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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円の上値メド 105.50円へ降下?

原油価格は一服感があるが、高止まりは解消されずに、世界的なインフレ懸念がマーケットを席巻している。各市場は原油価格の影響を受けて試行錯誤が繰り返されているが、為替市場においては原油価格の上昇が米ドル安とユーロドル高の連動性を疑問視する声も上がっている。サブプライム問題に端を発した潜在的な金融不安があるため、インフレに対して、金融引き締めのみでは対応できない環境にある。それゆえに、意図的な通貨高によって原油高の相殺を図る手段が講じられたとしても、実際問題として、1バレル130ドル台にまで乗せてしまった段階では、逆に通貨高による弊害も指摘されている。
この一カ月間の推移をみると、ドル円は102円台後半から105円台前半まで、ユーロドルは1.54前後から1.58前後であり、変動率としては落ち着きをみせている。
今週も値幅自体には金利観と原油価格が混在しており、限定的な動きが予想されるが、IMM通貨先物市場(投機筋)においても、豪ドルのみが5万台以上のロングと資源国通貨の強みを発揮しているが、それでも各通貨のネットポジションは減少傾向をみせており、相対的には方向感が欠如しているマーケットである。
世界的なインフレ懸念中で、欧州当局からはユーロ高を容認する発言もあるが、再び1.600台を目指すまでの力強さはないのが現状であろう。
一方、米国当局は先のFOMC議事録にあるように、「ぎりぎりの利下げ判断」に評価が分かれており、欧州経済と同様にインフレが優先課題になりつつあるかもしれないが、米大手保険会社AIGの格下げに見られるように、信用収縮問題を払しょくできる状況には程遠いのが現状である。そして、取り残された日本経済は未だにデフレ脱却宣言できないままに、原油価格の高騰と値上げラッシュが続いており、日本政府が執拗に繰り返していたデフレ懸念が自然消滅し、インフレ懸念に変貌しようとしている。各国とも経済のファンダメンタルズは健在であると強調しているが、景気減速とインフレが並行するスタグフレーションの波が確実に押し寄せており、金融調節と為替相場の限界が生じているのが実態と言えるかもしれない。当面は原油価格と株式市場の動向を睨んだ相場展開が予想されるが、先に述べたように過去数週間のレンジ幅をイメージして取り組むことが賢明であろう。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日2008年5月25日(日)
今週は通貨ペア12通貨中NZドル、カナダドル、ポンド、そしてユーロスイスの4通貨が様子見状態に突入しており、為替バランスとしてはドルが回復途上にあることを示している。売買シグナルがはっきりするまでは待機姿勢が求められる。反面、豪ドル、ユーロ、そしてスイスフランの3通貨は底堅い動きを見せているが、チャート上では過大評価の状況にあり、現状からのロングは控え目にして臨むことを勧める。
HP新外為の森:http://www.justmystage.com/home/kentish/
ペットチャート:http://www.justmystage.com/home/kentish/sub4.html
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000  現状乖離幅 0.0247→0.0205
A)1÷ユーロ$1.5762=0.6344(B)100÷ユーロ円162.90=0.6139 A-B=0.0205⇒ドル円103.35円
売りターゲットが110円台から段階的に下げを速めているようにチャート上からの解釈ではドル円の上値の重さを示しており、今までの乱高下に収束感がある。先週の買いシグナル104.00から、今週も引き続き103.35の買いシグナルが点灯している。
(売りターゲット105.50〜106.50)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅50円  現状乖離幅 58.15→59.55円
今月は1.58台の強い売りシグナルから、下値は1.53台まで下げ基調を強めていたが、先週の売りシグナル1.5591から、今週は再び強い売りシグナル1.5762が点灯している。
(買いターゲット1.4950〜1.5050)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅10円  現状乖離幅 4.75→4.20円
先週は0.96台に乗せるほど豪ドルの強さが目立つ状況である。先週の強い売りシグナル0.9543に引き続き、今週も強い売りシグナル0.9594が点灯している。
(買いターゲット0.9100〜0.92000)
▲NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅24円  現状乖離幅 23.55→22.15円
先週まではNZドルの弱さが生じていたが、先週の買いシグナル0.7736から、今週はポジション解消売り0.7857に達しており、様子見状態に突入している。(様子見)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円  現状乖離幅 0.00→−1.10円
パリティ1.00前後で小幅に推移しており、先週の様子見1.000から、今週は1.0106へと上昇したが、売買シグナルは出ておらず、依然として様子見が点灯している。
(様子見)
 ▲ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円  現状乖離幅 98.55→101.25円
先週の強めの買いシグナル1.9572から、今週はポジション解消売りシグナル1.9797が点灯している。(様子見)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅15円  現状乖離幅 4.70→2.40円
1.5台打ではスイスフランの騰勢に陰りが見られたが、先週の買いシグナル1.0473から再び乖離幅が拡大しており、今週は強い買いシグナル1.0238が点灯している。
(売りターゲット1.0700〜1.0800)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円  現状乖離幅 18.80→17.95
依然として18円前後での乖離幅で推移しており、強い豪ドル売りとNZドル買いシグナルが点灯している。
(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 2008年11月に18.15円記録、今週は更新中)*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZDの直接取引)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。
今年度1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月平均は258.14と円高傾向。
4月平均は263.20円。5月第1週267.90へと円安、第2週は262.15、先週は264.15、今週は162.90+103.35=266.25とニュートラルなレベルで推移している。
★欧州3大通貨
▲ユーロポンド 平均乖離58円 現状乖離幅 41.40→41.70円
強い売りシグナルが継続中であり、先週の売りシグナル0.7966に引き続いて、今週も同レベル0.7962の売りシグナルが点灯している。(買いターゲット0.7400〜0.7500)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 62.85→61.95円
安定的に推移しており、先週の弱い売りシグナル1.6329から、今週はポジション解消買い1.6137が点灯しており、現状でも弱めの買いシグナルとなっているが、様子見に近い状態で推移している。(様子見)
▲ポンドスイス 平均乖離120円  現状乖離幅 104.25→103.65円
再び乖離幅が拡大傾向にあり、先週の買いシグナル2.0498から、今週は強い買いシグナル2.0267が点灯している。欧州3大通貨の比較ではポンドの弱さが際立っている状態である。(売りターゲット2.1200〜2.1300)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。
尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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