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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

1バレル10ドル上昇=円相場の反応は1円高ポッキリ?

先週の前半はバーナンキFRB議長によるドル安牽制発言に始まり、ドルが全面高の様相でスタートしたが、週半ばにはECB理事会後にトリシェECB中銀総裁がインフレ懸念を重んじて、来月早々にも利上観測が絶対視されたことで、ユーロドルが1.53台から一気に買い戻されていたが、さらに追い打ちをかけるように、週末の5月米雇用統計は非農業部門雇用者数がマイナス4.9万人(予想マイナス6.0万人)と想定された範囲であったが、失業率が5.5%(予想5.1%)となり2004年10月以来の高水準まで上昇したことでドルの上昇は完全に相殺されてしまい、米経済の後退観測が鮮明になったことでドル離れが加速し、米株式市場は急落を見せており、鎮静化を見せていた原油価格が一気に史上最高値を更新し、市場はリスク回避の動きが顕著となっている。
今週も数多くの経済指標や米大手証券会社の決算発表などが予定されているが、原油価格主導の相場に各市場関係者は脅威を感じているのが現状である。原油価格高騰に歯止めをかけるにはドルの信認回復に依存するしかないであろうが、米経済がサブプライムローン問題で不良債権化している状況を改めて認識させられるようでは1バレル150ドルに達するのも時間の問題と言っても過言ではないだろう。すでにエネルギー消費大国5カ国が異常な原油価格と投機マネーをけん制する発言がみられており、また、13日からは8ヶ国財務相・中央銀行総裁会議が開かれる予定であるが、原油価格の高騰が金融不安を拡大させる要因ともなれば、従来は軽視されがちなG8であり、同時に7月のサミットに向けての準備段階と見なされていたが、急きょエネルギー関連の共同声明に関心がもたれている。
いずれにしても、原油価格に一方的に振り回される相場環境ではドル安懸念とリスク回避のドル離れが、株式市場、商品市況、そして、為替市場へどこまで影響を及ぼすか計り知れないのが現状であろう。基本的には様子見主体の姿勢で今後の相場展開を見極めたいのが本音であり、戦略性に欠ける状況であるが、最近のレンジ幅でもあるドル円103.00〜106.00円、ユーロドル1.5400〜1.5900を尊重した相場展開をイメージして取り組むことが賢明であろう。
今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年6月08日(日)
先週のドル買い基調から、一転してドル売りがテーマーになっている。チャート上でもドル離れが鮮明になっているが、ドル円に至っては先週に106円台ではニュートラルなレベルまで回復しており、相対的には乖離幅は縮小していた関係から、先週は様子見レベルに達した通貨ペアが数多く散見されたが、今週は再び乖離幅が拡大傾向にある。
チャート上ではオセアニア通貨の裁定取引を筆頭にして、仕掛けどころの通貨ペアが増えつつあるが、現状の荒れ相場ではもう一段のドルの下落が生じてからの始動が賢明であろう。
HP新外為の森チャート
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.0500  現状乖離幅 0.0336→0.0299
A)1÷ユーロ$1.5769=0.6341(B)100÷ユーロ円165.50=0.6042 A-B=0.0299⇒ドル円104.95円
先週の買いシグナル105.5から、中間点では当初の売りターゲットである106円まで上昇し、ポジション解消売りが点灯したが、早くも下げ基調を速め、今週は再び買いシグナル104.95が点灯している。
(売りターゲット106.00)
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円  現状乖離幅 58.65→60.55円
1.57台の売りシグナルから、先週は1.5559まで下落基調を見せたが、今週は再び1.57台まで上昇しており強い売りシグナル1.5769が点灯している。
(買いターゲット1.4950〜1.5050)
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅10円  現状乖離幅 4.70→3.90円
先週は資源国通貨の強みを発揮しており、売りシグナル0.9555が点灯していたが、今週は警戒レベルである0.96台に突入しており、強い売りシグナル0.9628が点灯している。
(買いターゲット0.9100〜0.92000)
NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅24円  現状乖離幅 22.85→24.40円
2週連続様子見レベルで推移していたが、先週の様子見レベル0.7834から、今週は0.7675の買いシグナルが点灯している。
(売りターゲット0.7850)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円  現状乖離幅 −0.75→+1.95円
パリティ1.00前後で推移している限りは比較的安定した状態である。先週の様子見レベル0.9929から、今週は売りシグナル1.0194が点灯している。
(買いターゲット1.000)
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円  現状乖離幅 103.60→101.80円
ポンド円の値動きは激しいがドル円との比較では安定的に推移している。1.95台の買いと1.99台の売りに仕分けされる展開である。先週の様子見レベル1.9829から、今週は1.9700の買いシグナルが点灯している。(売りターゲット1.9800)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅15円  現状乖離幅 4.25→2.00円
再びドル離れの様相を呈しており、先週の買いシグナル1.0420から、今週はかなり強い買いシグナル1.0194が点灯している。(売りターゲット1.0700〜1.0800)
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅14.00円  現状乖離幅 18.15→20.50円
警戒レベルの乖離幅18円台から、20円台に突入しており、強い豪ドル売りとNZドル買いシグナルが点灯している。(21円台では一旦は損切りを一考、21円台からの再試行を考慮)(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.80円 2007年11月18.15円、2008年5月18日に記録更新18.80円まで拡大)*注(クロス円の売買の場合には円相当額を一致させること。さもなければ、AUD/NZDの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。
今年度1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月平均は258.14と円高傾向。
4月平均は263.20円。5月平均は265.10円。先週6月第1週は269.65円の円安、今週も165.50+104.95=270.45と円安レベルに到達している。
★欧州3大通貨
ユーロポンド 平均乖離58円 現状乖離幅 44.90→41.25円
先週の売りシグナル0.7850から警戒レベルの0.80まで上昇しており、強い売りシグナル0.8005が点灯している。(買いターゲット0.7400〜0.7500)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 62.90→62.55円
先週は1.6212の売りシグナルが点灯し様子見に突入したが、今週は早くも買いシグナル1.6076が点灯している。(売りターゲット)
ポンドスイス 平均乖離120円  現状乖離幅 107.85→103.80円
乖離幅は縮小傾向にあったが、再び拡大している。先週の買いシグナル2.0652から、今週は警戒レベルの買いシグナル2.0083が点灯している(売りターゲット2.1200〜2.1300)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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