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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル上昇余地少なし→ドル円買い調整115円まで?

年度末を迎えるにあたり、金融機関ではサブプライム問題に絡んだクレジットクランチに対抗して、各中銀による巨額な資金供給が繰り広げられており、欧米市場の短期金利の低下と共に信用不安を和らげている状況である。一方、サブプライム住宅ローンの焦げ付き問題で悪化した財務を立て直しに、、米銀最大手シティグループが、アブダ投資庁から総額75億ドル(約8000億円)の出資を受け入れ、米証券大手のモルガン・スタンレーは評価損94億?を計上し、自己資本の不足を補うため、中国政府系ファンド「中国投資」から約50億ドルの出資を受け入れ、欧州勢ではUBSが100億ドルの損失処理を発表し、シンガポール政府投資公社から出資を受け入れる方針が相次いで発表されるなど、サブプライム問題の深刻さを如実に表わしている。そして、昨日は米メリルリンチがシンガポールの政府系ファンドから最大62億ドルの資本注入を受け入れたことにより、マーケットには安堵感が見られたことから、NY株価の上昇にも繫がっている状況である。
▲先にバーナンキFRB議長が述べたように、サブプライムローン問題の関連損失の試算は最大3000億ドル(約34兆円)に達すると報じられているが、これまで公表された金融大手の損失額は10兆円程度にとどまっているため、次期以降の損失拡大は免れないのが現実である。その上に、勝ち組みのゴールドマン・サックスによると、シティの焦げ付いた資産は2380億ドル(約26兆円)にも上ると言われており、 生半可な対応では到底補えないことになるが、米経済のクリスマスムードが糠喜びなる恐れもあるだろう。
▲IMMシカゴ先物(投機筋)の数字は軒並みポジションが調整局面の様相を見せているように、市場参加者もポジション調整を余儀なくされている状況である。
ちなみに、円は+30,903から+13,357枚、ユーロは+63,374から+31,149 、ポンドロングは+56,998から+11,537、そして、豪ドルは+32,965から+11,037へとポジションが縮小しており、次年度に向けてポジションの見直しの傾向が見られるように、未だに方向感が見出せていないのが現状である。
一方、原油価格が再び上昇を見せており、従来のドル安パターンにも要注意であるが、各国の金利推移から判断しても、円買い材料が乏しく、同時に唯一の円買い材料がサブプライム問題に関わる信用収縮リスクでは、リスク回避の円買いには繋がらないのが現実である。
いずれにしても、為替相場に、再び原油価格の高騰が加わったことにより、株式動向、インフレ懸念、そして、金融信用不安などの撹乱要因がマーケットを席捲しており、難解な相場であることには間違いがなく、ポジションの縮小で対応することが望まれる。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年12月23日(日)週末の終値ベース
米ドルの買い基調が続いていたが、今週ドル円相場が114円台に乗せたことにより、最終局面を迎えつつある。 年度末に向けてはポジション調整売買が大きく左右する展開であり、一気に115円台までの可能性を帯びているが、114円台半ばではポジション解消売りシグナルが点灯している。 他ではポンドが同様に最終局場面の1.98前後まで続落しているが、ポジションの見直し時期に差し掛かっている。 反面、ユーロ及びスイスフランにはドル買い余地を残しているため、欧州3大通貨間ではポンドの弱さが際立っているが、金利差の面からは、もう一段のポンドの下落があれば、ユーロポンドの売りとポンドスイスの買いに妙味が生じる。
チャート上では着実に米ドルの歪み調整買いが進行してはいるが、年度末を挟んでドルの買い需要は高まっている関係上、もう一段のドルの上昇を待ってからのドル売りならばリスクは限定的になるであろうが、年越えにはドルの急落の可能性もあるため、ドルロングは短期志向、ドルショートならば中期的志向が望まれる。オセアニナ通貨においては、相関性の強さを表わしており、通常の乖離幅まで回復しているため、次ぎの展開待ちの状況である。
US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVS ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.0814→0.0862
(1÷ユーロドル1.4371=0.6958)−(100÷ユーロ円164.05=0.6096)=0.0862⇒ドル円114.15円。最終局面の114円台に突入しており、先週の買いシグナル113.30から、今週は弱めの114.15円の買いシグナルが点灯している。目標の売りレベルでもあり、ポジション解消レベルから売りを実施することを検討。過去の売買シグナル⇒116.65買い→118.10売りclose→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→113.50買い→114.85買い→116.90買い→117.60売りclose→114.55買い→110.70買い→108.40円買い→111.15買い→111.70買い→113.30買い→114.15買い弱め(売りターゲット114.50) 
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅50.20→49.90円
1.49台からの強い売りシグナルが、先週の1.4431の売りシグナルに繋がったが、今週も紆余曲折はあるが、依然として、売りシグナル1.4371が点灯している。
1.3335売り→1.2875買いclose→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3825売り→1.3476買いclose→1.4088売り→1.4262売り→1.4392損切り買いclose→1.4675売り→1.4829売り→1.4638売り継続→1.4431売り→1.4371売り継続
(買いターゲット1.3700〜1.3800)
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅22円 現状乖離幅15.75→15.25円
0.92台の強い売りシグナルから、下げを早めているが、先週の売りシグナル0.86102続き、今週も売りシグナル0.8664が点灯している。0.8374売り→0.8181買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.7967買いclose→0.8661売り→0.8872売り→0.9043売り(損失確定買い)→0.9178売り→0.9234売り→0.8932売り→0.8844売り→0.8769売り→0.8610売り継続→0.8664売り(買いターゲット0.8200〜0.8300)
NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅26.60⇒27.10円
0.77台の売りシグナルから先週は0.7652まで下げ基調を強めているが、今週も引き続き、売りシグナル0.7626が点灯している。0.7473売り→0.7257買いclose→0.7972売り→0.6948買いclose→0.7215売り→0.7016買い close→0.7764売り→0.7643売り→0.7757売り→0.7652売り継続→0.7626売り継続(買いターゲット0.7150〜0.7250)
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 1.85⇒−0.85円
先週の買いシグナル1.0166から、再びパリティ割れが生じており、今週は強めの買いシグナル0.9926が点灯している。1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→0.9811買い→0.9663売り(損切り)→0.9341買い→0.9724買い→0.9895買い→1.0000買い継続→1.0049買い→1.0166買い→0.9926買い(売りターゲット1.0250〜1.0350)
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅115.25⇒112.25円
2.08台からの強い売りシグナルから、先週はポジション解消の買いシグナル2.0172が視野に入ってきたが、今週は更に続落しており、逆に弱い買いシグナル1.9834が点灯しているが、罫線がクロスした直後なだけに、もう一段の下落を見せてからの買いシナリオが必要。1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→1.9816買いclose→2.0525売り→2.0888売り→2.0604売り→2.0576売り→2.0300売り→2.0172買いclose→1.9834買い少なめ(様子見)
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅22円 現状乖離幅15.05→15.40円
徐々に乖離幅の縮小が見られるように、強い買いシグナル1.1000台から、先週の買いシグナル1.1532まで上昇を早めているが、今週は先週より弱冠上昇を見せたが、依然として、買いシグナル1.1559が点灯している。 1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.1907買い→1.2075売りclose→1.1536買い→1.1178買い→1.1039買い→1.1289買い→1.1532買い→1.1559買い(売りターゲット1.1950〜1.2000) 
オセアニア通貨裁定取引(平均乖離幅10.00円 現状乖離幅10.85→11.85円)様子見 乖離幅は1円拡大したが、先週に引きつつぎ、今週も様子見レベルの乖離幅11.85で推移しており、引き続き様子見が点灯している。15円以上ではAUD売り/NZD買い、そして10円割れでは反対売買が目安。過去の乖離幅推移5.40→10.55→12.25→9.40→10.75→11.65→12.25円→13.45円→15.35円→14.85→16.00→15.05→16.35→17.30→15.05→18.15→16.30→15.10円→12.90→13.35円→11.30→10.85→11.85円(様子見)(過去5年間の最大乖離幅17.15円を11月4日に更新18.15円)
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(270以下は円高⇔280円以上は円安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向へ。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円。10月は平均281円、11月は平均274円と275円割れの円高局面に突入。12月第1週は273.85円、第2週は274.40円、第3週は276.80円。今週は114.15+164.05=278.20円。
欧州3大通貨ペア
ユーロポンド 平均乖離77円 現状乖離幅65.05→62.35円
先々週の売りシグナル0.7219から先週の0.7154まで下落を見せたが、今週は再び売りシグナル0.7246が点灯している。0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6914売り→0.7197売り→0.7114売り継続→0.7219売り→0.7154売り継続→0.7246売り(買いターゲット0.6800〜0.6850)
ユーロスイス 平均乖離62円 現状乖離幅65.25→65.30円
先週の売りシグナル1.6641から、今週も引き続き弱めの売りシグナル1.6613が点灯している。1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6796売り→1.6476買いclose→1.6544様子見→1.6641売り→1.6613売り(買いターゲット1.6350〜1.6400)
ポンドスイス 平均乖離140円 現状乖離幅130.30→127.65円
2.30割れからは強い買いシグナルが続いているが、先週の買いシグナル2.3262から、今週は再び2.30割れに突入し、今週も引き続き買いシグナル2.2927が点灯している。
2.4465売り→2.4299買いclose→2.4397売り→2.3866買いclose→2.3679買い→2.4126売りclose→2.3890買い→2.4096売りclose→2.2961買い→2.2744買い→2.3289買い→2916買い→2.3262買い→2.2927買い(売りターゲット2.3950〜2.4000)
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています。常に少なめからの始動を心掛けてください。尚、最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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