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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円キャリー再燃の壁108円<110円>112円サブプライムの壁

先週末の円全面高によって、最終的には米ドルの全面安が更に強調された恰好である。円高はキャリートレード解消として頷けるが、低金利通貨の代表でもあるスイスフランも急上昇を見せている。 スイスフランは中立的な避難通貨の役割を帯びており、全通貨に対して、米ドル売りが加速している状況である。サブプライム問題による疑心暗鬼と米経済の不透明さが起因している事は間違いないが、FRB議長自ら、米経済の減速を容認したことが米ドル離れに拍車をかけている。先週を通して、中国の外貨準備高の多様化や米大手金融機関であるシティ、ゴールドマン、JPモルガン、そしてモルガン・スタンレーなど層々たるメンバーがサブプライム問題の追加損失の計上を強いられたことにより、米ドル売りの嵐が吹き捲り、米ドル売りが市場のテーマになっている。今週も米ドル売りの機会を狙う週ではあるが、逆に余りにも米ドル売り材料が整いすぎており、ドル売りに対する違和感が生じている事も否めない。
▲週初は米国休場が重なり、ポジション調整主体の相場展開であるが、ドルの戻り売り中心の相場展開になるため、米ドルの反発は限定的であろう。株式市場においても、金融セクタ−主導の株安基調が鮮明になり、原油価格の高止まり、そして、他の商品市況の波及効果が更に米ドルの上昇余地を減退させている。
世界経済の今後が不安視されている状況であるが、救いは米ドル安の進行が世界経済の減速感を懸念している状況であり、各国の米ドルに対する対応策であるかもしれない。
週末に控えるG20 国財務相・中央銀行総裁会議と国際決済銀行10カ国中央銀行総裁会議において、カナダ財務相が言明しているように、ドル安が最重要課題であることであろう。但し、米国自体が強い米ドルを望んでいるかが定かではなく、7〜9月期の米GDPにおいても、ドル安に伴うが輸出増加が米景況感の下支えになっているため、米国サイドからはドル安是正の機運が生じていないことである。

いずれにしても、ヘッジファンドの決算期でもあり、円キャリー解消の動きが懸念されるため、瞬間的なドル売りが生じる可能性を秘めており、本邦サイドでも輸出企業の採算分岐点と言われる110円が目前であり、かなり神経質な展開が見込まれるため、米ドルの戻り売り中心の相場展開を重視することになるだろう。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年11月11日(日)週末の終値ベース
米サブプライム問題を契機に米ドル売りが記録的な速さで下落している。 周期的にはまだ道半ばの感があるが、米ドルの強弱を測るためには、短期チャートで検証するよりは、中期的なチャートで大局的に検証することが望まれる。 米ドル相場の転換期である事は間違いないところであるが、ドル円が110円割れを促す段階に差し掛かり、円キャリートレードの解消が更に進む可能性を秘めている。 チャート上では明らかに米ドルの売られすぎであるが、クロス円主導の形になると狼狽的なクロス円売りが重なり、乱高下が必死なだけに、サブプライム問題の出口が見つからない状況では、米ドルの反発を待ってからの始動が賢明であろう。今週も先週同様にカナダドル、ポンド、そしてオセアニア裁定取引の週足チャートを作成しましたので、大局的な見地で臨むことが賢明である。 推奨できる通貨は、先週と同様に、比較的安全な通貨ペアである欧州3大通貨同士とオセアニア通貨の売買に注目したい。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル上昇余地へ
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドルVSユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.0894→0.0639
(1÷ユーロドル1.4675=0.6814)−(100÷ユーロ円162.45=0.6175)=0.0639⇒ドル円110.70買い。
先週の114.90の買いシグナルから、一気に110円台へと急落しており、さすがに今週は強い買いシグナル110.70円に点灯している。流れからは、もう一段の乖離幅拡大を見てからの始動であり、110円前後が当面の買いターゲットになる。 (売りターゲット115.50〜116.50) 
過去の売買シグナルは以下の通り。 116.65買い→118.10売りclose→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→113.50買い→115.35円買い継続→114.85買い→116.90買い→117.60売りclose→114.55買い→114.30買い継続→114.90買い継続
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅51.80⇒51.75円
乖離幅自体は先週から変化がないが、先週の売りシグナル1.4508から、更に強い売りシグナル1.4675が点灯している。流れはユーロ買いであるが、短期及び中期チャートもユーロの買われ過ぎが点灯している。(買いターゲット1.3500〜1.3550)過去の売買シグナルは以下の通り。1.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3825売り→1.3476買いclose→1.3875売り弱め→1.4088売り→1.4262売り→1.4175売り継続→1.4299売り→1.4392損切りclose→1.4508売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅22円 現状乖離幅8.80→9.85円
先週の強い売りシグナル0.9234から、今週は下値を探る展開であるが、引き続き売りシグナル0.9110が点灯している。(買いターゲット0.8.250〜0.8350) 過去の売買シグナルは以下の通り。0.7917売り→0.7810買いclose→0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.7967買いclose→0.8268売り→0.8661売り→0.8872売り→0.9043売り(損失確定買い)→0.9178売り→0.9234売り
NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅26.95⇒26.15円
先週の売りシグナル0.7654からは変動は見られず、今週も引き続き売りシグナル0.7638が点灯している。
(買いターゲット0.7050〜0.7100)過去の売買シグナルは以下の通り。 0.7473売り→0.7257買いclose→0.7972売り→0.7462売り→0.6948買いclose→0.7215売り→0.7016買い close→0.7434売り→0.7764売り→0.7477売り継続→0.7664売り継続→0.7654売り継続
カナダドル(ドル円−カナダ円) 平均乖離幅10円 現状乖離幅−4.50⇒−6.55円
異常とも思われペースでカナダドルの上昇であり、0.96台では損失確定レベルまで達していたが、先週の買いシグナル0.9341から、今週は引き続き買いシグナル0.9441が点灯している。 (売りターゲット1.0400〜1.0500) 過去の売買シグナルは下記の通り。1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→1.0553買い継続→1.0308買い→0.9811買い→0.9723買い→0.9663売り(損切り)→0.9621様子見→0.9341買い
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅125.10⇒120.65円
先週の強い売りシグナル2.0888の強い売りシグナルから、今週も同レベル2.0899の売りシグナルが点灯している。週足3年と日足6ヶ月チャート上で検証要。(買いターゲット2.000〜2.0050)過去の売買シグナルは下記の通り。1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→1.9816買いclose→2.0470売り→2.0361売り継続→2.0525売り→2.0888売り
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅22円 現状乖離幅15.30→12.10円
先週の買いシグナル1.1536から、一気に1.12台まで達して、欧州通貨の中でも出遅れ感を取り戻している。今週は更に強い買いシグナル1.1227が点灯している。 (売りターゲット1.2050〜1.2150) 過去の売買シグナルは以下の通り。1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.2075売りclose→1.2020買い→1.2094売りclose→1.1723買い→1.1642買い→1.1849買い継続→1.1640買い継続→1.1536買い
オセアニア通貨裁定取引(平均乖離幅10.00円 現状乖離幅18.15→16・30円)
先週は過去5年間の乖離幅を更新し、18.15円まで乖離幅が拡大したが、さすがに、今週は16.30円まで縮小しており、引き続き縮小待ちの状況。(ターゲット10.50〜11.50円)(過去5年間の最大乖離幅17.15円)過去の週間の乖離幅は以下の通り。15.40→13.90→10.55→12.25→9.40→10.75→9.85→9.35→10.00→10.95→11.65→11.65→12.25円→13.45円→15.35円→14.90→14.15→14.85→16.00→15.05→16.35円→17.30→15.05→18.15
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZD売りの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向へ。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円。10月は平均281円、11月第一週は281.60円、そして今週は110.70+162.45=273.15円と円高に突入。270円割れが円売りの目安。
欧州3大通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離77円 現状乖離幅73.30⇒68.90円』
先週の売りシグナル0.6964か平行線を維持している。今週も再び強い売りシグナル0.7022が点灯している。(買いターゲット0.6750〜0.6850) 過去の売買シグナルは以下の通り。0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6914売り→0.6975売り継続→0.7012売り→0.6964売り継続
ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅67.10⇒63.85円』
先週の売りシグナル1.6736から、今週はスイスの強さが目立ち、今週は先週までの買いターゲット1.6500割れなり、1.6476の買いでポジション解消に達している。(様子見)過去の売買シグナルは以下の通り。1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6655売り→1.6796売り→1.6752売り継続→1.6736売り継続
ポンドスイス『平均乖離140円 現状乖離幅140.40⇒132.75円』
先週は2.4096で利益確定売りとなったが、今週はスイスフランの上昇により、再び強い買いシグナル2.3463が点灯している。 (売りターゲット2.3950〜2.4000) 過去の売買シグナルは以下の通り。2.3435買い→2.4357売りclose→2.4463買いclose→2.4688売りclose→2.4465売り→2.4299買いclose→2.4397売り→2.3866買いclose→2.3679買い→2.3929買い→2.4126売りclose→2.3926買い→2.3890買い→2.4096売りclose
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。新外為の森 
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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