FRBの苦悩は続K、そしてECBも追従
▲FOMCでは想定通り据え置きが決定され、タカ派的な見解がなかったことからドルの失望売りが優先されている。声明文自体は市場の予想通りの内容であるが、すでに声明文の解釈が部分的に疑問視されており、ドル売りを更に加速する状況にまでは至っていない。ドルはFOMC発表前までは原油在庫などを背景にして、ドルの買い戻し調整が先行し、同時にFOMCの金利据え置きを評価して株式相場の上昇にも繋がったが、相対的な米経済の減速観測には勝てず、株式相場は下げに転じて終了している。
一方、来月早々に開かれるECB理事会においては、インフレ抑制を最優先課題しており、そして、トリシェECB総裁のタカ派的な発言が加わり、ユーロ金利0.25%の利上げは既成事実になっているが、バーンナンキFRB議長の見解はインフレリスクと景気減速リスクに象徴されており、明確な答えが出せないのが現状である。ECBとFRBの微妙な苦悩の格差が今のドル相場の状況を促しているとも言えるだろう。
FF金利先物市場では年度内の0.5%の利上げ見通しが半減しおており、今後の米金利の利上げ見通しは急速に減退しており、白紙状態に戻る可能性さえある。しかしながら、米経済はインフレ懸念が尚一層増幅しており、利上げに対する思惑が根強いことには変わりがなく、同時に米ドル離れを防ぐ意味でも金利先高感を常に市場に植え付けたいのが本音であり、FRBは難しい選択肢に追いやられており、為替相場の難易度が更に増している状況であり、少な目のトレードで始動することをすすめる。
為替相場は金融政策のみで形成されるわけではないが、これだけ様々な変動要因が入れ替わり立ち替わり降りかかる状況となれば、今回のFOMCの結果でドルの方向性を見いだすことは不可能に近い。奇しくも今回はドルの劣勢局面となった相場展開ではあるが、ユーロ経済自体も深刻さを増しており、通貨高によって過剰インフレを乗り切れないのが現実であり、また0.25%の利上げが恒常的な手段ではなく、米経済と同様に利上げは欧州経済の足カセになる恐れもある。世界経済が原油価格に翻弄されているだけに、為替相場は2次的な存在でしかなく、当面はレンジ内での乱高下相場に注目せざるを得ないだろう。
昨日のドル円相場は108円前後の攻防に終始しており、更にこう着度を増している状況であり、
自然体で107.50の買いと108.50の売りで臨むことが賢明であろう。ユーロドルも高値警戒感があり、1.57台からの売りと1.56前後の買いを勧めるが、ドルの方向性が見いだせないだけに少なめのトレードに徹して、今後の成り行きを探ることが賢明であろう。