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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米経済は赤信号が点滅中、日欧経済はイエローカード?

米経済はレッドシグナル点灯中

米経済はレッドシグナル点灯中

米経済にレッドカードと言う見出しをしばしばは拝見しますが、米国がレッドカードならば、日本は赤に近いイエローカードなのかもしれません。
我が家でもレッドカードを娘に連発しているのですが、全く効き目はありません。『馬の耳に念仏』と言うのでしょうが、我が家ではレッドカード出すとブーブーと逆切れするので『豚の耳に念仏』と称しています。おそらく、典型的な反抗期なのでしょう。しかし、奥方の反抗期が加わるとリスク回避のため、一目散に逃げるし策はありませんね。 為替は難易度が高まるほど面白くはなるのですが、同時にストレスが溜まりますので、相場から一時逃避することも大事です。

▲昨日の相場展開が二転三転しているように、市場の見方が猫の目のように変わる状況である。米週間新規失業保険申請件数の2年ぶりの増加が示すように、米経済の鈍化傾向が鮮明になっている。当然、今晩の米雇用統計が不安視されており、非農業部門雇用者数の事前予測では6.8万人増と発表されているが、前回の1.8万人増との比較では評価されるだろうが、前回の数字でバーナンキFRB議長が5%の失業率に落胆したように、大幅な増加は見込めず、前月並みの数字であれば、更にドル売りが強まる展開であろう。
▲昨日の米株式市場の反応は米雇用統計には懐疑的な見方が強いため、株式市場は反落して始まったが、その後に懸念されていた金融保証大手(モノライン)のMBIAの格付けが維持される見通しから、急遽、金融ファクター株を中心に買い戻しが生じたことで、結局は200ドルを越える上昇を見せて終了した。いずれにせよ、1.25%の利下げ後の反応としては多少なりとも評価されるが、株式市場の安定には繋がらないのが現状である。 
米債券相場の2年債が2%割れ寸前まで利回りが低下している状況を踏まえると、年度内の追加利下げの可能性を1%以上と見なしても不自然はない。それだけサブプライム問題が長期化することを示唆していると思われるが、モノライン問題が付加されたことで、金融緩和が促進する可能性が増しており、反面、インフレ懸念が根強く、実質マイナス金利の様相を見せているが、利下げ効果が市場に浸透するには時間を要するため、株式相場の安定には繋がらない状況である。少な目のトレードとストップロスの配置に重視して臨むことを勧める。
昨日のドル円は一時106割れをみせたが、実需の買いと利益確定買いにより、再び106円台後半まで上昇したが、107円台からのポジション調整売りも手伝い、ドルの上値の重さと105.50〜107.50のレンジ相場を再確認した展開である。
▲ドルの悪材料ばかりが目立つ状況であるが、これだけの悪材料が噴出していながらも限定的なドル売りに停まっていることも重視すべきである。米経済の減速感が増す以上に、ユーロ圏、そして日本経済にも買い材料が乏しくなっているのが現状であり、サブプライム問題の余波が日欧経済にも急速に押し寄せている。中期的に見れば、明らかにドル売りの流れではあるが、現段階では米ドル、ユーロ、そして円の優劣が僅差であるのが現状であろう。それゆえに、あらゆる指標に敏感に市場は反応を示すが、一過性の材料として捉えることが賢明であり、戻り相場に配慮して臨むことを勧める。
本日のドル円は昨日のレンジ幅と同様に策を労せずに106円割れの買いと107円前後の売りに終始して臨むことを勧めるが、日経平均株価が不安定なだけに、小額の売買に徹することが賢明である。ユーロドルも同様に1.49台の上値の重さが確認されたため、売りに妙味があるが、1.48割れの買いと1.49台の売りで様子見が賢明であろう。

注*補足的になるが、1月は難易度の高い相場展開であったが、レンジ相場の好運にも恵まれ、本レポートの収支結果はかなり好転しましたが、2月相場は更に難易度が増すと思われますので、ポジションの拡大をせずに、ストップロスの原点に戻り、リスク限定の売買を心掛けてください。
(1月収支結果 HP新外為の森内参照)


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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