、現段階ではストップロスが交錯しており、市場は往復ビンタの様相を見せているため、市場参加者の動揺は隠せず、ストップロスとリスク回避の先入観が根強い相場展開を見せている。
先週はドルの過大評価とも思われる水準までドルが上昇していたが、本日の動きで円以外の通貨にはドルの上昇力に一服感が生じている。今の相場はドルと円が同調して動くだけに、クロス円が想像以上に値を飛ばすケースが多いため、クロス円の難易度が最高レベルまで達していると言っても過言ではないだろう。今回ばかりは、クロス円主導から、ユーロドル高、ポンドドル高、そして、豪ドル高に及んでいる相場展開であり、クロス円に翻弄される相場展開なだけに、レンジ幅を拡大して臨むことが得策であろう。
他方、円キャリートレード解消に一服感があるが、円キャリー再燃に至る局面ではなく、過度なクロス円ロングは控えて臨むことが賢明であろう。 戦略的にはリスク管理を強化しなければならない局面であるが、いずれにしても、ポジション保有段階ではストップロスを習慣づける精神力が求められる。
ドル円は105円台の下値が確認された状況ではあるが、上値に関しても、109円台からの上昇は限られており、同レベルからのショートを勧めるが、仮に110円までのナンピン売りをイメージして臨めば、リスクはかなり限定されるであろう。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年9月07日(日)
先週の円高とドル高局面により、為替の相関関係に変化が生じている。本チャート上でも円の急激な全面高により、クロス円の変動率が大幅に上昇を見せており、乖離幅の基準値に大きな変化が生じている。市場は今までの原油価格主導の相場から、本来の為替相場の実体に戻りつつあり、過小評価されていた米ドルが逆に過大評価される状態まで回復している。流れは依然として、ドル買いの様相を呈しているが、今週はドル買いを自重しながら、もう一段のドルの上昇を待ってからのドル売りに妙味が生じている。一方、オセアニア通貨の乖離幅が17円台から15円台に突入しており、収束に向かっている。他方、欧州3大通貨間でも修正局面を迎えており、ポンドの急落で一時乖離幅が拡大したが、ユーロとスイスフランも急落が余儀なくされていたことで、再び、欧州通貨同士が均衡しており、様子見レベルまで矯正されている。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0551→0.0490⇒ドル円107.50円
A)1÷ユーロドル1.4237=0.7024(B)100÷ユーロ円153.05=0.7024(A-B=0.0490)
結果的には円全面高であるが、ドル円に関しての動きは封じられており、レンジ相場の状況は否めない。先々週の売りシグナル110円台から、先週は108.80の売りシグナルが点灯していいたが、今週は弱めの売りシグナル107.50が点灯している。(買いターゲット106.00~106.50)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 50.90→45.55円
先週はしばらく続いたユーロドル売りから方向転換しており、1.4678では弱い買いシグナルが点灯していたが、一気に下げ足を速めており、今週は強い買いシグナル1.4237が点灯している。(売りターゲット1.4950〜1.5000)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅12円 現状乖離幅 15.40→19.95円
0.90台からの売りシグナルから様変わりしており、先週の通常の買いシグナル0.8585から、今週は、かなり強い買いシグナル0.8144が点灯している。
(売りターゲット0.8850〜0.8900)
▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅27円 現状乖離幅 32.55→35.75円
強い買いシグナル0.70台では点灯していたが、先週の買いシグナル0.7008から、今週は0.70割れが実現しており、かなり強い買いシグナル0.6674が点灯している。
(売りターゲット0.7550〜0.7600)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 6.50→6.35円
先週のドル高相場に対しては影響を受けていない通貨の一つではあるが、すでに売られすぎていただけに、先週の強いい売りシグナル1.0635から変化は見られず、今週も引き続き強い売りシグナル1.0628が点灯している。(買いターゲット1.0100)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅107円 現状乖離幅 89.55→82.10円
対ドルでは安定していたポンドであったが、1.97割れからは異例なペースで反落しており、日足チャートのみならず、週足チャートでもポンドの急落に違和感が生じている。先週の強い買いシグナル1.8231から更に暴落しており、今週はかなり強めの買いシグナル1.7637が点灯している。(売りターゲット 1.9650〜1.9700)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 9.95→11.35円
先週までは弱い売りシグナルが1.100前後で推移していたが、ポンド安の影響受けて、先週の弱い売りシグナル1.1007から、今週は強めの売りシグナル1.1180が点灯している。(買いターゲット1.0650〜1.0700)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅14〜15円 現状乖離幅 17.15→15.80円
23円台から乖離幅が順調に縮小傾向にある。先週の17.15円から、今週はポジション解消レベルの15.80円に達している。日足チャートでは様子見になっているが、週足チャートでは豪ドル売り/NZドル買いの可能性を残しているが、強い売買シグナルは発生していない。
過去数カ月の推移は以下の通り。13.60→14.90→16.30→18.00→18.80→17.95→18.15→20.50→21.20→21.90→22.35→23.05→21.70→20.30→17.70→17.30→17.15→15.80円。注:?AUD売り/NZD買いの直接取引?円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 (260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。08度第1四半期の平均は263.04。第2四半期の平均は266.95円。7月平均は275.88の円安。8月の第1週は275.15円、第2週は275.60円、第3週272.80、第4週は268.50。
そして9月の今週は153.05+107.50=260.55と円高レベルに突入している。
★欧州3大通貨(様子見へ)
▲ユーロポンド 平均乖離47円 現状乖離幅 38.65→36.55円
先週は0.8051では売りシグナルが点灯していたが、今週は急激な円高によって、値動きは限定的であるが、ユーロ円の急落がポンド円を上回っており、0.8072では様子見レベルに転じている。(様子見)
▲ユーロスイス 平均乖離60円 現状乖離幅 60.75→56.90円
今週もユーロとスイスフランが対ドルでは同調しており、値動きは大きいが、依然として、様子見レベルで推移している。先週の1.6156の様子見に続き、今週も1.5918の様子見が点灯している。(様子見)
▲ポンドスイス 平均乖離107円 現状乖離幅 99.50→93.45円
先週の弱めの買いシグナル2.0066から急落しているが、ポンド円の下げ幅が大きく、ポンドの基準点が下振れしており、今週は1.9719で様子見に転じている。(様子見)
***************************★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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