ドル円買い戻しから売りゾーンへ突入!
先週はECBによる小幅利上げが確実視され、ユーロ高で幕を開けたが、一方では、ポールソン財務長官が為替介入に言及し、さらにバーナンキFRB議長が改めてインフレ懸念に強く危惧したことで、米金利は長期債を中心に利回りが上昇気配を見せている。金利格差縮も手伝いドルを買い戻す動きが鮮明になりつつある。早くも米景気後退観測が和らいでいると一部では言われているが、先の米雇用統計の悪化に見られるように減速感は依然として根強い状況である。
相変わらず米経済の不透明さは残るが、世界経済の活性化にはドル高待望論が増幅しており、投機筋のポジション調整が為替と原油価格に波及していることは否めず、想定以上の乱高下を招きやすい状況である。
今週からは投機筋によるポジション調整に加えて、機関投資家や政府系ファンドの動向にも注視すべき段階でもあり、もう一段のドル高が見込まれるが、不透明な米経済に対するドル離れも健在であることから、今回のドルの上昇機運を見極めたい相場である。
いずれにしても、行き過ぎた原油価格の高騰がインフレ懸念を拡大化させ、金利動向、そして為替動向にまで及んでおり、ドル安に対する見方が確実に変化している状況であることは間違いないであろう。
先週末のG8財務相会合では特に為替問題を声明文には織り込まなかった模様であるが、石油高とドル安、そしてインフレ懸念の因果関係が複雑であり、また、中銀総裁不在の会合であることから、内容的には先のG7での合意を引き継いだ結果である。各国の協調体制の温度差もあり、安易な声明文に繋がらなかったのであろうが、各要人発言に見られるように、世界経済の危機感を共有しなければならない時でもあり、水面下では原油価格の高騰に基づき、今回のG8では為替介入なども含めて各国との協調性を確認する場であったとも言えるだろう。
今週は米大手金融機関の決算発表を控えており、再び金融不安を招くことになりそうであるが、赤字決算慣れした市場でもあり、ドルの下値は限定的になるであろうが、各経済指標や要人発言に振り回される相場展開であることは否めない状況である。
当面は、不確定要素が山積している状況名だけに、終始控えめなトレードで対応することが賢明であろう。ドル円106.50~109.50、ユーロドル1.5250~1.5550のレンジ幅を重視した戦略性が求められる。
★本日、フォレックスラジオhttp://forexradio.net/に出演予定です、お時間があれば、お聞きください。
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年6月15日(日)
先週に引き続きドル買い戻しの動きが鮮明であるが、本チャート上で象徴的であるのはドル円の買いシグナルが107〜108円で終了し、108円台では売りに転じていることであろう。しかしながら、相対的にはドルの回復途上であり、ユーロドル、スイスフラン、そしてオーストラリアドルに対しては未だに上昇余地が残されている。その証として、欧州3大通貨のアンバランスの症状があり、相対比較ではポンドの劣勢が顕著であるが、対ドルではポンドはニュートラルであるため、中期的にはユーロとスイスフランのロングに黄信号が点滅している。他では先週と同様にオセアニア通貨の裁定取引[豪ドル売り/NZドル買い]に妙味が生じている。統計的にもリスクは限定的なレベルまで到達しており、最も注目度が高い通貨ペアである。
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チャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500 現状乖離幅 0.0299→0.0490
A)1÷ユーロ$1.5386=0.6500(B)100÷ユーロ円166.40=0.6010 A-B=0.0490⇒ドル円108.15円
しばらく続いたドル円買いが先週の買いシグナル104.95を最後に、売りシグナル108.15円に点灯している。注意点としては罫線が急激にクロスした直後であり、乖離幅が拡大基調にあるため、さらにドル買いが進む可能性がある。一旦は108円台で清算するか、若しくは段階的なナンピン売りを110前後まで考慮して取り組むことを一考。
(買いターゲット106.00〜106.50)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円 現状乖離幅 60.55→58.25円
先週の1.5769の強い売りシグナルから急落を見せてはいるが、チャート上での乖離幅には変化がなく、今週も引き続き強めの売りシグナル1.5386が点灯している。
(買いターゲット1.4900〜1.5000)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅10円 現状乖離幅 3.90→6.65円
先週は高値警戒レベル0.86台まで上昇し、強いシグナル0.9628が点灯していたが、下落基調を速めているが、今週も引き続き売りシグナル0.9385が点灯している。
(買いターゲット0.9100〜0.92000)
▲NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅22円 現状乖離幅 24.40→27.05円
先週の弱い買いシグナル0.7675から、今週は通常の買いシグナル0.7499が点灯しているが、豪ドルとの比較では強い買いシグナルが点灯している(売りターゲット0.7750〜0.7800)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 1.95→3.00円
比較的に安定した推移であったが、先週の弱めの売りシグナル1.0189から、今週は通常の売りシグナル1.0285が点灯している。(買いターゲット1.000)
▲ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 101.80→102.60円
先週は様子見レベルに近い買いシグナル1.9700が点灯していたが、今週は通常の買いシグナル1.9487が点灯している。一方、週足では弱い買いシグナルの状況を見せている。
(売りターゲット1.9800)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅12円 現状乖離幅 2.00→4.80円
対ドルでは値動きが激しくなっており、先週の強い買いシグナル1.0194から、今週も買いシグナ1.0464が点灯している。(売りターゲット1.0700〜1.0800)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 20.50→20.40円小幅利上げが
先週と同様に警戒レベルの乖離幅20円台を維持していおり、豪ドル売りとNZドル買いシグナルが点灯している。個々の通貨でも豪ドル売りシグナルとNZドル買いシグナルが点灯しているように、比較的リスクは限定される状況である。(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.80円 2007年11月18.15円、2008年5月18日に記録更新18.80円まで拡大)*注、AUD/NZDの直接取引、または円の売買相当額を一致させること。
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。
今年度1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月平均は258.14と円高傾向。
4月平均は263.20円。5月平均は265.10円。先週6月第1週269.65円、第2週は270.45の円安、今週は166.40+108.15=274.55の強い円安レベルに注目。
★欧州3大通貨
▲ユーロポンド 平均乖離58円 現状乖離幅 41.25→44.35円
先週の警戒レベルの0.8005のからは急落してはいるが、依然として強い売りシグナル0.7896が点灯している。(買いターゲット0.7400〜0.7500)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 62.55→63.05円
比較的狭いレンジでの攻防が続いており、先週の買いシグナル1.6076に引き続き、今週も買いシグナル1.6101が点灯している。(売りターゲット1.6250)
▲ポンドスイス 平均乖離120円 現状乖離幅 103.80→107.40円
先週は警戒レベルの買いシグナル2.0083が点灯していただけに、今週は2.0392レベルまで上昇したが、引き続き強い買いシグナル2.0393が点灯している。
(売りターゲット2.1200〜2.1300)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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