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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

レンジ相場が続く!売り切れない米ドル、買えないユーロと円

先週末は米経済指標悪化を背景にして、軟調な欧州株式相場が懸念されたが、NY時間に突如、金融保証会社(モノライン)の救済計画が週明けにも公表される報を受けて、NYダウが上昇に転じて終了している。
米アムバック救済が週明けの本日又は明日にも発表される見通しであり、蓋を開けてみなければ、真の救済措置になるかは不明であるが、一時的にも信用収縮不安が後退したことでドルの上昇にも繋がっている。
現段階では市場の期待感が先行した形ではあるが、一方、大手格付け会社ムーディーズは金融保証会社モノラインのCIFGをトリプルAから格下げ方向で見直すと発表しており、必ずしも楽観視されてはいないのが実状である。
▲今週も注目する材料は多いが、その中でも、27日と28日に控える上院と下院で行なわれるバーナンキFRB議長の議会証言に尽きるであろうが、前回の議会証言とは違い、年2回の定例委員会でもあり、今後の金融政策に関わる具体的な経済見通しが言及されるだけに注目度は高いはずである。流れから判断しても、短期間で一変する材料は乏しいと思われるが、好悪材料が相混じる状態を想定して臨むことが賢明であろう。
いずれにしても、株式相場主導の展開でもあるが、株式の変動要因が日々異なる状況でもあり、為替相場が過剰に反応する傾向は否定できず、当面は方向感を模索する相場展開は避けられないため、一喜一憂する攻防は避けられないであろう。 
▲シカゴIMM先物通貨の状況も先週とは大差がないが、主要通貨の中では低金利の円ロングが5万枚を超えてはいるが、豪ドルロングも含めて微増に留まっており、さすがに投機筋の動きも低迷している模様であり、要は市場の方向感がかなり乏しい状況を表わしている。他では、大手金融機関の決算発表は27日 英住宅金融最大手HBOS、そして 28日にはロイヤルバンクオブスコットランドが予定されている。
総じて、今週も容易な相場ではなく、慎重な対応が望まれるが、ポジション管理を徹底して臨むことが肝要である。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年2月24日(日)週末の終値ベース

戦略的には米ドルの売られすぎが生じているため、ドルの買い戻しが本線であるが、リスク回避の相場展開であり、ドル売り主導の相場展開である。もう一段のドルの下げ局面を確認してからドルの買い戻しに専念せざるを得ない状況である。
現段階でポンドとカナダドルが対ドルではニュートラルなレベルに位置しているが、オセアニアとスイスフランは逆に乖離幅が拡大している。現段階におけるマーケットが質への逃避に重点が置かれている事が理解できる。原油価格が1バレル100ドルを超えて、なおも高止まりの様相を見せているが、有資源国通貨と言われていたカナダドルと豪ドルの明暗が生じているように、一筋縄ではいかないマーケットである。昨年8月のサブプライム問題が表面化してから半年程経過したが、チャート上ではリスク回避を背景にしたドル安が定着している。ポンドを除けば乖離幅の変更を余儀無くされている通貨が散見されているため、今週よりペットチャートを見やすくするために暫定的に乖離幅を修正しています。US$およびユーロドル強弱についてはチャート上に罫線を引き、売買シグナルの精度を高めるチャートに致しましたので後でご参照ください。

新外為の森 US$チャート(ユーロドル⇔ドル円)ドル買い
『▲通貨別チャートを参照』各通貨ペアをクリックしてご覧下さい。
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0490→0.0450
1÷ユーロドル1.4834=0.6741(A)100÷ユーロ円158.95=0.6291(B)A-B=0.0450⇒ドル円107.15円
ドル円は106.50〜118.50のレンジ幅での攻防が続いているが、107円割れでは強い買いシグナルを見せてはいるものの、サブプライム問題によって上値が封じられており、チャート上でもドルが堅調になるには時間を要する状況を示している。先週の買いシグナル107.75に引き続き、今週も買いシグナル107.15が点灯している。
(売りターゲット112.50〜113.00) 

ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 50.45→51.80円
サブプライム問題が発生して以来、ドル安が定着している為、チャート上でも1.45〜1.48台の繰り返しである。今週から日足チャート上に罫線を引いて乖離幅の売買シグナルを明示してありますのでご参照ください。先週の売りシグナル1.4682から、今週は強い売りシグナル1.4832が点灯している。
(買いターゲット1.4250〜1.4300)

豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅15円 現状乖離幅 9.80→8.10円
0.90台からは強い売りシグナルが点灯しているが、リスク回避と有資源国通貨の強みを発揮しているが、以前も0.92台からは急落を見せているように、高い値警戒レベルにある。先週の0.9090の売りシグナルに続き、今週はかなり強い売りシグナル0.9244が点灯している。
(買いターゲット0.8500〜0.8600)

NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅27円 現状乖離幅 22.00→20.40円
豪ドル円と沿った動きが続いており、先週は0.80台を前にして、売りシグナルア0.7876が点灯していたが、豪ドルに便乗した形で上昇しており、今週は警戒レベルの売りシグナル0.8096が点灯している。
(買いターゲット0.7400〜0.7500)

カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅5円 現状乖離幅 0.70→1.40円
パリティ割れでは買いシグナル、1.0200台では売りシグナルの様相を示している。先週の買いシグナル1.0065から、今週はポジション解消の売りシグナル1.0132が点灯し、様子見へ突入している。
(様子見)

ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 103.60→103.60円 
乖離幅自体は全く変わらず、先週の様子見レベル1.9615に引き続き、今週も1.9669で様子見が点灯している。目安は1.98台の売りと1.95割れからの買いに妙味がある。
(様子見)

スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅17円 現状乖離幅 9.15→8.75円
豪ドルと共にリスク回避通貨として双璧であるが、先週の買いシグナル1.0928に続き、今週はかなり強い買いシグナル1.0856が点灯している。
(売りターゲット1.1550〜1.1650) 

オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅12.00円 現状乖離幅 12.70→12.30円
オセアニア通貨同士の乖離幅は比較的安定して推移している為、しばらく売買シグナルが発生していないが、解離幅が瞬間的に拡大が散見されるため、随時チェックをする事も必要である。今週も先週に引き続き様子見の域を脱しておらず、10〜13円の乖離幅では妙味の乏しい展開である。現状の目安では10円割れと14円台の乖離幅に注視して臨む事を勧める。
(様子見)
(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 11月4日に18.15更新)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(260円以下は円高⇔270円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円と着実に円安方向へ。今年度は1月平均は266.31円。2月は263.55円、263.10円、先週は265.95、そして今週は158.95+107.15=266.10と平行線である。

★ 欧州3大通貨ペア 
ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 53.15→51.80円
ポンドは対ドルでは盛り返しを見せているが、欧州3大通貨の中では弱含みは隠せない。依然としてスイス、ユーロ、そしてポンドの順位には変動はないが、先週の売りシグナル0.7485から、今週は強めの売りシグナル0.7542が点灯している。(買いターゲット0.7200〜0.7250)

ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 59.60→60.25円
ユーロの上昇が目立っており、スイスフランは一時ほどの勢いが失せ始めている。1.6000割れからは強い買いシグナルが点灯しているが、先週の買いシグナル1.6045から、今週も引き続き買いシグナル1.6104点灯している。
(売りターゲット1.6250〜1.6300)

ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 112.75→112.05円
ポンドとスイスの強弱がはっきりし始めており、流れはポンド売りスイス買いではあるが、乖離幅としては警戒レベルまで達しており、先週の買いシグナル2.1435に引き続き、今週も強い買いシグナル2.1353が点灯している。
(売りターゲット2.2650〜2.2700)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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