気まぐれ相場には勝ち目は無い?静観も戦略の第一歩!
これだけ乱高下する相場展開も珍しいが、往復ビンタにならないように気をつけましょう。 損失を抱えた手遅れの個人投資家が多いと聞きますが、プロも負けず劣らず、右往左往しているのが現状のようです。うつ病になりそうな手に負えない相場展開ですが、一言で言えば『気まぐれ相場』であり、静観することが得策ですね。 我が家でもできるだけ静観するように努めていますが、静観していると『何事にも関心が無い』と言われ、逆に行動すると勘ぐられる日々ですが、今のような気まぐれな為替に付き合うためには、相場を追いかけるのではなく、相場の大きな動きを見てから、始動することが賢い選択でしょう。
▲米経済の後退観測が強まり、米ドル回避の動きが先行していたが、メルシュ・ルクセンブルク中銀総裁がユーロ圏の成長見通しを下方修正する可能性を伝えたことから、ユーロドルの急落が始まっており、ドル円の上昇にも繋がったが、急速な米ドル売りに対する反動が加味しており、米ドルの戻り売り局面に差し掛かっている。この数日間の乱高下に全く方向感が閉ざされている市場であり、ストップロスとオプショントリガーが入り乱れている状況である。背景には株式市場の低迷が起因しているが、市場の関心は株式相場に集中している為、為替相場の変動に対処できないのが実状である。それゆえに、投機筋の思惑的な短期売買が横行している状態であり、同時に市場心理が右往左往している状況から、どうしても乱高下を見越した投機的売買が先行しやすい相場展開になってしまう。現状ではドル円106円割れからの下値の堅調さは確認できてはいるが、上値に関しては、本日の株式動向を睨みながらの展開が予想されるため、かなり流動的な相場展開にならざるを得ないだろう。しかしながら、米ドルの買い材料は依然として不足しているのが現実であり、ドルの上昇には一服感が生じているため、戦略的には米ドルの戻り売り局面と言えるだろう。
▲いずれにしても、米ドルの戻り基調が意外にも早いため、狼狽したドル買いが散見されてはいるが、108円前後では実需の売りと新規売りが重なり、上値の重い状況である。今現在では株高の影響を受けて、ドルの上昇基調が見られるが、ドル円107円台半ばからのドルショートであれば、リスクは限定的と判断する。
一方、米ドル買い材料としては、原油価格の90ドル割れも含めて、対米証券投資が予想を上回り、そして、JPモルガンの決算内容が好感されたことがあげられるが、反面、昨日の地区連銀報告ベージュブックでは米経済は一段と減速を報じているように、総体的には米経済の後退観測を予期する内容である。 それゆえに、月末FOMCの0.5%の利下げでは不充分とも見られる見解も少なくない。期待された日経平均の上昇も一巡しており、ドルの戻り売りに集中することが賢明であろう。ドル円107円台半ばの売りを勧めると共に、ユーロドル1.46半ば割れからの買いを勧める。売りは1.47台半ば以上に限定して臨むことを勧める。
▲一方、余談になるが、ドル円105円を完全に意識させる相場展開であるため、海外勢からも急劇な円高に対して、日銀の介入観測が話題になっている。 日銀の介入操作は2004年3月を最後に途絶えているが、当時の介入レベルがドル円105〜106円に集中していたことが憶測を呼んでいる模様。日本政府としても、来月には7カ国財務相・中央銀行総裁会議(G7)が東京での開催が予定されており、中国人民元と同様に円安批判は根強く、105円レベルでは日銀の介入操作の可能性は皆無に等しい。 おそらく、当局としても、ドル円が100円割れの事態に遭遇するまでは静観するしか策はないであろう。 FOMCの利下げが視野にあり、米経済指標の悪化、そして、米金融機関の狼狽ぶりから判断しても、ドル売りの流れが自然体であり、日本政府の抵抗では円高を食い止める事は不可能であろう。 それゆえに、ドル円105円割れが生じた際には円買いが加速する可能性は高まると思われるが、介入警戒感もあり、一気に円高に振れる状況ではないだろう。 時期尚早ではあるが、単独介入では市場に与えるインパクトが少なく、逆に円買いが加速する恐れがある。 世界情勢を見れば、日米欧の協調介入になる可能性は大であり、介入が一気に相場を反転させることになるだろうが、介入レベルは未だに不透明である。(95円?)
▲補足的になるが、実質購買力平価(2カ国間の通貨の購買力を統計学的に計算された為替相場)においては、ドル円105円は円安レベルであり、ドル円ならば1ドル93円、そして、ユーロ円に至っては112円が2国間の適正水準と言われている。ちなみにユーロドルは1.200が平衡為替相場となるが、信じがたいレベルと言わざるを得ないが、それだけサブプライム問題によって、米ドル売りが浸透し仕切っている市場と言えるだろう。