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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル買いの賞味期限はサミット明けの10日まで?

先週は原油価格が史上最高値を更新するにもかかわらず、ドルが堅調に推移している。原油価格とドルの連動性が崩れており、相場の難易度が更に増している状況である。NYダウは引き続き米経済指標の悪化を背景にして軟調に推移しており、一時は11,500ドルから11,100ドル台まで下落を見せており、ユーロドルは1.59台から1.56台、ドル円も108円台から105円台まで急落しているように、完全にドル売りの流れに沿った相場展開であったが、ECB理事会において、想定通りに0.25%の利上げが実施されたにも関わらず、トリシェ中銀総裁のネガティブな発言に刺激されて、ユーロを中心としたドル買い調整が優先された格好ではあるが、週末の米国休場と今週から始まるG8サミットを意識したポジション調整が支配的なマーケットであったと言えるだろう。
▼今週は主だった指標はないが、本日からの洞爺湖サミットを控えて、様々な憶測が飛び交っているが、例年サミットは年に一度のお祭りと各国首脳の顔見世の場でもあるが、今回のサミットは地球温暖化が軸となり、原油価格、食糧危機など問題が山積しており、取り巻く環境は今まで以上に厳しいものがある。それゆえに、為替問題まで波及することは疑問符が生じているのが現状である。表面的には強いドル政策を支持することになると思われるが、原油価格高騰の抑止力を促すような具体案でもない限りは、ドルの迷走が続くと思われる。
ドルの安定が米国経済のみならず、世界経済の安定にも繋がることであり、原油価格と同様に米ドル安を放置できない世界情勢であることは間違いない。いずれにしても、サミットの内容を吟味しながら難易度の高い相場展開が予想されるが、実際問題として、何が飛び出すかは不明である以上は、相場の動きが生じてからの始動に徹することが賢明であろう。そして、今後の米当局の姿勢を見極める意味でも、サミット終了後に開かれる10日のバーナナンキFRB議長とポ−ルソン米財務長官の議会証言が注目されるだろう。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年7月06日(日)
ユーロドルは1.58台からでは上値の重い展開であり、本チャート上ではドル安が加速する状況には至っていない。ドル円の下値も105円前後では堅調に推移することが予想されるが、レンジ幅としても105~107円を突破しない限りは方向性に欠ける展開であろう。
先週と比較してもチャート上では大きな変化は見られておらず、依然として、ドルの上昇余地がある通貨はユーロ、スイスフラン、そして豪ドルの3通貨である。そして、ドル円を含むその他の通貨に対しては強い売買シグナルは点灯していない状況であり、ドルの全面安の状況とは言い難い状況とも解釈できる。
視点を変えれば、恒常的なドル安と原油価格150ドルを控えて、異常事態に終止符が打たれても不思議ではなく、原油高による加速的なドル売りに繋がらない相場展開が予想される。他ではオセアニア通貨の裁定取引[豪ドル売り/NZドル買い]の乖離幅は20円台から22円前後に接近しており、ナンピンをイメージしても、リスクは限定的なレベルまで到達している。
HP:新外為の森
ペットチャート
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500  現状乖離幅 0.0361→0.0402⇒ドル円106.75円
A)1÷ユーロ$1.5705=0.6367(B)100÷ユーロ円167.65=0.5965 A-B=0.0402
先週は106.05円でポジション解消買いが発生して、様子見レベルで推移していたが、今週は若干上昇を見せているが、未だに弱い売りシグナル106.75が点灯している状況。当面の売買始動は105.50からの買いと107.50からの売りに注目。(買いターゲット106.00)
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円  現状乖離幅 61.40→60.90円
先週の強い売りシグナル1.5790から、週半ばでは1.59前後まで上昇を見せていたが、最終的には1.56台まで急落をみせているが、今週も引き続き売りシグナル1.5705が点灯している。(買いターゲット1.4900〜1.5000)
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅10円 現状乖離幅 4.15→3.85円
0.96台からは高値警戒レベルに達しているが、先週の強い売りシグナル0.9609から、今週も引き続き強い売りシグナル0.9639が点灯している。(買いターゲット0.9200〜0.9250)
NZドル(ドル円−NZD円)平均乖離幅22円 現状乖離幅 25.35→25.75円
先々週から0.76前後で推移しており、依然として豪ドルとは対照的に強めの買いシグナ
ルが点灯している。先週の買いシグナル0.7610から変化はなく、今週も買いシグナル0.7588が点灯している。(売りターゲット0.7750〜0.7800)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 1.20→2.05円
この数週間は1.01台の攻防が続いており、先週の売りシグナル1.0114から、今週は強めの売りシグナル1.0196が点灯している。(買いターゲット1.0000)
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円  現状乖離幅 105.55→106.85円
先週はポジション解消売り1.9953が点灯し、様子見であったが今週は若干下げ足を早めているが、様子見レベルの弱い買いシグナル1.9817が点灯している。(様子見)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅8円 現状乖離幅 1.90→2.60円
ここ数週間1.01~1.03台の攻防が続いており、リスク回避の際には1.0000のパリティ割れまで考えられるが、先週の強い買いシグナル1.0182から、今週も引き続き強めの買いシグナル1.0250が点灯している。
(売りターゲット1.0700〜1.0750)
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 21.20→21.90円
乖離幅が20円台に乗せてからは、週ごとに0.50ポイント程度の上昇を続きけている。先週の乖離幅21.20から今週は22円台まで接近しており、要警戒レベルまで達している。依然として、24~25円までのナンピンシナリオが有効であり、リスク自体は限定的な段階まで拡大している。AUD売り/NZD買いの直接取引、または円の売買相当額を一致させたAUD円売り/NZD買いに注目。
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。
今年度1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月平均は258.14と円高傾向。
4月平均は263.20円。5月平均は265.10円。6月第1週269.65円、第2週は270.45、第3週は274.55、第4週は274.60円、そして、先週は273.50円、6月平均は272.55と円安圏内にある。今週は167.65+106.75=274.40と円安レベルが継続中であり、275円台からは円買いに妙味が生じている。
★欧州3大通貨
ユーロポンド 平均乖離58円 現状乖離幅 44.15→43.90円
先週の売りシグナル0.7914から、今週もほぼ変わらず強い売りシグナル0.7925が点灯している。いる。目先のレンジ幅としては0.7700~0.8000を一考。(買いターゲット0.7400〜0.7500)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 63.30→63.50円
先週の様子見1.6078から変化はなく、今週も弱い買いシグナル1.6097が点灯している。レンジ幅1.600~1.6200が継続中。(売りターゲット1.6150)
ポンドスイス 平均乖離120円  現状乖離幅 107.45→107.40円
先週の強い買いシグナル2.0317から変化は見られず、今週も引き続き強い買いシグナル2.0312が点灯している。(売りターゲット2.1200〜2.1300)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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