消化不良のドル買い?
先週末は米4月ミシガン大消費者信頼感指数が1982年3月以来の最低水準まで落ち込みドル売りが鮮明になったが、G7を境にして、マーケットに変調の兆しが見られる。G7では主要国が市場の安定化に向けて如何に連係プレーを重視するかにあるが、ドルの買い戻し調整が行なわれる可能性がある。共同声明においては各国の関心が想像以上に為替相場の変動に危惧しているが、視点を変えれば、サブプライム問題の信用不安拡大に歯止めを掛ける手段が限れており、米国の金融緩和策での限界と余りにも高騰した原油価格を背景を考慮すると、米国が主張する強いドルが問題解決の糸口になる可能性がある。
今週は注目度の高い米経済指標が相次いで発表されるが、消費者物価指数や住宅関連などは良化する可能性は殆んどなく、基本的にはドル売り満載の相場展開が予想されるが、G7後の水面下での市場介入操作の可能性も含めて、ドルが加速的に売られる状況ではないだろう。反面、損失が拡大した米大手金融機関の決算発表が待機しており、相対的にはドルの買い戻し作業は限定的と判断するが、株式市場及び原油価格の動向を注視した相場観が要求されるだろう。いずれにしても、週はじめは迷走していた米ドルの方向性を再確認する相場展開が予想されるため、少な目のトレードに徹すると共にレンジ幅を拡大して臨むことが優先される相場であろう。
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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年4月13日(日) 週末の終値ベース
今回のG7では他国からのドル安批判と共に、原油高やサブプライム問題に端を発した信用不安が世界を席捲しており、米経済の後退観測が更にドル安を助長させてはいるが、見方によれば、ドルが窮地に追い込まれており、ドルの回復度が待たれる市場である。
相対的には人為的な為替介入でもない限りはドルの反発は期待できない相場展開が予想されるが、日足チャート(6ヶ月ターム)と週足チャート(3年ターム)で見る限りは、ドルが極限近くまで売られている状況を見せている。常にドルの反発が起こりうる状況にある。
主要通貨の中ではポンドとカナダドルを除けば、ドルはスイスフランとユーロ、そして円に対して後塵を拝しているため、今回のG7を境にしてドルの反発が生じる可能性は否定出来ないだろう。他には、オセアニア通貨の裁定取引の乖離幅が13円台半ばを維持しており、先週と同様に豪ドル売り/NZドル買いの妙味が生じており、少なめからの始動であればリスクは限定的であろう。
そして、欧州3大通貨間では、ポンドとスイスフランの差が歴然であり、一気に2.000前後から1.97台へ急落しており、ポンドスイス買いの妙味が生じている相場展開である。
US$チャート(ユーロドル⇔ドル円)
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0134→0.0059
(A)1÷ユーロ$1.5810=0.6325(B)100÷ユーロ円159.60=0.6266 A-B=0.0059⇒ドル円100.95円
100前後の攻防が続いているが、100円割れの状況では底堅い動きを見せている。先週の買いシグナル101.50に続き、今週も強い買いシグナル100.95が点灯している。(売りターゲット109.00〜111.00)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 58.20→58.65円
ユーロドルは1.59台を記録してからは週足チャート上でも乖離幅が拡大しており、同レベルでは警戒レベルに達している。先週の売りシグナル1.5734から再び上昇しているが、今週は引き続き強い売りシグナル1.5810が点灯している。(買いターゲット1.4850〜1.4950)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅13円 現状乖離幅 7.90→7.20円
再び乖離幅が拡大しているが、0.93台では上値の重さが生じており、逆に0.90割れではポジション解消買いの度合いを強めている。先週の売りシグナル0.9222に続き、今週は強めの売りシグナル0.9287が点灯している。(買いターゲット0.8850〜0.8950)
▲NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅25円 現状乖離幅 20.45→20.80円
依然として、0.80台乗せでは上値の重さがあり、強めの売りシグナルが点灯している。先週の強めの売りシグナル0.7887から再び0.80前後に接近しており、今週は強目の売りシグナル0.7940が点灯している。(買いターゲット0.7500〜0.7600)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅0円 現状乖離幅 −0.10→2.35円
パリティ1.00前後で様子見に転じているが、先週のポジション解消レベル1.0089から、今週は弱い売りシグナル1.0238が点灯しているが、基本的には様子見レベルで推移している。(様子見)
▲ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 100.80→98.00円
一見、ポンドの値動きは激しいが、ドルと円との相関性においては、比較的高いレベルで推移している。売買シグナルとしては強弱が拮抗している状態であり、先週の様子見レベル1.9931に引き続き、今週も引き続き1.9708で様子見が続いている。(様子見)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅15円 現状乖離幅 060→0.10円
1.000割れでは強い買いシグナルが何度も点灯しており、常に反転の可能性を見せている。先週の買いシグナル1.0059に続き、今週も強い買いシグナル1.0010が点灯している。(売りターゲット1.12000〜1.1300)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 13.55→13.60円
先週は借り幅が13.55円まで拡大しており、豪ドル売り/NZドル買い局面に達しており、少な目からの始動に妙味が生じている。今週も先週と変わらずに、乖離幅が13.60円と変化が見られず、 豪ドル売り/NZドル買いの状態を維持している。
(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 2008年11月4日に18.15更新)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZDの直接取引)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円と着実に円安方向へ。今年度は1月平均は266.31円。2月平均は264.68円。3月平均は258.14と円高傾向。
4月の先週は261.20、そして、今週は159.60+100.95=260.55とほぼ変わらない。
★ 欧州3大通貨ペア
▲ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 42.60→39.35円
ユーロ導入以来、初めて0.80台に突入しており、ユーロとポンドの強弱関係が鮮明になっている。チャート上でも警戒レベルに達しており、先週の売りシグナル0.7894から、今週は強い売りシグナル0.8042が点灯している。(買いターゲット0.7500〜0.7600)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 58.80→58.75円
直近ではユーロとスイスフランの相関性は欧州通貨特有の動きを見せている。段階的にスイスフランの修正局面を見せており1.600台まで復活する可能性を見せている。先週の買いシグナル1.5828に続いて、今週も引き続き買いシグナル1.5825が点灯している。(売りターゲット1.6250〜1.6350)
▲ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 101.40→98.10円
スイスフランの圧倒的な強さとポンドの弱さが際立っている。2.000前後の攻防から、ポンドとスイスの格差が歴然となっている。先週の買いシグナル2.0050に引き続いて、今週はかなり強い買いシグナル1.9727が点灯している。(売りターゲット2.1900〜2.2000)
*****************************★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
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