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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドルの上昇には⇔原油価格の急落が最低条件?

先週は原油価格が90ドル割れを見せたことにより、米ドルに対する相場観に相違が生じている。サブプライム問題に明け暮れしているマーケットではあるが、米経済が減速感を速めている中で、政府系ファンドの投資意欲が増しているが、米ドル資産への再投資には懐疑的な見方もあり、潜在的な米ドル離れは根強い状況ではあるが、反面、既に過小評価された米ドルに対して、更にショートを継続する危険性が生じている。 
▲先週シティグループがアブダビ投資庁から出資を受け入れたことから、米ドル離れの沈静化とも捉えることができるが、世界マネーの流動性が問われており、中国を筆頭にした、巨額な外貨準備高を誇る諸国にとっては、リスク回避を前提にした米ドルを敬遠することは、自らの米保有資産の評価損失拡大を招きかねない。 むしろ、反対に米ドル自体の価値を高め、通貨間の平準化を試みることが真のリスク回避に結び付く可能性を重視する考えも浮上している。 
▲年度末を迎えるにあたり、FRBの潤沢な資金供給に続き、ECB(欧州中銀)も金融市場の混乱を避けるために、大量の資金供給オペを実施する予定であり、新たな信用不安が帯びている市場だけに、日米欧当局としても、万全な構えで臨むだけに、相対的にはドルの急落もないが、急騰も考えられない状況とも言えるだろう。
一方、今週はECBとBOEの政策金利が発表されるが、ユーロドルは、6日のECB理事会ではGDP見通しが下方修正の兆しがあり、金利は据え置きが見込まれており、同時にBOEの利下げ観測が高まる中では、相対的には欧州通貨の上値の重さが生じる展開である。ユーロドル1.45割れが大きな節目になる可能性を視野に入れて臨むことを勧める。
▲欧州経済のインフレ懸念が先行してはいるが、今までのような通貨高と金融引締めだけでは解消されないのが現実であり、世界経済の成長力を妨げている原油価格の高騰を如何にコントロールできるかが課題になるであろう。 そして、サブプライム問題が長期化する予想だけに、当面は原油価格の動向と株式に注視しながらの相場展開を一考すべきであろう。 原油価格の下落幅によっては米ドルの信頼性を呼び戻すきっかけになる可能性もある。
いずれにしても、サブプライム問題の全貌がはっきりしない段階では、今後も株式相場の乱高下は必死であり、株主導の読み切れない展開ではあるが、一喜一憂する師走相場を避ける意味でも、ポジションを出来る限り縮小して臨機応変で臨むことが賢明であろう。
余りにも過小評価されてきた米ドルが、原油価格の高騰に繫がり、世界経済を脅かすようなインフレ懸念を打開するには、米ドルの奮起が待たれるだけに、今後も米ドルの急上昇には注意を払いたい局面である。
▼シカゴIMM通貨先物市場において、円ロングが継続されてはいるが、低金利ゆえに3万枚前後では手詰まり感が生じている。ユーロドルも経済成長率が鈍化しているため、ユーロドル1.500が程遠い状況にあり、そして、原油価格の低下傾向が有資源国通貨のカナダドルや豪ドルロングが見直されており、当面は気まぐれな原油価格の動向を見てからの始動が賢明であろう。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年12月02日(日)週末の終値ベース
本チャート上では未だにドルの売られすぎが指摘されるが、トレンドとしてはユーロドルが1.49台に乗せ、ドル円が108円割れを見せた時点でドル売りのピーク感が生じている。上記レベルが今後のドルの買い戻しの起点になる可能性が大きく、記憶に留めたいレベルである。 現状では米ドルの買い戻しが見られるが、当面はユーロドル1.45割れと同時にドル円が112円台回復した時には、ポジションを再考することを勧める。 加速的なドル買いは期待できない状態であり、 先週と同様に短期チャート(日足)でレンドを見るよりも、中期的な週足チャートで検証することを勧める。 オセアニア通貨の裁定取引が最大乖離幅18円台から急速に収束に向かっているように、クロス円が乱高下することを前提にして、充分な乖離幅を見てからの始動が賢明であり、同時に少な目からのナンピン売買を心掛けることを勧める。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVS ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.0523→0.0686
(1÷ユーロドル1.4638=0.6832)−(100÷ユーロ円162.70=0.6146)=0.0686⇒ドル円111.15円買い。先週の強い買いシグナル108.40から、111円台へ上昇しているが、今週も引き続き買いシグナル111.15円が点灯している。 (売りターゲット115.00〜116.00) 過去の売買シグナル⇒116.65買い→118.10売りclose→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→113.50買い→114.85買い→116.90買い→117.60売りclose→114.55買い→110.70買い→111.00買い→108.40円買い
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅52.35→51.55円
1.49台からはかなり強い売りシグナルが点灯していたが、先週の強い売りシグナル1.4829から、今週も引き続き売りシグナル1.4638が点灯している。 (買いターゲット1.3650〜1.3700) 1.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3825売り→1.3476買いclose→1.4088売り→1.4262売り→1.4299売り継続→1.4392損切り買いclose→1.4508売り→1.4675売り→1.4667売り継続→1.4829売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅22円 現状乖離幅13.30→12.85円
0.92台の売りシグナルから、先週の0.87台で一服感が生じてはいるが、今週は再び強めの売りシグナル0.8844が点灯している。(買いターゲット0.8250〜0.8350)0.7917売り→0.7810買いclose→0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.7967買いclose→0.8661売り→0.8872売り→0.9043売り(損失確定買い)→0.9178売り→0.9234売り→0.9110売り継続→0.8932売り→0.8773売り継続
NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅26.20⇒26.20円
先週と乖離幅は変化が見られないが、先週の売りシグナル0.7583から、再び強い売りシグナル0.7643が点灯している。 (買いターゲット0.7050〜0.7100) 0.7473売り→0.7257買いclose→0.7972売り→0.6948買いclose→0.7215売り→0.7016買い close→0.7764売り→0.7664売り継続→0.7638売り継続→0.7583売り継続
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅 −1.15⇒0円
0.93台からの強い買いシグナルが続いており、先週の買いシグナル0.9895から、今週は1USドルまで復帰しているが、引き続き買いシグナル1.0000が点灯している。 (売りターゲット1.0400〜1.0500) 1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→0.9811買い→0.9663売り(損切り)→0.9341買い→0.9441買い→0.9724買い→0.9895買い
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅114.95⇒117.55円
2.08台からの強い売りシグナルから、先週は2.0604の売りシグナルが点灯したが、今週も引き続き売りシグナル2.0567が点灯している。2.03台では買い戻しを検討。(買いターゲット2.0150〜2.0200) 1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→1.9816買いclose→2.0525売り→2.0888売り→2.0889売り継続→2.0541売り継続→2.0604売り継続
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅22円 現状乖離幅10.20→12.95円
主要通貨の中でも最も買われすぎていたスイスフランであるが、先週の強い買いシグナル1.1039から急上昇していているが、今週も買いシグナル1.1319が点灯している。(売りターゲット1.1950〜1.2000) 1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.2075売りclose→1.2020買い→1.2094売りclose→1.1723買い→1.1536買い→1.1178買い→1.1039買い
オセアニア通貨裁定取引(平均乖離幅10.00円 現状乖離幅12.90→13.35円)
11月前半までは乖離幅が18円まで拡大していたが、急速に縮小しており、13円割れではポジション解消も一考。 現状の目安としては16円以上と12円以下に選別して臨むことを勧める。(11.50〜12.00円)(過去5年間の最大乖離幅17.15円を11月4日に更新18.15円))過去の乖離幅推移5.40→13.90→10.55→12.25→9.40→10.75→9.85→10.00→10.95→11.65→12.25円→13.45円→15.35円→14.85→16.00→15.05→16.35→17.30→15.05→18.15→16.30→15.10円→12.90
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向へ。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円。10月は平均281円、11月第1週は281.60→第2週273.15円→第3週272.80→先週269.15円と円高傾向であり、円キャリーの範囲へ突入。今週は111.15+162.70=273.85円と再び円安傾向へ。
欧州3大通貨ペア
ユーロポンド 平均乖離77円 現状乖離幅62.60⇒66.00円』
先週の強い売りシグナル0.7197に引き続き、今週も強い売りシグナル0.7114が点灯している(買いターゲット0.6800〜0.6850) 過去の売買シグナル⇒0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6914売り→0.7022売り継続→0.7140売り→0.7197売り
ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅62.55⇒64.50円』
比較的ユーロスイスは安定しており、先週の1.6370の様子見に続き、今週も1.6568で様子見が続いている。(様子見)1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6655売り→1.6796売り→1.6752売り継続→1.6736売り継続→1.6476買いclose→1.6370様子見
ポンドスイス『平均乖離140円 現状乖離幅125.15⇒130.50円』
先週のかなり強い買いシグナル2.2744から上昇を見せており、今週も引き続き買いシグナル2.3289が点灯している。(売りターゲット2.3950〜2.4000)  2.4465売り→2.4299買いclose→2.4397売り→2.3866買いclose→2.3679買い→2.4126売りclose→2.3926買い→2.3890買い→2.4096売りclose→2.3463買い→2.2961買い→2.2744買い
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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