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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

1バレル150ドルは時間の問題、米国の危機管理厳守とあく抜けには必要なプロセス?

先週のG8サミットでは地球温暖化問題では一応の合意は見られたが、世界経済の懸案である原油高、ドル安、そして株式市場の低迷が根強く存在している。原油価格の上昇が大きな波乱要因の一つではあることに間違いがないが、6月初旬に続いて10ドル以上の上昇を見せており、史上最高値を更新している。ドル安の連鎖が加速したことでユーロドルが再び1.6000を意識させられる状況であり、株式市場に至ってはNYダウが11,000ドル割れとなり、市場環境は最悪期を迎えようとしている。
先のサミットでは懸念材料が山積した中で行われ、結局は焦点が絞り切れずに終了しているが、懸念はすれども具体策が見つからないのが現状であり、サミットに対する失望感が浮き彫りにされG8サミットが逆効果を演じている状況である。
振り返れば、サブプライム問題が発生してから、銀行及び証券会社も含めて大手金融機関の信用収縮が収まりを見せていないが、中間ではモノライン(金融保証保険会社)まで巻き込み、今回は公的機関とも言われる政府系住宅金融(GSE)ファニ−メイとフレディマックを巡って米当局は喧々諤々としている。
米経済は再び金融不安を拡大させており、ポールソン財務長官、バーナンキFRB議長、そして、ブッシュ米大統領までもが重要な組織と異例な発言の連続であり、事の重大さが伝わる状況である。
バーナンキFRB議長がファニーメイ首脳に公定歩合貸し出しを利用可能と伝えた報道で一段落を見せてはいるが、米経済を取り巻く環境はさらに悪化しており、ドルの劣勢は否めない状況である。
今週は数多くの米金融機関の決算発表が控えており、ドルが不安視されながらの相場展開が予想されるが、先週の流れを引き継いで狼狽的な損失確定処理が加速する可能性を考慮しなければならず、控え目なトレードで臨むことが要求される。
FOMC議事録も注目度は高いが、仮に今後の利上げを示唆する材料があったとしても、賞味期限切れでもあり、市場への影響は限定的であり、いずれにしても、再度FRB議長の議会証言に注目せざるを得ない状況である。
特に、今回は上下院委員会において、年2回の定例の議会証言であり、前回2月の議会証言では、想定外のドル安容認や米金融機関の破綻まで示唆しており、その後はドル円が95円を目指す展開になったことは記憶に新しいところである。
今回は当時と比較しても、経済環境は更に悪化しており、市場はFRB議長の一言一句に注目を寄せているのが現状であり、ドル安の限界を踏まえて、原油価格150ドルが焦点になりそうな相場展開が予想されるが、一部では今回の公的機関まで問題が波及したことで最終局面と迎えるとの見解も少なくない、適宜にドルの自力反発も警戒して臨むことが賢明であろう。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年7月13日(日
ドルに対するリスク回避志向が先行しており、通貨の2極化が鮮明になっている。円、ポンド、NZドル、そして、カナダドルはドルとの相関性を維持しており、想定範囲内での攻防が続いているが、一方、ユーロ、スイスフラン、そして、豪ドルが警戒レベルまで上昇しており、乱高下が避けられない情勢である。静と動が混在した難易度の高い相場展開であり、戦略的には大きな動きを待ってからの逆張りとボックス圏相場の棲み分けが必要であろう。または、オセアニア通貨の裁定取引に注目し、特に近来ないほど乖離幅が拡大しており、リスク面を考慮すれば、22円程度までに乖離した豪ドル売り/NZドル買いに食指を伸ばしてみることも一考であろう。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
チャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500  現状乖離幅 0.0402→0.0369⇒ドル円106.25円
A)1÷ユーロ$1.5934=0.6276(B)100÷ユーロ円169.30=0.59607(A-B=0.0402)
先週の弱い売りシグナル106.75から、一時は107円台の攻防が見られたが、今週はポイション解消レベルに達しており、106.25円でポジション解消買いが発生、様子見レベルに達している。(様子見)
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円  現状乖離幅 60.90→63.05円
状況は一変しており、再び1.6000に接近している。先週の売りシグナル1.5705から、今週はかなり強い売りシグナル1.5934が点灯している。(買いターゲット1.4900〜1.5000)
豪ドル(ドル円−豪ドル円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 3.85→3.60円
幾度となく0.96台の壁から跳ね返されてはいるが、先週の強い売りシグナル0.9639に引き続き、今週も強い売りシグナ.9661が点灯しており、3週連続の0.96台なだけ底堅さがあるが、要警戒レベルであることは否めない。
(買いターゲット0.9200〜0.9250)
NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅22円 現状乖離幅 25.75→25.40円
豪ドルとの比較では安定的に推移はしているが、依然として好対照のチャートを継続している。先週の買いシグナル0.7588から、今週も引き続き買いシグナル0.7613が点灯している。
(売りターゲット0.7750〜0.7800)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 2.05→1.05円
先週の強めの売りシグナル1.0196から下落基調にあるが、今週も引き続き売りシグナル1.0100が点灯している。大勢としては0.9950~1.0200のレンジ売買の様相を見せている。(買いターゲット1.0000)
ポンド(ポンド円−ドル円)平均乖離幅110円 現状乖離幅 106.85→105.05円
本チャート上でもドル円との相関性が最も強い通貨ペアになっており、先週の弱い買いシグナル1.9817から、今週は様子見レベルの弱い買いシグナル1.9887が点灯している。この半年のレンジ幅は1.9600~2.0000と対ドルでもかなり安定的に推移している。 (様子見)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅8円 現状乖離幅 2.60→1.70円
再びリスク回避通貨の対象になっており、先週の買いシグナル1.0250から、今週はさらに強い買いシグナル1.0163が点灯している。
(売りターゲット1.0700〜1.0750)
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 21.90→21.80円
乖離幅が21円台に乗せ、高位安定した相場点買いを繰り返している。乖離幅は先週の21.90円から21.80円と動きは限定的である。引き続き要警戒レベルにあり、AUD売り/NZD買いのナンピンシナリオに妙味がある。注:AUD売り/NZD買いの直接取引、または円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。
今年度1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月平均は258.14と円高傾向。
4月平均は263.20円。5月平均は265.10円。6月第1週269.65円、第2週は270.45、第3週は274.55、第4週は274.60円、そして、先週は273.50円、6月平均は272.55。先週は274.40、そして今週は169.30+106.25=275.55の円安レベルに投入している。
欧州3大通貨
ユーロポンド 平均乖離58円 現状乖離幅 43.90→42.00円
先週までの0.79台の売りシグナルから、要警戒レベルの0.80台に投入しており、強い売りシグナル0.8012が点灯している。(買いターゲット0.7400〜0.7500)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 63.50→64.75円
先週の弱い買いシグナル1.6097から上昇しており、今週はポジション解消売り1.6193が点灯しており、様子見状態になっている。(様子見)
ポンドスイス 平均乖離120円  現状乖離幅 107.40→106.75円
ポンドの弱さよりもスイスフランの強さが一段と上回っており、先週の強い買いシグナル2.0312から、今週はさらに強い買いシグナル2.0210が点灯している。
(売りターゲット2.1200〜2.1300)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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