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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

ドル円109円台&クロス円の戻り売り!

先のFRBの経済見通しにおいて、08年度のGDPが下方修正され、米要人からも米経済の減速が報じられており、サブプライム問題の深刻さを物語っている。米国債10年物が一時4%を割り込み、同時に政策金利影響を与える短期2年債も3%割れを見せているように、世界全体にリスク回避の動きが急を告げている。世界同時株安に見られるように負の連鎖が生じており、質への逃避が市場のテーマになっている。為替相場にも大きな偏重をもたらしており、今現在は円キャリートレードの巻き戻しが起こっており、対象通貨である高金利通貨のクロス円が軒並み下落を見せているが、今回のサブプライム問題が表面化するにあたり、ドル安と円安の相関関係が崩れており、円の過小評価と高金利通貨の過大評価の反動が円キャリートレードの解消のペースを速めている。

▲今後はドル円105円へ向けての円高シナリオが焦点になると思われるが、米経済後退懸念が他国よりもいち早く日本経済に衝撃をもたらすことを考慮すると、ドル売り基調であるが、円高が一気に加速する状況とは言えない。 現状では機関投資家及びヘッジファンドがポジション修正局面に追われており、かなり外債投資には慎重な見方があり、当面は外部環境を睨みながらの展開となるが、不安定な株式動向、異常な原油価格の高騰が一段落するまでは、リスク回避が優先されるため、ポジション整理を優先することが求められる。
ドル円、ユーロドルとも見極めのときでもあり、動きが生じてからの始動を勧めるが、ドル円の戻りが限定的ではあるが、109円前後のドル円ショートを勧める。買いはあくまでも108円割れをみてからの始動を勧めるが、連休を控えているため、少な目のポジションで始動することを勧める。
▲中立的なスイスフランスと世界第2位の基軸通貨であるユーロが堅調な動きを見せている。ポンドと豪ドルは不安要因が表面化しており、また、原油価格の高騰が続いている最中、カナダドルにはピーク感が生じているように、米ドルに対して2極化の傾向を見せており、難易度が強調されるマーケットである。サブプライム問題による一連の信用不安が、末端にも拡大する傾向を見せており、万全である筈の債券保証会社にも評価損が拡大している状況では、年度末に向けても、悪材料が世界各国で犇いている状況である。当初はサブプライムローンの焦げ付き自体の市場占有率が低いと軽視されていたが、市場関係者も長期化を見越しており、米ドルの軟調は避けられない状況であるが、これだけの悪材料が噴出した以上は、あく抜け感から米ドルの自律反発を期待する向きも少なくない。反面、キャリートレード解消の動きが散見されることも、高金利通貨の上値を抑えているだけに、現段階ではクロス円売買は控えることが賢明であろう。ユーロドルは史上最高値を更新した直後であり、上値を追いづらい状況であるが、もう一段の上昇を見てからの始動が賢明であろう。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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