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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米経済の正念場!

先週発表された米景気刺激対策に関しては、大方の予想通り内容的には即効性はないであろうが、週初からブッシュ大統領の一般教書演説があり、今後の米経済を占う意味でも重要な局面を迎えることになるが、常に強気姿勢を貫く米国であるが、一連の景気刺激対策と緊急利下げを敢行した舞台裏には、米経済が如何に深刻な事態にあるかを予期していると解釈してよいだろう。 水曜日には注目のFOMCによる追加利下げが実施される見込みであるが、通常であれば、緊急利下げを試みたFOMCとしては、先の0.75%の金融緩和効果を見極めたいのが本音であろうが、サブプライム問題に関連したモノラインと称する金融保証金会社の格下げまで視野に入ると、米大手金融機関の破綻劇までもが懸念されており、最終的には米経済の基盤を狂わす事態を招きかねない。本来ならば、追加利下げは0.25%が有力視されるところであるが、0.25%の利下げでは米株式市場が続落する恐れがあり、世界経済のコンセンサスを重視する立場にある米国としては、0.5%の思い切った利下げに踏み切る可能性が強いであろう。
さもなければ、その後の声明文で、更なる追加利下げを示唆しなければならないが、今週の米新築住宅販売件数、第4四半期GDPなど他の米経済指標が改善する見込みは少なく、後手後手に回る可能性もある。 結果的には金融緩和策のみでは、現状の打開策としては不満が残り、恒久的に不安要素を抱えたままで、今後の成り行きに託すしかないのが現実かもしれない。
そして、今週末の米雇用統計によっては米経済の後退観測が早まる恐れもある。前回の米雇用統計で失望感を味わったバーナンキFRB議長であるが、金融政策を後押しするFRBとしても、大幅な追加利下げに踏み切るしか策はないのが現実であろう。

▲今週も株式市場の波乱含みが予想されるだけに、為替相場も同様に一喜一憂する相場展開にならざるを得ないが、積極的なポジションは控えて、大きな動きを待ってからの始動に専念する事が賢明であろう。戦略的には米ドルショートが基盤になるが、既に打たれ強い米ドルでもあり、加速的なドル売りには繫がらないと判断し、ドル円及びユーロドルに関してはボックス圏でのイメージが必要である。ドル円105〜108円、そしてユーロドル1.4450〜1.4850の大雑把なレンジで取り組むことも一案である。

いずれにしても、米ドルの悪材料が噴出している割にはドル売り意欲が減退しているマーケットであり、市場は米ドル売りに対して慎重姿勢を見せている。要はリスク回避を優先しており、ポジションの縮小がテーマになっているため、戦略的には臆病になっている相場展開が予想され、ポジション解消が早まる傾向がある。それゆえに、加速的なドル売りに繫がらないのが現状かもしれない。
本来ならば、金利差縮小によるドル売りが優先されるはずであるが、相対的に信用収縮が絡んだ難易度の増している状況であり、一言でいえば、読みきれない相場展開と言えるだろう。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年1月27(日)週末の終値ベース
基調は米ドル売りの流れであるが、リスク回避の動きが市場をリードしているため、相対的には通貨の相関性が乱れている状況が続いている。 既に、一時のカナダドルやポンド。に対しては、米ドルの回復基調が顕著であるように、米ドルの下落余地が減少している。
しかしながら、依然として、避難通貨として、ユーロ、スイスフランの強さが目立ち、そして、高金利通貨のオセアニナ通貨に対しても、潜在的なドルの弱さが散見されているのが現状である。反面、本チャート上ではドルの下落余地が少なくなっており、一連のサブプライム関連の問題が沈静化すれば、米ドルの急反発にも繫がる可能性を帯びている。
ドル円に関しては、ドルの買い余地を残している状況であるが、株式市場を意識したドル高円高の相関性があるため、米ドルの優劣だけでは判断に苦慮する状況である。
今後も円安局面ではクロス円の円キャリートレード手仕舞いが優先されるため、ドル円及び、クロス円の上値の重さが生じ易く、円高局面が想定されるが、株式市場が介在している為、掴み所が難しい相場展開である。戦略的には常に少な目のポジションでの始動が賢明であり、無茶する相場展開ではなく、大きな動きを待ってからの始動に徹することが賢明であろう。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0439→0.0434
1÷ユーロドル1.4677=6845(A)100÷ユーロ円156.75=0.6379(B)
A-B=0.0434⇒ドル円106.80円
先週は強めの買いシグナル106.85が点灯していたが、週半ばでは108円台を窺わせる展開も見せたが、再び先週レベルまで戻して終了。今週も引き続き買いシグナル106.80が点灯している。(売りターゲット112.50〜113.00) 
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 49.25⇒48.15
1.48台からは上値の重さが生じている。先々週の強い売りシグナル1.4777から、先週の1.4609まで下値を探る展開であったが、今週は弱冠戻しているが、引き続き売りシグナル1.4677が点灯している。 (買いターゲット1.4100〜1.4200)
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅20円 現状乖離幅 12.40⇒12.80円
高金利通貨の強みがあり、売りシグナルが継続的に発信されているが、現状の目安としては0.90台の売り、0.85台では買いシグナルの状況である。臨機応変な対応が望まれるが、先週の売りシグナル0.8793に引き続き今週も売りシグナル0.8801が点灯している。
(最終買いターゲット0.8250〜0.8300)
NZドル(ドル円−NZ円)平均乖離幅32円 現状乖離幅 25.65⇒24.60円
先々週の強い売りシグナル0.7829から、先週は0.7599まで下値を探ったが、今週は金利据え置きの影響もあり、弱冠戻し基調にあるが、今週も引き続き売りシグナル0.7697が点灯している。
(買いターゲット0.7200〜0.7250)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 2.85⇒0.75円
先週はポジション解消局面の売りシグナル1.0274が点灯していたが、今週は早くも買いシグナル1.0071が点灯している。パリティ前後1.000が強い買いシグナルの分岐点の様相を見せている。(売りターゲット1.0250〜1.0300)
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅110円 現状乖離幅 102.00⇒105.00円
1.95〜1.97では、様子見状態がしばらく続いていたが、先週の1.9546の様子見から、今週は上昇をみせており、通常の売りシグナル1.9831が点灯している。もう一段の上昇(1.99台)を見てからの売りに妙味が生じている。(買いターゲット1.9550〜1.9600)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅20円 現状乖離幅 9.65⇒9.40円
リスク回避志向が根強く、スイスフランが堅調に推移しているが、先々週の1.0192の強い買いシグナルを基調にして、先週は1.0993まで上昇を見せたが、今週も引き続き強い買いシグナル1.0965が点灯している。(売りターゲット1.1950〜1.2000) 
オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅10.00円 現状乖離幅推移 12.75→11.80円
乖離幅は小動きの展開であり、10〜13円の乖離幅では特に売買シグナルを発信していない状態が続いている。先週の12.75円から今週は11.80と縮小してはいるがチャート上では反応が見られず、様子見が継続している。現状では15円以上ではAUD売り/NZD買い、そして10円割れでは反対売買が目安。(過去5年間の乖離幅4.00〜18.15円)11月4日に更新18.15円)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円と着実に円安方向へ。 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。今年度第一週は268.80円、第二週は269.95円、第三週は262.95円、そして、今週は156.75+106.80=263.55と円高局面を維持している。260円割れからの円売りに妙味がある。
欧州3大通貨ペア 
ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 52.75⇒55.05円
ポンドの上下動が激しいが、ポンドの下げ止まりと共に、上昇局面に転じたことから、先々週の売りシグナル0.7553から回復基調にある。先週の売りシグナル0.7474に引き続き、今週も売りシグナル0.7401が点灯している。(買いターゲット0.7200〜0.7250)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 58.90⇒59.35円
先々週までの1.62では様子見レベルで推移していたが、先週の買いシグナル1.6060に続き、今週も買いシグナル1.6093が点灯している。(売りターゲット1.6300〜1.6350)
ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 111.65→114.40円
ポンドの戻り基調とスイスフランの下落基調が重なり、相対的に調整局面に転じている。先週の強い買いシグナル2.1487に続き、今週は上昇見せているが、依然として、強い買いシグナル2.1745が点灯している。(売りターゲット2.3850〜2.3900)
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています。常に少なめからの始動を心掛けてください。尚、最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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