買われすぎの米ドル? もう一段の上昇後の売りに妙味あり!
先週はECB理事会が予定通りに金利据え置きを発表したが、その後のトリシェECB総裁の記者会見を境にしてドルの全面高が急速に進行している。インフレ懸念を最優先課題としていたECBがユーロ経済の下振れリスクには勝てず、利上げ見通しは大幅に後退しており、一部では利下げ見通しまで浮上している。想定以上のペースでドルが買い戻されているが、振り返ればドルの過小評価が顕在化していただけに、世界的な景気下振れリスクが誘因となり、原油価格の大幅な下落が重なったことで、ドルを早急に見直す事態に遭遇している。原則的には米経済自体が改善されたわけでもなく、現状レベルからドル買いを続行するかは疑問符が残るが、欧州経済の下振れ懸念と日本経済の景気後退が論じられており、世界経済が足踏み状態に突入しており、日米欧が横一線に並んだとも言える状況である。
当面、ドル円110円、ユーロドル1.5000、そして、ユーロ円は165円を基準とした相場展開が有力視されるが、先週から引き続きポジション解消のドル買いがマーケットを席巻しており、流れはドル買い局面が有力視されるが、円キャリートレード解消の動きが懸念されるため、ドル円に関しては110円台では重石になる可能性が高いだろうが、しかし、狼狽的なポジション調整(ドル買い)が続く可能性は大きいため、戦略的にはもう一段のドルの上昇期待と同時に、反動(急落)を警戒すべきレベルであることも間違いなく、少な目のトレードで臨機応変なトレードが要求される。今週の経済指標は全般的には手薄であり、そして、本邦のお盆休みも絡むため、先週の大荒れ相場の裏返しで、ポジション調整主体の相場展開が予想されるため、上記レートを基準としたレンジ幅の売買で臨むことが賢明であろう。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年8月10日(日)
ドルの強弱を測る意味合いでは、ユーロドルとドル円との相関性が矯正局面に突入しており、今までのドル安の流れが完全にドル高の流れに移行している。すでにドルの強弱を見極める通過点を超えており、本チャート上ではドル安のプロローグを迎えようとしている。ドルの急回復に違和感が残るが、注意点としては、ユーロドルとドル円の罫線が急角度に交錯しており、もう一段のドル上昇を促している。上昇を待ってからのドル売りに転じることが賢明であろう。目安としてはドル円111円前後からのショートとユーロドル1.4900割れからロングに妙味があるも。その他の通貨においても、軒並みドルの堅調さが目立っており、スイスフランはニュートラルなレベルまで軟化しているが、ポンド、オセアニア通貨、そして、カナダドルに対しては、ドルの買われすぎの兆候が見えている。
HP:新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0457→0.0614⇒ドル円110.15円
A)1÷ユーロドル1.5020=0.6658(B)100÷ユーロ円165.45=0.6044(A-B=0.0614)
ドルの全面高の状況ではあるが、ドル円は他の主要通貨との比較では円安は限定的な範囲に留まっており、先週の売りシグナル107.65からは250ポイント以上の上昇を見せているが、さすがに今週は強い売りシグナル110.15が点灯している。(買いターゲット106.00)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 59.85→55.35円
1.6000台から段階的に下げ続きてきたが、先週は実に500ポイント以上の急落を演じている。先週の強い売りシグナル1.5560から、今週は買いターゲットに接近しており、ほぼポジション解消買いレベルまで達している。弱めの売りシグナル1.5020が点灯している。
(買いターゲット1.4950〜1.5000)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 7.60→12.20円
ユーロドルと同様に下げ足を速めている。先週の売りシグナル0.9240から、買いターゲット0.9000をクリアーしており、今週は逆に弱めの買いシグナル0.8892が点灯している。(売りターゲット0.9050〜0.9100)
▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅23円 現状乖離幅 28.40→32.50円
利下げの週から下げ足を速めており、対ドルでは最も弱い通貨になっている。先週の強い買いりシグナル0.7278から、今週は警戒レベルの強い買いシグナル0.7049が点灯している。(売りターゲット0.7750〜0.7800)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 2.85→6.80円
有資源国通貨の豪ドルと同様にカナダドルは対ドルでの急速に軟化している。先週の売りシグナル1.0272から、今週は乖離幅が急拡大しており、かなり強い売りシグナル1.0658が点灯している。(買いターゲット1.0100)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅107円 現状乖離幅 105.05→101.50円
先々週の1.99台の様子見から1.97台までは様子見が継続されていたが、先週の様子見1.9758から急落しており、今週は通常の買いシグナル1.9215が点灯している。
(売りターゲット 1.9600〜1.9650)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 5.10→8.25円
スイスフランが1.01台から急速に軟化しており、ドルの急回復が鮮明になっている。先週の買いシグナル1.0497から今週はポジション解消レベルの弱い買いシグナル1.0658が点灯している。(売りターゲット1.0700)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅13.00円 現状乖離幅 23.05→21.70→20.30円
最大乖離幅が23円台から縮小傾向にある。今週も20円台をキープしているが豪ドル売り/NDドル買いに妙味が生じている。過去3カ月の推移は以下の通り。13.60→14.90→16.30→18.00→18.80→17.95→18.15→20.50→20.60→21.20→21.90→21.80→22.35→23.05→21.70→20.30 注:AUD売り/NZD買いの直接取引、または円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。(ターゲット13〜14円)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円 (260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。2008度第1四半期の平均は263.04。第2四半期の平均は266.95円。7月平均は275.88の円安。先週は275.15円、今週は165.45+110.15=275.60円と円安継続中
★欧州3大通貨
▲ユーロポンド 平均乖離50円 現状乖離幅 45.20→46.20円
ユーロとポンドは各々米ドルに対しては弱含んでおり、先週の売りシグナル0.7875からは大きな変化はなく、引き続き今週も売りシグナル0.7817が点灯している。
(買いターゲット0.7550〜0.7600)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 64.95→63.55円
先週の弱い売りシグナル1.6333から、ポジション解消レベルに達しており、今週は様子見1.6237が点灯している。(様子見)
▲ポンドスイス 平均乖離112円 現状乖離幅 110.20→109.75円
2.02前後からは強い買いシグナルが点灯しているが、先週の買いシグナル2.0741から変化はなく、今週も引き続き買いシグナル2.0770が点灯している。
(売りターゲット2.1300〜2.1400)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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