外国為替取引ニュースサイト

  1. トップページ
  2. >コラム・レポート
  3. >鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー
  4. >急がば回れ!

コラム & レポート

バックナンバー

鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

急がば回れ!

先週の土曜日は今年初めての野球観戦へ、神宮球場まで勇んで乗り込んだのはいいが、ストレス発散が逆効果、巨人の体たらくは本物ですね。2回で8−0となれば高いビールと弁当を買っての観戦も諦め早々の退散となったが、各テレビ局が巨人戦の延長を中止したいわけが良くわかりましたね。早速メールで女房に早く帰ると告げると、帰宅途中に返信があり、13対3の報告あり、来年は放映中止と言うことも?予期せねばなりません。 負けることに不自然さを感じなくなると、ストレスも感じないのがでしょうが、負けると思って見に行くと絶対に勝てないものですね。恒例の花火だけはよかったが、巨人戦のプレミアチケットも消滅の運命、そういえばダフ屋も見かけなかったですね。金を取れる試合ならば楽天の方が数段面白いと言う評判である。情けない一言。為替でもはじめから負けると思うと100%負ける、100%勝てると思うと勝率は確実に上がるが50%に満たないのが相場。勝たなければと思う心理が平常心を失わせる。最終的には資金の余裕と心のゆとりがないと勝負にならない、急がば回れと人は言うが、出来ないのが為替とレーダーの宿命なのです。巨人も常勝が宿命なのであろうが、最下位のどん底を味わうことが肝心でありますね。そして何かがわかる?
●本日の郵政民営化法案に始まり、今週ほど山あり谷ありの為替相場は見方によっては、興味津々であっても、大怪我をしないためのリスク管理が最優先される相場である。どちらに転んでも不思議ではなく、第三者的な発想の方が得策と言える。ドル円相場は郵政民営化が否決される可能性はたかまり、衆議院の解散総選挙が避けられない状況では円売りが至極成り行きと見るが、いざ解散総選挙でも円安にも上値の限界が生じやすい背景もある。福井日銀総裁は日本経済の景気は踊り場から脱却しつつあると言明し、第二四半期のGDPも改善見通しであり、日本経済の景況感に明るさが表面化する以上は円安も再び113円台に乗せてからの勝負になると思われるが、矢継ぎ早に控えている日米欧の経済指標がある限りは、乱高下が常識となる相場感が必要である。
●9日のFOMCの米金利引き上げも、金利格差を武器に再度米ドルの下値を支えはするが、米ドルを押し上げる材料としては希薄になりつつある。すでに、FRBが指摘するように、米国内のインフレは抑制されている状況下では、いつ打ち止めになるかが焦点になっているだけに、残された引き上げ回数に限りがある以上は、心理的な反動も考えると米ドルの上昇力にも疑念が生じる状況も顧慮すべきであろう。
●先週のユーロドル高も一巡した模様であり、終盤では利益確定を急ぐ動きもあったが、ユーロドルとしての買い材料が乏しいことは否めず、原油価格の高騰によるユーロドル高にも限界があるのが必然であり、今週の上値は重くなると思われるが、アジア中銀と中東筋のユーロ?へのシフトの存在が気になるところでもあり、FOMCの金利引上げを兼ねて注意深く見守る事を勧める。
●週末に発表される米貿易収支に対する事前予想は570億ドルと、前月の553億ドルから拡大する見通しであるが、原油価格の高騰が響くと言うエコノミストも多く聞かれ、600億ドル台との予測もあるように貿易収支の赤字削減も期待薄ではあるが、慣れきった米国の貿易赤字に対する反応も限定的とみる方が賢明であろう。過度な米ドル安に結びつくかは疑問であり、他の経済指標との絡みを重視すべきであろう。金利差を背景にした米ドル買いにも一抹の不安が生じており、現状では米ドルの買いが加速する状況でもない。
最新の米経済指標を見る限りでは、景況感としては良好であり、欧州勢が弱冠持ち直していると言われても、日米がユーロ勢を一歩リードしている状況には変わりはなく、ユーロドルの上昇にも限度が見られるが、日米欧とも不安材料を抱えての為替相場だけに、相場予測も右往左往することが必至であるが、レンジ相場が大きく崩れるには至らないと判断する。少な目のポジションに心がけるとともに臨機応変な売買が要求されるが、リスク限定の取引に専念することが肝心であり、大きな歪みが生じたときにしかチャンスはないと思ったほうが賢明な相場である。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

ニュースクラウド