悪材料にもめげず、ドルの上昇続く、賞味期限は?
流れはドル買いに傾斜しているが、昨日に引き続きバーナンキFRB議長はインフレ懸念に言及しており、インフレ抑制を主眼とした金融政策が注目されているため、利下げ観測は完全に消滅し、秋以降の利上げまで取りざたされている。しかしながら、現実には株式市場の続落が示しているように、金融機関の破たん及び損失額拡大などの噂が飛び交い始めており、ドルの迷走が続いているのが現状であろう。昨日はS&P社に引き続き、格付け会社大手ムーディーズによって、金融保証保険会社(モノライン)MBIAとアムバックの格下げん見通しを発表しており、金融不安再燃が株価を押し下げている。日本株式市場への影響が懸念されており、金融ファクター主導の株式相場を懸念する声は大きく株安円高のが概念が生じているが、ドル買いと円安が先行しているように、原油価格の続落がドル買いに寄与している。そして、明日に控えている米雇用統計に先立ち、ADP全国雇用者数が発表されたが、事前予測を上回るプラス4万人(予想マイナス3万人)となり、これを受けてドル買いが進み、再びドル円は105円台、ユーロドルは1.5400割れの展開をみせているが、ADPは信憑性に関しては問題がある指数であるはずであるが、この数カ月間発表された数字が米雇用統計の数字との誤差が縮小しているため、ドルの底堅さが生じている模様。一方、5月ISM非製造業景況指数が依然として、景気成長と後退の分岐点である50を上回っており、また、主要構成指標である企業活動指数が前回の50.9から53.6に上昇した事が影響して、金融引き締め策がドルの買い戻しに貢献している状況である。
今晩は英BOE政策金利発表やユーロ圏欧州中銀金融政策発表が控えており、両金利とも据え置きが有力視されているが、インフレ懸念に対して、トリシェECB中銀総裁の声明文に注目が集まるが、米国側がインフレ重視の姿勢を見せ始めた以上は、金融不安も含めて、協調体制を推し進めれば、さらなるドル高要請にも繋がる可能性があるかもしれない。ドルの迷走は続くが、各当局のコンセンサスはインフレ懸念とドル高願望であること一考して臨むことも必要であろう。
いずれにしても、米ドルに関しては好悪材料が噴出しており、見極めの難しさがあるが、現状ではドルのもう一段の上昇を待ってからの売りを模索することが賢明であろう。ドル円は実需の売りを背景に、上値の重さが生じており、105円台半ばの展開を見てからでも遅くはないが、同レベルからの少なめの売りで始動することに妙味があるだろう。買いは104円台半ばに限定して臨むことを勧める。一方、ユーロドルは今晩のECB中銀総裁の声明によっては大きくブレル可能性があるが、レンジ幅を拡大して臨むことを勧める。1.5350〜1.5500のレンジ幅で様子見が賢明であろう。