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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル売り材料満載だが、売り足鈍る展開へ、戻り売りが正解?

先週は米小売り売上高や米投資家の8000億ドルの再保証、そして、本邦のGDPが改善された事など株価が急上昇する局面もあったが、反面、モノライン保証会社の格下げが報じられるなど、依然として株価動向に振り回されている為替市場である。市場は引き続き今週もリスク回避がテーマになるだろうが、経済指標に関しては、米経済の後退観測を背景にして、市場の反応は鈍くなっており、方向感に欠ける展開を見せている。本来ならば米1月消費者物価指数、1月建設許可件数、住宅着工件数などに注目しなければならないが、一連の米経済指標の流れからは、たとえ事前予測よりも悪化したとしてもサプライズにはならないだろう。そして、FOMC議事録(29日、30日分)が発表されるが、既にバーナナンキFRB議長が追加利下げを示唆した証言をした後だけに、今後の利下げ幅を見極める材料にはなるだろうが、市場は既に0.5%の利下げを100%織り込んではいる状態であり、それ以上の利下げ判断としては賞味期限の切れた議事録とも言えるだろう。

▲今週の要人発言もバーンナンキFRB議長及びトリシェECB総裁の発言が不在ではマーケットに対してインパクトが欠けることは否めない。その他では欧州大手金融機関の決算が相次いで発表されるために、市場の流れはドル売りではあるが、ユーロドル及び欧州通貨の下値リスクを考慮して臨む事が賢明であろう。ちなみに今週は19日にバークレイズ、20日はBNPパリバ、そして21日には損失疑惑のある注目のソシエテ・ジェネラルの決算発表が控えている。ドルの上値も重いがユーロドルの上値も重く、レンジ相場の状況から脱する難しさがある。

▲一方、シカゴIMM先物市場における投機筋の動向は、前回並にほぼ横這いであるが、低金利の円と高金利の豪ドルに対してリスク回避の思惑が集中している状況であろうが、伸び悩みが見られるように、更にロングに傾けるリスクが生じている。方向性を確認できるほとの展開を見せていないだけに、ボックス相場と判断して、大きな動きを待ってからの逆張りに妙味があるだろうが、少な目のポジショニングで臨むことが肝要である。

今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年2月17(日)週末の終値ベース
昨年8月のサブプライム問題以来、各通貨間の相関性が低くなる傾向があり、サブプライム関連の収束が見えるまでは2つの通貨ペアの乖離幅が拡大する可能性を見せはじめている。戦略的には日足と同時に週足を併用して臨むことで売買タイミングを図ることを勧めるが、日足チャートも含めて、近視眼的な5分足や15分足のチャートに集中するよりは週足チャートで大局的に検証することが肝要である。又はドルの強弱を測るためにチャート上にストキャティックやRSIのように売られすぎと買われすぎの罫線を引くことで売買シグナルを再確認することも必要である。(下記US$チャートで日足と週足を比較して参照してください。)
ドルの総合評価としては、リスク回避の動きが先んじているため、上値の重い状況は否めないが、チャート上ではドル売りが生じても、加速的なドル売りには繋がらない状況である。
US$チャート(ユーロドル⇔ドル円)ドル買い
『▲通貨別チャートを参照』各通貨ペアをクリックしてご覧下さい。
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0468→0.0490
1÷ユーロドル1.4682=0.6811(A)100÷ユーロ円158.20=0.6321(B)A-B=0.0490⇒ドル円107.75円
ドル円は106円台からの強い買いシグナルを見せているが、サブプライム問題絡みの相場展開であると、チャート上でも改善の見込みが強まるまでは上値の重さが払拭できていない。先週の強い買いシグナル107.35によって108円台半ばまで上昇を見せたが、今週も買いシグナル107.75が点灯している。
(売りターゲット112.50〜113.00) 
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 48.40→50.45円
1.48前後から強い売りシグナルから、1.45割れまで急落したが、先週の売りシグナル1.4515からは、再び盛り返してはいるが、1.47台では上値の重さが生じており、今週も引き続き売りシグナル1.4682が点灯している。
(買いターゲット1.4150〜1.4200)
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅20円 現状乖離幅 11.30→9.80円
0.90前後を挟んだ動きであるが、リスク回避の一面を見せており、下値は堅調であるが、大勢としては0.89〜0.91のレンジ相場であるが、先週の売りシグナル0.8947から、今週は堅調に推移しており、強い売りシグナル0.9090が点灯している。
(買いターゲット0.8250〜0.8300)
NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅32円 現状乖離幅 22.80→22.00円
今週は強い売りシグナルが点灯している中で、0.800台に乗せるかが焦点になるが、豪ドルの堅調さ次第の状況であり、急落リスクが生じている。先週の売りシグナル0.7876から、再び強い売りシグナル0.7912が点灯している。
(買いターゲット0.7250〜0.7300)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 −0.05→+0.70円
パリティ1.000前後の攻防が続いているが、日足チャートでは通常の買いシグナルが点灯している状況であるが、長めの週足チャートでは強い買いシグナルが点灯中である。先週の買いシグナル1.000に引き続き今週も買いシグナル1.0065が点灯している。
(売りターゲット1.0200〜1.0250)
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 101.55→103.60円 
値動きの激しいポンドであるが、主要通貨の中では安定的に推移している。目先の売買シグナルは1.98の売り1.95割れの買いである。先週の買いシグナル1.9460でポジション解消となったが、今週は早くも1.9615まで上昇しているが、チャート上では様子見レベルに位置している。(様子見)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅20円 現状乖離幅 10.00→9.15円
リスク回避が先行しているため、サブプライム問題の影響を受けて上昇中であるが、チャート的には高値掴みの状況を示しており、先週の買いシグナル1.1027に引き続き、今週も強い買いシグナル1.0928が点灯している。
(売りターゲット1.1550〜1.1650) 
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅10.00円 現状乖離幅 11.50→12.70円
先週よりは乖離幅は拡大傾向であるが、チャート上では強い売買シグナルは生じていない。10〜13円の乖離幅では妙味が乏しい状況である。現状の目安では10円割れと14円台の乖離幅が必要であり、様子見が点灯している。(過去5年間の乖離幅レンジは4.00〜18.15円 11月4日に18.15更新)*注(クロス円の売買には円相当額を一致させるか、またはAUD/NZD売りの直接取引)(様子見)

単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円と着実に円安方向へ。今年度は1月平均は266.31円。2月は263.55円、先週は263.10円、今週は158.20+107.75=265.95。1月と同様にこう着感が浸透している。

★ 欧州3大通貨ペア 

ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 53.15→53.15円
乖離幅は平行線を保ってはいるが、先週の売りシグナル0.7456から弱冠上昇しているが、依然として、今週も売りシグナル0.7485が点灯している。当面の目安としては0.72台半ばではロング、0.75台ではショートのイメージが必要。(買いターゲット0.7200〜0.7250)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 58.40→59.60円
ユーロドルが持ち直してはいるが、それ以上にスイスフランが堅調に推移しており、先週の買いシグナル1.5999に引継ぎ、今週も買いシグナル1.6045が点灯している。(売りターゲット1.6250〜1.6300)
ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 111.55→112.75円
週の半ばでは2.17台まで上昇したが、スイスフランの堅調さに圧され、再び2.14台まで戻している。先週の強い買いシグナル2.1459に続き、今週も買いシグナル2.1435が点灯している。
(売りターゲット2.2650〜2.2750)
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★各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
★本ペットチャートは常に3〜4段階の少な目の分散投資戦略をお勧めしています。尚、最終的な投資判断は投資家ご自身の責任で行なって下さい。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com***************************************


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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