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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円の戻り売り110.50・ユーロの戻り買い1.4650?

相対的には週末の原油価格の反落によってドルは堅調に推移しているが、原油価格の乱高下に為替相場のみならず、株式市場まで振り回されている状況である。グルジア問題が沈静化しており、地政学的リスクは排除してもよいだろうが、米経済の良化の兆しは一向に見られず、世界経済は景気減速に配慮した金融政策をとらざるを得ない状況である。
一方、原油価格の反落によって投機筋の投資意欲が減退しており、だぶついたマネーの流動性が定まらずに、相変わらず金融不安がマーケットを席巻しているが相場全般に不安要素が蓄積されている状態であり、必然的にリスク回避優先の相場展開が予想されている。
今週は経済指標が目白押しであり、特に週前半に米住宅関連指標が犇めいており、波乱含みの展開が予想されるが、先週、問題視された米住宅金融公社の救済策やリーマンに対する資本増強や買収観測が話題となっており、金融不安の改善が進まない中で、市場関係者はGSE2社に対する具体的な救済策を注目しており、米当局の姿勢次第ではドルの上昇力にも繋がる可能性があるだろう。
先週末は原油価格の反落によって、NYダウが急反発しているが、金融不安の重苦しさを払しょくするためにも、米当局の何らかの対応策が待たれるところであり、期待感からのドルの底堅さと解釈できるのかも知れない。
為替相場が原油価格の乱高下に象徴されるように、為替相場は原油価格主導の相場展開から抜け出せる環境ではなく、戦略的にはレンジ幅での攻防を前提にして臨むことが肝要であろう。おそらく、今週も米欧経済指標によって、一喜一優する相場展開が予想されるが、レンジ幅に沿った戦略性を重視すべきであり、ドル円は108.00~111.00、そして、ユーロドルは1.4600~1.4900のレンジ幅で臨むことが賢明であろう。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年8月24日(日)
ドルの全面高が一巡してはいるが、原油価格主導の相場展開に翻弄されている。先週は本チャート上においても過小評価されていた米ドルが反発を見せており、ドルの急上昇に繋がったが、ユーロドル1.46台及びドル円110円台半ば近辺ではドル買いに違和感が生じている。現状ではユーロがドルに対してニュートラルなレベルまで回復しているが、他の主要通貨はドルの買われすぎの傾向は否めない状況であるが、ドル売りシグナルとしては脆弱性があるため、もう一段のドルの上昇を待ってからのドル売り戦略に妙味があるだろう。一方、オセアニア通貨の乖離幅が17円前後で停滞しているが、当面は20円台からの豪ドル売り・NZドル買いが目安。反対売買は15円割れが生じてからの始動が賢明であろう。
HP新外為の森http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0647→0.0618⇒ドル円110.05円
A)1÷ユーロドル1.4775=0.6768(B)100÷ユーロ円162.60=0.6150(A-B=0.0618)
ドルの全面高の様相を見せているが、ここ3週間ほどは週末には110円台を記録している。ドル円に限れば狭いレンジ幅の攻防であり、先週の売りシグナル110.50に引き続き、今週も売りシグナル110.05が点灯している。(買いターゲット106.00~106.50)
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 51.80→52.55円
日足ではユーロドルの売りシグナルが1.48前後で終了しているが、週足では未だに売りシグナルが点灯している。先週の買いシグナル1.4688から上昇し、今週はポジション解消と共に1.4775では様子見が点灯している。(様子見)
豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 14.75→14.65円
0.90台の売りシグナルが終了し、先々週から弱い買いシグナル0.8892に転じているが、先週はさらに下げ基調を速めており、通常の買いシグナル0.8665が点灯しているが、今週も引き続き買いシグナル0.8669が点灯している。(売りターゲット0.9050〜0.9100)
NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅23円 現状乖離幅 27.80→31.95円
0.70台でこう着度を増しているが、0.70前後では強い買いシグナルが点灯しており、先週の買いシグナル0.7060に引き続き、今週も強い買いシグナル0.7096が点灯している。
(売りターゲット0.7600〜0.7650)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 6.20→5.00円
先々週の強い売りシグナル1.0658から、先週は1.0594まで下落したが、今週も引き続き売りシグナル1.0476が点灯している。(買いターゲット1.0100)
ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅107円 現状乖離幅 95.60→93.75円
ドル円との相関性が強く、しばらく強い売買シグナルから遠ざかっていたが、1.97台に突入してからは様子見が継続されていたが、1.95割れから売り足を速めており、先週は強い買いシグナル1.8652まで点灯し、今週は更に強い買いシグナル1.8519が点灯している。(売りターゲット 1.9600〜1.9650)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 9.70→9.90円
先々週1.0658の買いシグナルから、急速に上昇しており、先週はポジション解消レベルの売り1.09台まで達していたが、今週は一転して、通常の売りシグナル1.0989が点灯している。(買いターゲット1.0850)
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅14〜15円 現状乖離幅 17.70→17.30円
乖離幅23円台から縮小が続いている。先週の17.70円から今週は17.30円へと縮小が緩やかになっているが、今後のターニングポイントを15円前後に焦点を当てることも必要。
過去3カ月の推移は以下の通り。13.60→14.90→16.30→18.00→18.80→17.95→18.15→20.50→20.60→21.20→21.90→21.80→22.35→23.05→21.70→20.30→17.70→17.30円
注:AUD売り/NZD買いの直接取引、または円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円 (260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。08度第1四半期の平均は263.04。第2四半期の平均は266.95円。7月平均は275.88の円安。8月の第一週は275.15円、第二週は275.60円と円安レベル、先週は272.80、そして今週は162.60+110.05=272.65円と若干円高。
欧州3大通貨
ユーロポンド 平均乖離50円 現状乖離幅 43.80→41.20円
先々週から0.78台の売りシグナルが継続しており、先週の売りシグナル0.7875から、今週は警戒レベルの0.8台に接近しており、今週は強めの売りシグナル0.7978が点灯している。(買いターゲット0.7550〜0.7600)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 61.50→62.45円
この数週間1.61台から1.63台まで値動きがあるが、売買シグナルは発生しておらず、様子見状態が続いている。先週の様子見1.6101に引き続き、今週も1.6236の様子見が続いている。(様子見)
ポンドスイス 平均乖離112円  現状乖離幅 105.30→103.65円
直近ではポンド円の下げが急であり、比較的落ち着いているスイス円の動きとは対象的である。レンジは2.02~2.08に集約されており、同レベルを意識した売買が望まれる。先週の買いシグナル2.0446に続き、今週は強めの買いシグナル2.0349が点灯している。
(売りターゲット2.1300〜2.1400)
***************************★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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