急がば回れ!
●本日の郵政民営化法案に始まり、今週ほど山あり谷ありの為替相場は見方によっては、興味津々であっても、大怪我をしないためのリスク管理が最優先される相場である。どちらに転んでも不思議ではなく、第三者的な発想の方が得策と言える。ドル円相場は郵政民営化が否決される可能性はたかまり、衆議院の解散総選挙が避けられない状況では円売りが至極成り行きと見るが、いざ解散総選挙でも円安にも上値の限界が生じやすい背景もある。福井日銀総裁は日本経済の景気は踊り場から脱却しつつあると言明し、第二四半期のGDPも改善見通しであり、日本経済の景況感に明るさが表面化する以上は円安も再び113円台に乗せてからの勝負になると思われるが、矢継ぎ早に控えている日米欧の経済指標がある限りは、乱高下が常識となる相場感が必要である。
●9日のFOMCの米金利引き上げも、金利格差を武器に再度米ドルの下値を支えはするが、米ドルを押し上げる材料としては希薄になりつつある。すでに、FRBが指摘するように、米国内のインフレは抑制されている状況下では、いつ打ち止めになるかが焦点になっているだけに、残された引き上げ回数に限りがある以上は、心理的な反動も考えると米ドルの上昇力にも疑念が生じる状況も顧慮すべきであろう。
●先週のユーロドル高も一巡した模様であり、終盤では利益確定を急ぐ動きもあったが、ユーロドルとしての買い材料が乏しいことは否めず、原油価格の高騰によるユーロドル高にも限界があるのが必然であり、今週の上値は重くなると思われるが、アジア中銀と中東筋のユーロ?へのシフトの存在が気になるところでもあり、FOMCの金利引上げを兼ねて注意深く見守る事を勧める。
●週末に発表される米貿易収支に対する事前予想は570億ドルと、前月の553億ドルから拡大する見通しであるが、原油価格の高騰が響くと言うエコノミストも多く聞かれ、600億ドル台との予測もあるように貿易収支の赤字削減も期待薄ではあるが、慣れきった米国の貿易赤字に対する反応も限定的とみる方が賢明であろう。過度な米ドル安に結びつくかは疑問であり、他の経済指標との絡みを重視すべきであろう。金利差を背景にした米ドル買いにも一抹の不安が生じており、現状では米ドルの買いが加速する状況でもない。
最新の米経済指標を見る限りでは、景況感としては良好であり、欧州勢が弱冠持ち直していると言われても、日米がユーロ勢を一歩リードしている状況には変わりはなく、ユーロドルの上昇にも限度が見られるが、日米欧とも不安材料を抱えての為替相場だけに、相場予測も右往左往することが必至であるが、レンジ相場が大きく崩れるには至らないと判断する。少な目のポジションに心がけるとともに臨機応変な売買が要求されるが、リスク限定の取引に専念することが肝心であり、大きな歪みが生じたときにしかチャンスはないと思ったほうが賢明な相場である。