単純思考で臨む!原油130ドルのドル売り/120ドルのドル買い?
●今週の見通し
原油相場が相場をリードしており、投機筋の動向次第では波乱含みの相場展開が予想されるが、為替相場のみならず株式相場にも調整色が前面に現れており、方向感に乏しい相場展開が待ち受けている。
騰勢を続けてきた原油価格が7月だけでも20%前後下落している現状を踏まえると、今後も原油価格の続落を背景にしたドル買い相場になるかは疑問視されるが、原油価格主導の難易度の高い相場展開が継続されることは間違いないであろう。
先週は米雇用統計に関心が寄せられてはいたが、失業率は5.5%から5.7%の悪化が示すように、米雇用状況の改善は見込めない状況であり、基本的にはドルの信認回復までには程遠い道のりであろうが、それ以上に欧州経済情勢が悪化の方向をたどっている。欧米ともに不況下の中で低レベルの競い合いになっているのが現状であり、ポジションを一方向に傾けにくい相場環境であることに変わりがないだろう。
他方、今週は5日にFOMC政策金利発表、7日にはBOE政策金利とECB金融政策発表があり、一応注目度は高まっているが、市場のコンセンサスはインフレ懸念が浸透する中で金融不安が再燃しているため、各国の金融政策のかじ取りが暗礁に乗り上げている状況を見越している。すなわち、即座に利下げもできないが利上げもできないジレンマに陥っている印象が拭えない相場展開が予想されるが、いずれにしても、金利据え置きで今後の経済動向を凝視するしかないのが現状であろう。当然ながら、トリシェECB総裁の記者会見に注目が集まるが、景気下振れリスクを背景にして、トーンダウンすることが予想されており、悲観的なコメントにでもなれば、ユーロが再び下げ足を速める可能性があるだろう。 同時に、今週は欧州金融機関の決算発表が目白押しであり、直近の情勢から判断しても、欧州通貨に重石となる決算発表になる可能性が高いだろう。一方、米国ではGSE問題に関与しているフレディマックの決算発表が6日に控えており、今後の米当局の対応を計る意味合いでも関心が集まるだろう。今週のレンジ幅はドル円106.00~108.50、そして、ユーロドルは1.5350~1.5700と予想する。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年8月03日(日)
原油価格の急落の影響を受けて、全般的にドルが買い戻されている。世界第2位基軸通貨ユーロ人気が下げ足を速めているが、特に急落している通貨は避難通貨のスイスフランに集中している。欧州通貨間ではポンドスイスが急速に改善の兆しが見られる。そして、高金利通貨と有資源国通貨の旗頭でもある豪ドルに至るまで、ドルに対して弱含みを見せているようにドル買いの潮目が復活する兆しも見られる。一方、ドル円は平衡状態を維持しており、いまだに売りシグナルが点灯しているため、必然的に、クロス円の軟調地合いが生じている。それ故に本チャート上では相対的に通貨の歪み矯正局面に突入しており、ドルの凋落に歯止めがかかる可能性を示唆している。今後もドルの買い戻し調整が随所に見られても不思議ではないであろうが、いまだにドルの強弱は原油価格次第とも言える状況である。オセアニア通貨裁定取引についても乖離幅が縮小傾向にあり、豪ドルの過大評価とNZドルの過小評価を如実に現している。引き続き22〜24円の乖離幅をイメージして、豪ドル売りとNZドル買いを積極的に取り組める状況であろう。
HP新外為の森:
ペットチャート
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0466→0.0457⇒ドル円107.65円
A)1÷ユーロドル1.5560=0.6427(B)100÷ユーロ円167.50=0.5970(A-B=0.0457)
ユーロドルの下落が強まってはいるが、ユーロ円は高止まりの状態を見せており、相対的に円安傾向にある。徐々にドル円の108円台の上値の重さが生じている。現状ではドル円相場のニュートラルなレベルとしては106点前後であり、先週の売りシグナル107.90に引き続き、今週も売りシグナル107.65円が点灯している。(買いターゲット106.00)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅54円 現状乖離幅 61.50→59.85円
1.6000台から断続的に強い売りシグナルが点灯しており、週ごとに100ポイント以上の下落を見せており、先週の売りシグナル1.5700から、今週も引き続き売りシグナル1.5560が点灯している。(買いターゲット1.4900〜1.5000)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 3.75→7.60円
0.97台からの強い売りシグナルが断続的に続いていたが、原油価格急落に乗じて、下げ足を急速に速めている。先週の強い売りシグナル0.9560から、今週は買いターゲットに接近しており、一部ポジション解消レベルにある。今週は通常レベルの売りシグナル0.9240が点灯している。(買いターゲット0.9100〜0.9150)
▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅23円 現状乖離幅 27.80→28.40円
先週の利下げに伴い、NZドルは下げ足を速めており、先週の強い買いりシグナル0.7424から、今週はかなりの強い買いシグナル0.7278が点灯している。
(売りターゲット0.7750〜0.7800)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 2.05→2.85円
本チャート上では比較的安定的に推移している通貨ペアがカナダドルであるが、先週の売りシグナル1.0194から、今週は強めの売りシグナル1.0272が点灯している。
(買いターゲット1.0000)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅107円 現状乖離幅 106.85→105.05円
ポンドはしばらくこう着状態が続いており、明確な売買シグナルが発生していない。先週の段階では1.9903の様子見が点灯していたが、今週は1.97台まで下落しているが、依然として強い売買シグナルは見られず、様子見レベルの1.9758が点灯している。(様子見)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 3.85→5.10円
最強通貨のスイスフランが1.01台から急落しており、かなりのハイペースで矯正局面に向かっている。先週の強い買いシグナル1.0370から、さらに上昇しており、今週は通常の買いシグナル1.0497が点灯している。(売りターゲット1.0650〜1.0700)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅13.00円 現状乖離幅 23.05→21.70円
乖離幅が20円台に乗せてから、初めて乖離幅が縮小している。当面は23円前後が最大乖離幅と見なされるが、一期に縮小する可能性もあり、同レベルからの豪ドル売り/NDドル買いに妙味が生じている。過去3カ月の推移は以下の通り。13.60→14.90→16.30→18.00→18.80→17.95→18.15→20.50→20.60→21.20→21.90→21.80→22.35→23.05→21.70
注:AUD売り/NZD買いの直接取引、または円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。(ターゲット13〜14円)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。2008度第1四半期の平均は263.04。第2四半期の平均は266.95円。7月の第1週は274.40、第2週は275.55、第3週は276.25、第4週は277.30。7月平均は275.88と円安警戒レベルへ。今週は167.50+107.65=275.15円と円安継続中
★欧州3大通貨
▲ユーロポンド 平均乖離50円 現状乖離幅 45.35→45.20円
現状では0.80台ではかなり強い売りシグナルが点灯するが、先週の強い売りシグナル0.7888と変化は見られず、今週も引き続き売りシグナル0.7875が点灯している。
(買いターゲット0.7500〜0.7600)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 65.35→64.95円
小康状態を保っており、先週の様子見レベル1.6281から、大きな変化は生じていない、様子見レベルの弱い売りシグナル1.6333が点灯している。(買いターゲット1.6200)
▲ポンドスイス 平均乖離112円 現状乖離幅 107.40→110.20円
2.02前後からかなり強い買いシグナルが点灯し、週ごとに約200ポイント以上の上昇が続いている。先々週の買いシグナル2.0431から先週の買いシグナル2.0639が点灯していたが、今週はさらに上昇しており、引き続き買いシグナル2.0741が点灯している。
(売りターゲット2.1300〜2.1400)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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