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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

原油・金利・株式 焦点定まらず!ドルの迷走が続く?

昨日は特に注目される材料がない中、米モルガン・スタンレーの第2・四半期決算で一連の米大手金融機関の決算発表が終了したが、総合評価では想定したよりは改善されてはいるが、サブプライム問題の余波が大幅な減益を招いているのが実状であり、一部では住宅関連資産の評価が疑問視されている報道もあり、金融不安を解消するにはまだまだ時間を要する見方が大半である。
昨日は週間の住宅ローン申請指数は前週比-8.7%、米株式相場は3カ月ぶりに一時1万2000ドルの大台を割りこむなど、ドル買い材料が乏しい状況にあり、米債券相場においても、再びリスク回避による債券買いが進んだことで利回りが低下傾向にある。その上、原油価格の再び上昇しており、ドル売り材料が満載している状態と言っても過言ではないだろう。しかしながら、昨日の海外市場ではドルの下げ幅は限定的であり、ドル売り材料に反応薄と言わざるをえず、市場はドルショートの地合いではあるが、売り急ぐ状況ではないと判断する。
一方、日米欧の金利動向に関するコメントが多々見られているように、特に米欧は強いインフレ懸念から利上げ圧力は高まっているが、米国では早期の利上げ観測は否定的になってきてはいるが、市場は米金利の利上げ幅を年内に0.75%織り込んでおり、実際には紆余曲折の状況を見せ始めている。悩ましい相場展開になっているのが現状であり、控え目なトレードに専念することが賢明であろう。
原油価格の高止まりが存続する限り、過度なインフレ懸念を抑制する手段として利上げと通貨高が効果的であるが、仮に米欧とも0.25%程度の利上げを敢行しても、インフレ抑制力には繋がらないことは明白であり、逆に金融不安を増幅する可能性もあるだろう。いずれにしても、依然として、外部環境が不安定であり、糸口が見つからない為替相場であるため、目先の要人発言並びに原油価格の動向に振り回される展開をイメージして臨むしか良策はないだろう。戦略的には売買の展開を早めて、ポジション縮小に心掛けることを勧める。
東京市場では株安の影響もありと、円高とユーロドル高に振れてはいるが、下値は限定的と判断し、ドル円108円台の売りを勧めるとともに、117円台前半からのロングを勧める、一方、ユーロドルは1.55割れの買いと1.56前後の売りで様子見を勧める。


補足的になるが、昨年7月のユーロ円並びにクロス円の状況を比較してみると、ドル円は順調に10%前後の円高レベルで納まっているが、ユーロ円、スイス円、そして豪ドル円の3通貨が横並びの状況を見せている。裏を返せば、ドルに対して堅調を維持している通貨である。またクロス円全体に言えることであるが、相対的には高値警戒レベルにあるのが実情である。下記の7通貨の総合計を見ると07度7月の953円はユーロ導入以来のクロス円最高値でもあり、またサブプライム問題が発生した時期にも遭遇する。現状の880円でも円安レベルに匹敵すると判断するが、大局的な見地から判断すれば、900円前後からの円ロングならばリスクは限定されるだろう。
Date USD GBP EUR CAD CHF AUD NZD Total
07/7/31 121 247 168 115 101 105 95 = 953円
08/6/18 108 211 168 106 103 102 82 = 880円

中期的な売買目安として、記憶にとどめてください。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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