為替相場は原油相場に聞け?
●今週の見通し
原油価格は1バレル130ドル割れを見せてはいるが、依然として、振幅が激しく、粗っぽい相場展開を見せている。原油価格の落ち着きがない限りは、為替相場の見通しも出来ない状況にある。先週は世界景気の減速感と原油在庫が増加により、原油価格が下落に転じているが、あくまでも目先の現象のひとつであり、世界的な景況感の悪化と超インフレ懸念が原油価格の上昇を食い止める手段とは言い切れない。
逆に、だぶついた投機筋のマネーが再び行き場探しに繋がり、逆流の可能性もあり、市場は否応もなしに次の展開待ちの情勢になっていると言える。一方、米金融機関の決算内容が事前予測と比べて、良化しているが、決して手放しで喜べる内容ではなく、逆に米経済の不透明感が余計に不安心理を招いている。
いずれにしても、主要国が軒並み金融不安を抱えているが、米国の利上げ観測は一段と遠のいており、同時にユーロ圏では先の0.25%の利上げを最後に打ち止め感が強く、インフレ懸念を抑制する手段が限られているのが現実である。
最悪なケースならば、スタグフレーションが加速的に進むことで原油価格の暴落を招くような図式も考えられるが、最悪なインフレ期と原油価格の異常さを阻止するには、それだけの代償と犠牲が必要なのかもしれない。いずれにしても、金融不安が市場を席捲しており、打開策の糸口も出口も見つからないのが現状であるが、為替は金融調節の一つの歯車でしかなく、今後もかなり流動的な相場展開となると見るのが賢明であろう。
先週は米住宅金融公社でもあるGSE問題が金融不安を更に増幅させ、世界経済の先行き見通しが更に混とんとしているだけ、今後もリスク回避とヘッジ機能を兼ねたドル売りと原油買いに走りやすい状況であろう。
現状ではGSEの公的救済策に対して、市場は好感しているが、持続性に関しては疑問符が残る状況であり、潜在的なドルショートを払しょくできない。ただし、ユーロ圏でも悪化の兆しがあり、先週のドイツZEW指数が悪化したことで、今週発表されるIFO景況指数が不安視されており、ドルが加速的に売られる自体は避けられそうであるが、原油価格主導の相場展開であることは間違いなく、少な目の売買に徹して臨むことが賢明であろう。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年7月20日(日)
原油価格の動向が市場を混乱させているが、大勢としてはドルの強さを発揮するレベルまでに到達しており、ドル円は106円前後では下値が堅調であり、ユーロドルは1.6000、ポンドは2.000台、そして、豪ドルは0.80台に上値の重さが生じている。本チャート上ではドルの弱さが強調されているレベルまで推移しており、更にドルショートを構築するには違和感が生じている。一方、繰り返しになるが、オセアニア通貨の裁定取引はさらに拡大しており、リスク面を考慮しても、豪ドル売り/NZドル買いに積極的に取り組める段階であろう。
HP:新外為の森http://www.justmystage.com/home/kentish/
チャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0369→0.0407⇒ドル円106.90円
A)1÷ユーロ$1.5842=0.6312(B)100÷ユーロ円169.35=0.5905(A-B=0.0407)
先週の弱い買いシグナル106.25から、一時は105円台前半ではポジション解消買いが発生したが、今週は再び弱い売りシグナル106.90円が点灯している。(買いターゲット106.00)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円 現状乖離幅 63.05→62.45円
1.6000では上値重い状況が続いている。おり。先週の売りシグナル1.5934から1.6000前後まで一時上昇を見せたが、今週は引き続き強めの売りシグナル1.5842が点灯している。
(買いターゲット1.4900〜1.5000)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 3.60→3.15円
0.96台の高値圏が続いていたが、さらにジャンプアップし、0.98台に迫る勢いを見せているが、先週の売りシグナル0.9661に引き続き、今週も強い売りシグナ0.9705が点灯している。深追いは避けたいレベルにある。(買いターゲット0.9200〜0.9250)
▲NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅23円 現状乖離幅 25.40→25.50円
豪ドルの勢いとは裏腹に比較的安定した展開を見せており、先週の買いシグナル0.7613から変化はなく、今週も買いシグナル0.7615が点灯している。
(売りターゲット0.7750〜0.7800)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 1.05→0.70円
先々週の強い売りシグナル1.0200レベルから、下げ足を速めており、先週の売りシグナル1.0100から、今週も引き続き売りシグナル1.0066が点灯している。
買いターゲットも1.0000のパリティ前後れから大きく後退している点に注目。
(買いターゲット0.9750〜0.9800)
▲ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅110円 現状乖離幅 105.05→106.60円
先々週から1.98台では弱い買いシグナルが点灯していたが、2.0000前後ではポジション解消売りに達しており、先週の買いシグナル1.9887から、今週は様子見レベルに近い弱い買いシグナル1.9972が点灯している。 (ターゲット売り2.0000)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 1.70→2.40円
先週の強い買いシグナル1.0163から上昇を見せているが、今週も引き続き強い買いシグナル1.0230が点灯している。(売りターゲット1.0700〜1.0750)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 21.80→22.35円
乖離幅が20円台に乗せてから、乖離幅は段階的に拡大しているが、25円まで乖離幅の拡大イメージがあればリスクは限定的である。AUD売り/NZD買いのナンピンシナリオに妙味がある。注:AUD売り/NZD買いの直接取引、または円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。(ターゲット15〜16円)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。
2008度第一四半期の平均は263.04。4月平均は263.20円。5月平均は265.10円。6月平均は272.55と円安。7月の台1週は274.40、第2週は275.55、そして今週は169.35+106.90=276.25の円安レベルに投入している。円売りに注意。
★欧州3大通貨
▲ユーロポンド 平均乖離55円 現状乖離幅 42.00→44.15円
先週の要警戒レベル売りシグナル0.8012から下落しているが、引き続き今週も強い売りシグナル0.7932が点灯している。(買いターゲット0.7400〜0.7500)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 64.75→64.85円
先週のポジション解消売り1.6193から変化は見られず、今週も引き続き様子見1.6203が点灯している。(様子見)
▲ポンドスイス 平均乖離120円 現状乖離幅 106.75→109.00円
先週の警戒レベルの強い買いシグナル2.0212から上昇しているが、今週も引き続き強い買いシグナル2.0431が点灯している。(売りターゲット2.1300〜2.1400)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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