満身創痍の米ドル!ターニングポイントは1バレル100ドル&ユーロドル1.500?
大方の予想どおりにFOMCは0.25%の利下げを実施したが、表面的にはインフレリスクと景気減速リスクを掲げ、0.25%の利下げで今後の経済動向を重視するしかなかったのであろうが、利下げ余地を残しながらの苦渋の選択とも受け取られる。
金利先物・債券市場では更に0.5%の利下げを見込んではいたが、債券市場では失望売りが散見されており、急落していた米長期金利が盛り返しを見せている状況である。それだけ原油高によるインフレリスクとサブプライム題題によるクレジットリスクがマーケットを席捲している証であり、FRBの今後の金融政策の舵取りが難航する状況が垣間見られる。
▲本来ならば、インフレ対策には金融引締めが最も効果的であるはずが、信用収縮リスクが拡大する中では、自国通貨高でインフレを抑制しなければならず、ある意味では、歪みきった為替市場とも言えるであろう。原油価格次第では一変する相場展開であり、当面は株式主導の相場よりは、原油価格主導の相場に転じることも一考だろう。
昨日は週間原油在庫減少が原油価格の上昇となったが、中東情勢の悪化が背景にあり、更に新興市場『中国、インド、ロシアなど』の需要が増しており、世界経済のスローダウンでもなければ、原油価格の上昇に歯止めが利かない状況である。
いずれにしても、原油価格の高騰が収まらない限りはドル安が止まらない。そして、ドル安がある限りは原油価格の上昇も止まらない。堂々巡りの展開にブレーキをかける時期が迫っているが、その時が1バレル100ドルなのかもしれないし、ユ−ドル1.500なのかも知れない。
米経済の7−9月期実質3.9%の成長をみせているが、住宅関連の低迷が長引くため、景気減速は避けられず、来年1月の実質1%台の成長に留まる見方が大勢であるように、米経済の不透明性が増しており、今後もドル売りと円売りの連動性が強まる傾向にあるため、必然的に円キャリートレードが拡大する条件が整いだしたとも言えるだろう。但し、円キャリートレードのピーク時はドル円相場が123円台を記録したことを踏まえると、日米経済だけの比較ではドル円の上値は117円までと判断するが、それを補うほどの欧州通貨高やオセアニア通貨高の上昇力には懐疑的な見方があり、要警戒レベルである事には変わりがなく、ストップロスを多用することが賢明であろう。ドル円115円割れの買いと115円台後半の売りを勧めるとともに、ユーロドルの節目でもある1.45台の売りと1.44割れの買いを勧める。