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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円安では救えない株式市場と日本経済?ドル円100円で活性化!

2008年度は米国経済の減速懸念の高まりから、ついに原油価格が100ドル台に達し、ドル円は110円割れの展開を見せ、そして、日経平均株価は15,000円割れの大幅下落を見せており、波乱含みの幕開けである。
国際競争力と購買力平価の面からはドル円100円割れの意識が潜在的に介入するマーケットであるが、サブプライム問題の進捗状況を見ながら、紆余曲折はあるだろうが、円高の流れが避けられない情勢である。今回のドル円110円割れは、本邦勢が手薄な正月休を睨んだ投機筋の円買いに屈したマーケットであるが、年初からの円高進行が伴うと、近年、円高傾向の年になりやすい兆候がある。
通常であれば、ドル円105円割れが生じる際には、2004年3月を最後に途絶えていた日銀介入が視野に入るが、実際に介入するレベルは100円割れを意識した102〜103円のレベルになると思われるが、政府要人発言にも見られるように、物価上昇とインフレが確実に押し寄せる状況下では、日本経済の活性化には円高を容認する事態も想定すべきであろう。同時に過去のG7でも問われている円安批判がある以上は、日銀の介入はドル円が100円割れを見ない限りは実施不可能との見解も少なくない。おそらく、105円前後中途半端な介入では、逆に円買いに拍車をかける状況にもなりかねないだろう。詰まるところは原油価格が100ドルを突破したことで、ユーロドル1.50、そして、ドル円100円への可能性が帯びてきた市場である。反面、原油価格に対する国際機構の対応が急務であるため、投機筋が更に買い進むことが出来るかが課題になるが、原油価格の高止まりが、世界的なインフレ経済の足かせになることを踏まえると、常に原油価格の暴落を意識せざるを得ない状況でもある。それだけ、為替相場の難易度が上昇するため、今まで以上に綿密なストップロスを優先した売買で臨むことが要求される。
本日は、とりあえず、今晩発表される米雇用統計が再び注目を集めるが、事前予想は非農業部門雇用者数では7万人の増加を見込んでいるが、米経済の減速を背景に悪い数字にのみ反応する状況と判断し、米ドルショートが賢明であろう。ドル円は110円前後の売りを勧めるが、同レベルでは損失確定売りと輸出企業の実需売りが生じるため、109円台後半からのドル円ショートでもリスクは限定的であろう。買いは昨日の下値トライが108円台半ばで留まったように、同レベルからの買いが正攻法であろう。一方、ユーロドルは1.47割れからの買いニーズは意欲的であり、同レベルからのロングを勧めるが、反面、1.47台半から後半のポジション調整売りも散見されており、同時に米経済の鈍化に伴い、ユーロ圏からはドル安・ユーロ高に対する牽制発言も見られるため、株式市場の混乱も踏まえると、1.46台半ばの買いと1.48台の売りに徹することが一考であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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