買い材料乏しい! どんぐりの背比べ→ドル・円・ユーロ
ブッシュ米大統領が発表した景気刺激策に対して、失望感とまでには至っていないが、市場は肩透かしの状況と言えるであろう。景気刺激策として、事前予測通りにGDPの1%に当たる1500億ドル規模になる骨組みとなる予定ではあるが、反面、800ドルの戻し減税と企業設備投資に対する減税が主力になるようだが、市場関係者からは景気後退観測が強まる中で、目先の税優遇制度の効果には懐疑的な見方が浮上している。 規模的にも不充分と言う見解が多々見られるが、現状の具体策では、なし崩しに終わる公算も指摘されているだけに、米経済のリセッションが見え隠れする状況には変わりがない。
▲いずれにしても、株価主導の為替相場になることから、今週も乱高下は必死であるが、米経済指標の恒常的な悪化傾向が示しているように、月末のFOMCでは0.5%の利下げは折りこみ済みではあるが、今週の株価情勢を睨みながら、0.75%の大幅利下げの可能性も否定出来ない状況である。
米経済の後退観測が早まり、世界の実体経済の鈍化を促しているが、ドルは過小評価された円に対して弱含みを見せているが、ユーロドルに対しては強含みを見せているように、円高とドル高の様相を見せている。ユーロ経済はインフレ懸念を排除する策に窮しているのが現状であろうが、一枚岩ではないユーロ経済にとっては、米経済の後退観測を懸念し、ユーロ経済への波及を考慮しながら利下げ論まで浮上しているため、ユーロドルの上値の重さが生じている。
先週は米大手金融機関が相次いで決算発表を行なったが、市場の見方はあく抜け期待もあるが、追加損失の恐れもあり、出尽くし感までには程遠い状況である。サブプライム問題による信用収縮リスクが収まりを見せていないが、世界同時株安の状況を見せており、債券利回りの低下が物語っているように、リスク回避の動きが先んじているため、世界経済の不安が異常な原油価格の上昇を食い止め、世界的なインフレ懸念が沈静化する可能性もあり、従って、金融緩和を誘引させる皮肉な相場展開が考えられる。穿った見方になるが、ドル安と円安の矯正局面になる可能性を帯び始めている。とりあえずは、来週のブッシュ大統領の一般教書と月末のFOMCの政策金利が発表されるまではドルの一進一退の攻防が予想される。
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●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2008年1月20(日)週末の終値ベース昨年8月のサブプライム問題の発覚以来、米ドルの下げ基調が早まっているが、年度が変わり、過小評価されていたドル円が105円割れを意識させられる展開であるが、ドルと円の連動性に偏重の兆しを見せている相場展開が予想される。米ドルは相対的な弱さを見せてはいるが、同時にユーロドルも下げ基調を見せているようにクロス円レートが乱高下している状況である。流れは、依然としてドル売りが鮮明であるが、チャート上ではドルの反発時期に突入しており、現状からはドル売りを強行するリスクが生じる。
相対的な購買力平価のバランス面を重視すれば、ドル円105円割れが大きな節目となるが、同時に円キャリー解消が更に進み、クロス円の下げが早まる可能性を秘めている市場である。必然的にユーロドル及びオセアニア通貨、強いスイスフランの急落局面を想定される。
一つ目安としてはユーロドル1.42〜1.43、ユーロ円150円を目指す展開が予想される。その鍵となるのは、やはり、サブプライム問題の収束にあるだろう。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅 0.0556⇒0.0439
1÷ユーロドル1.4609=0.6845(A)100÷ユーロ円156.10=0.6409(B)
A-B=0.0439⇒ドル円106.85円
円全面高の様相が強まり、現状の乖離幅では強い買い戻し局面に突入している。先週の買いシグナル108.95に引き続き、今週は強目の買いシグナル106.85が点灯している。流れ的にはもう一段の円高(106円割れ)からの始動。(売りターゲット112.50〜113.00)
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅 52.05⇒49.25円
1.48台からの強い売りシグナルから足早に下げているが、先週の強い売りシグナル1.4777に引き続き、今週も強めの売りシグナル1.4609が点灯している。
(買いターゲット1.4100〜1.4200)
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅20円 現状乖離幅 11.90⇒12.40円
0.90には届かずに下げ基調を早めている。金利先高感が払拭されており、0.90台の強い売りシグナルを背景にしながら、円キャリ−解消が懸念されている。先週の強い売りシグナル0.8908に続き、今週も強めの売りシグナル0.8793が点灯している。
(買いターゲット0.8250〜0.8300)
▲NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅 23.65⇒25.65円
先週の強い売りシグナル0.7829から、オージ円以上に円キャリー解消が進んでおり、急落しているが、今週も引き続き売りシグナル0.7599が点灯している。
(買いターゲット0.7200〜0.7250)
▲カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 2.05⇒2.85円
ドルとの連動性が強い通貨であるが、一時のパリティ割れの状態には程遠く、下げ基調を強めている。先週の買いシグナル1.0192に引き続き、今週は弱めの買いシグナル1.0274まで達しており、売りターゲットに突入しているためポジション調整売りを検討。
(売りターゲット1.0250〜1.0300から様子見へ)
▲ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅 104.20⇒102.00円
値動きの激しいポンド円であるが、ドル円との比較では相関性を保っており、先週の1.9564の様子見レベルと同様に、今週も引き続き1.9546で様子見が点灯している。(様子見)
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅20円 現状乖離幅 10.05⇒9.65円
さすがに1.000近辺ではドル売り意欲が減退しており、先週の強い買いシグナル1.0192から、今週も強い買いシグナル1.0993が点灯している。
(売りターゲット1.1950〜1.2000)
▲オセアニア通貨裁定取引 平均乖離幅10.00円 現状乖離幅推移 11.75→12.75円
乖離幅は弱冠拡大しているが、12円台では妙味に乏しい状況である。13円台からはナンピンシナリオに妙味があるが、NZDは主要通貨の中では高金利通貨No.1であるため、円キャリー解消の余波をまともに受ける通貨であることを踏まえると、乖離幅14円台からのAUD売り/NZD売りに焦点を当てて臨むことが賢明であろう。先週の11.75円から今週は12.75円と1円拡大しているが、様子見状態が継続している。
15円以上ではAUD売り/NZD買い、そして10円割れでは反対売買が目安。
(過去5年間の乖離幅4.00〜18.15円)11月4日に更新18.15円)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(265円以下は円高⇔275円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度上半期253円、下半期267円と着実に円安方向へ。 2007年度は第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円、第4半期277円。1今年度第一週は268.80円、第二週は269.95円、そして今週は156.10+106.85=262.95と円高局面に突入。260円割れからの円売りに妙味あり。
● 欧州3大通貨ペア
▲ユーロポンド 平均乖離70円 現状乖離幅 52.15⇒52.75円
ポンドの急落により、乖離幅拡大している状況であるが、ポンドの下げ止まりの兆しがあり、ユーロドルの下落基調も手伝い、徐々に回復基調にある。先週の売りシグナル0.7553に続き、今週も強い売りシグナル0.7474が点灯している。(買いターゲット0.6800〜0.6850)
▲ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅 62.10⇒58.90
様子見レベルで推移していたが、ユーロの下げ基調が見られるため、先週の弱い買いシグナル1.6279から今週は通常の買いシグナル1.6060が点灯している。
(売りターゲット1.6300〜1.6350)
▲ポンドスイス 平均乖離132円 現状乖離幅 116.20→114.25円
ポンドの下げが強いが、対米ドルでは徐々にニュートラルなレベルに達しており、結果的には避難通貨のスイススフラン強さが目立っている。先週の強い買いシグナル2.1552に続き、今週も強い買いシグナル2.1487が点灯している。(売りターゲット2.3850〜2.3900)
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森
★ 本ペットチャートでは3〜5段階分散投資をお勧めしています。常に少なめからの始動を心掛けてください。尚、最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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