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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

押しても駄目なら、引いてみる人民元

本日から中国上海での為替取引が本格的?に始動するが、近い将来の人民元切り上げに向けての本格的な為替相場への参入でもあり、大いに注目されるところであるが、取引所中心の為替取引でもあり、相手がわからない相対取引では手探り的な市場であり、為替相場における影響も皆無であろうが、1971年12月のスミソニアン合意でドル円が308円に固定され、それからの変動相場制の移り変わりが思い出される。人民元も円のように米経済を支える通貨になるとは思われないが、アメリカが米ドル安に依存する経済体質には変化が無いのが現状かもしれない。

▼昨日は米財務省が外国為替報告書で、中国が「不公正な為替操作」を行っているとは認定しないことが米?買いに繋がったと言われてはいるが、あれほど執拗に人民元の切り上げを迫っていたブッシュ政権が一時後退を余儀なくされたと見るのが妥当であり、米ドルの買いを促したと見るよりは単なる調整局面と判断するべきだろう。
●いずれにしても107円台の半ばに逆戻り、方向感の乏しい段階に戻っているが、依然として上値の重さを感じさえるレベルでもあり、米ドルのロングは推奨できない。たとえ108円までの上昇があってもリスクの許容範囲としては米ドルショートに軍配が上がると思われる。

★スノー米財務長官が述べている完全変動相場制への移行を望んでいない現状では、早期に実施される可能性も高いと見られるし、反面、米国側からの妥協案とも受け取られる。押してもだめなら、引いてみる戦略なのだろうが、中国相手ではブッシュ政権も待機策しかないのだろう。人民元問題が解決を見ない限りはレンジ相場の域を脱することは不可能な情勢である。
●レンジ相場の効率を高めること集中した方が賢明であり、100ポイント以上の儲けよりも50ポイントの儲けを2回トライすることが肝心である。堅実的な手法が優先される相場である。または米ドルの急上昇は無いと判断し、思惑的な買いあがりでも生じた際に107円台の後半の売りは妙味が増大する。ユーロドルも1.25台での買いは推奨がユーロドルに好材料が見当たらず、売り先行を勧めるが、現状1.260前後のレベルからの売りは推奨はできない。大胆に1.27の売りと1.25の買いに照準を合わす事を推奨する。中途半端なポジションは絶対に避けるべきであり、納得できる売り買いには損切りも早めが鉄則である。

プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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