ドル離れ鮮明? 更に売り込めるか?
米ドル離れが鮮明になりつつある。米経済は過去にもドル安で何度となく経済危機を乗り越えてはいるが、恒久的なドル安は世界経済に悪影響を及ぼすが、短期的にはドル安と円高は日本経済にとっても潤滑油になるでしょう。たとえユーロドルが1.60に達しても、ドル円100円割れならばユーロ円は現状維持。となれば、ドル円90円、そしてユーロ円144円の可能性もありますね。但し、一言にドル離れとは簡単には言えないのが世界経済の裏事情です。世間では親離れもできないが、子離れもできない方が少なくないようです。我が家では亭主離れは進行中ですが?ドル離れ同様に歯止めがききません。
▼早朝からドル円が104円台に突入している。想定していた以上に値が飛ぶ相場展開になっており、月末を控えたポジション調整とともに、各通貨ペアには損失確定売買が先行している模様。昨日のバーナンキFRB議長の議会証言内容は前日と変わりがないが、米経済指標が悪化したことに加え、バーナンキFRB議長の質疑応答では前回と同様に終始弱気の経済見通してであり、住宅関連に関わる小規模の金融破たんが生じる可能性を示唆したことで、市場は更に厳しい景気懸念を抱いていると受け取り、急速に株安と円高の流れに転じている。比較的狭いレンジ幅のドル円に対しても、ポジション解消売りが先行しているように、これだけ米経済に対する後退観測が高まっている以上は、出遅れ感のある円に対しても輸出企業を中心としたドル売りと、ポジション解消売りが殺到している状況であろう。株安円高パターンが再燃しており、日本経済にとっては悪循環の様相を呈している。いずれにしても、ユーロ/ドルは1.52台へ、原油価格102ドル台へ、金価格967ドルへといずれも市場最高値を更新している状況では、米経済の後退観測が本格化しており、FRB議長がドル離れは深刻ではないと言及しても、ドルの信任が揺らいでいると言わざるを得ないだろう。
一方、ユーロドルはECBの利下げ期待が後退したことも起因しており、昨日に続き史上最高値更新を更新しているが、問題はバーナンキFRB議長がドル安に対して懸念を表明していないため、市場はドル安容認と受けとめたドル売りが加速している状況である。既に一部関係者はユーロドルは1.5500、ドル円は100円割れと安易に報じているが、現状の米経済の悪材料から見れば、確かにその可能性は否定できないが、米経済のリセッションとドル安の連鎖が確実に日欧経済、そして新興国の経済成長を脅かすことは明らかであり、実際には安易に相場を語れないのが実状であろう。要はドル円100円割れもあるが、再び110円台の可能性が否定できないのが今の為替相場の実体である。ユーロドルも同様に、1.45までの急落もあり得る状況と考えるが、当面はドルの戻りを待ってからのドル売りを摸索することが賢明であり、ドル円は115円台半ば、ユーロドルは1.51割れの展開になるまでは静観することも大切な選択肢の一つである。繰り返しになるが、個人投資家では瞬時に動けない環境にあり、仮に積極的に参加するならば、ストップロスを適宜に配置して臨むしか良策はないだろう、さもなければ、このようにボラティリティ(変動率)の激しい段階ではワイドレンジで様子見に徹っして臨むことがベストであろう。
他方、サブプライムローンよりも格付けが上位にあるオルトAにまでにも蔭りが生じており、米住宅事情は想像以上に悪化している。そして、米国債10年利回り3.66%まで大幅に低下しており、リスク回避の動きが停まらない情勢である。現段階ではもう一段の米ドルの下げが予想されるが、常にドルの反発があると想定したポジショニングで臨むことを勧める。