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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

二人三脚の主体性のないドル円相場へ? 

サブプライム問題が発生してから、二ヶ月が経過しようとしているが、未だに米ドルが迷走している。ドル円と円安連動性の構図が崩れてきてはいるが、依然として、低金利政策の宿命であろうが、一人歩きできない日本の金融政策、そして、円安相場であリ、米欧の顔色を窺いながら、ただただ、待つしかないのかもしれません。
『赤福、亀田家』ではないが、善は急げ、謝罪を急げ、そして、利上げも急げですね。しかし、時は既に遅しの感は否めませんが、株暴落でもあれば、再び、ゼロ金利を目指すつも利なのでしょうか。。。。?
▲9月中古住宅販売件数が予想を下回り、最低水準まで低下し、その上、米証券大手メリルリンチの7−9月期決算が市場予測を大幅に上回る79億ドルの損失額を計上したことにより、一時はNYダウが200ドルを越える大幅な反落を見せ、米歳末商戦に向けて米消費の落ち込みが懸念されたことにより、株式市場にも暗雲が漂ったが、結果的にはNYダウは前日比でフラット化している。 来週のFOMCの緊急利下げ観測が全面に押し出され、最終的には株価に好感触をもたらした顛末であるが、金利面でのメリットと米経済のデメリットが混在しているとは言いながらも、不可解な現象が起きていると言っても過言ではないだろう。 意味不明な解釈と分析が為替相場を更に混迷させる要因であり、それが今の為替相場の難易度にも繋がっているとも言えるであろう。 

▲原油価格の高騰により、インフレ懸念が収まりを見せていない状況であり、本来ならば、トリシェECB総裁が述べているように、インフレ抑制には金融政策による引き締めが最も効果的な手段であるが、如何せん信用収縮リスクを伴う、サブプライム問題がネックになっており、正常な金融政策である利上げの選択肢が限られている状況である。
ユーロ圏及び他国でもインフレ抑制には、間接的に自国通貨高が貢献しており、インフレ防衛策の一手段となっている。 しかしながら、為替相場の推移によってインフレを一時的に沈静化させる事が可能であっても、総合的な見地からは、為替相場優先のインフレ対策は必ずしも、好ましい状況とは言えないであろう。
▲いずれにしても、サブプライム問題の収束を迎えない限りは、株式市場及び為替相場の安定には時間を要する段階であり、当面は為替相場に対する思惑的な売買が働く為、少な目のトレードに専念することが賢明であろう。
一方、中国人民元銀行が利上げを示唆しており、段階的な人民元の上昇が見込まれる為、ドル円の上値が必然的に抑えられることになり、当面はドル円115円前後からの売りを勧めるとともに、114円割れからの買い戻しを勧める。 ユーロドルも同様に1.43台の売りと1.42割れの買いを勧めるが、NY株式相場を見てからでも遅くはなく、控え目トレードで様子見を勧めるが、方向感が乏しく、攻めきれない相場展開であり、戻り期待も十分にある相場と判断して、レンジ幅を重視した戦略に妙味が増している。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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