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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

円キャリー解消と再燃の狭間?

先週はサブプライム問題の解決の糸口が見つからないままに、G’7に突入したが、為替問題に関しては、従来のように人民元の実効為替レート上昇加速を容認するよう中国に求めるなど、人民元に関しては統一見解が示されたが、英財務相が述べているようにG7での為替の問題については見解が混在しているため、ユーロ、米ドル、そして円には特に言及せずに終了した模様である。
最近の為替市場は株式市場との連動性が強いだけに、先週末のNY株式市場の大幅な下落要因が米ドル離れに拍車をかける予感さえある。米雇用統計の修正によって、一度は後退した米利下げ観測ではあるが、再び10月31日のFOMCに向けて、利下げ観測が再燃することが考えられる。相対的には、ドル全面安の状況である事には変わりがないが、得てして市場はオーバ−シュートになるケースが多く、レベル的にはドル円が115円割れを見せ、そして、ユーロドルが1.43台に乗せたことにより、ドル売りを仕掛けづらい局面ではあることも否定出来ない。 今週はもう一段の米ドル売り材料探しの場となるであろうが、ドル円110円の話題が先行しがちな相場であるが、売られすぎた米ドルの下げは限定的と見るべきであり、適宜なドル買いを実施することが望まれる。
▲G7の声明文では、世界経済のファンダメンタルズは良好とは言いながらも、米経済を取り巻く環境は好悪混在しており、楽観視は許されない状況である。先週末にかけて、米住宅関連の落ち込みは顕著であることがベージュブックにより明らかにされ、その上、個人消費や製造業にまで影響を及ぼしている。さらに米大手金融機関の決算が芳しくなく、米経済のファンダメンタルズの弱さが問われている時であり、米経済の後退を懸念する声は多く、世界経済にとっては大きな不安材料である。
今週も米中古住宅と新築住宅の販売件数が発表される為、米住宅市場の低迷が米ドル売りに追い討ちを掛けるであろうが、米経済の不透明感が原油高に繋がり、米住宅市場の低迷が成長を鈍化させる可能性高いため、米ドルの上値が重くならざるを得ないだろう。
一方、更なるドル急落となれば、原油価格が100ドルに達する可能性もあり、ドル離れと共に、世界の基軸通貨としての存在を脅かす事態にもなるが、俗に言う米国の国益である強い米ドルの真価が問われている時でもある。
▲円高が全通貨に波及しており、ドル円115円割れの段階では円キャリ−トレードの解消と見るべきであろうが、ドル相場が110円を目指す展開ではないだろう。ドル円相場の1年先物が110円を割れの状況を作り出すには、ドル円の直物(スポット)113円台半ばの円高が必要であり、それ以上の円高になるには、米金利の利下げよりも、円金利の利上げが必要になるだろう。ドル円113円台半ばからは、再び、円キャリ−トレード再燃の動きが生じる可能性は大きいであろう。 
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年10月21日(日)週末の終値ベース
今週も先週に引き続き、米ドル売りの流れが続いており、市場を取り巻く相場環境は米ドルショートに傾斜しているが、反面、米ドルの売られ過ぎが顕著であるだけに、更なるドル売りに関しては要警戒ゾーンに達している。日足チャートは米ドルの売られ過ぎを示していると同時に、週足チャートの中期的な観点からでも、米ドル売りの最終レベルに達している状況である。もう一段の米ドル売りが加速するよう展開であれば、最終段階の損切りを考慮すべきである。相対的には米ドル売りを敢行する事は控えたい水準に達している。繰り返しになるが、今の難易度を考慮すると、相関関係が強いオセアニア通貨の裁定取引や欧州通貨同士の組み合わせに注視することが賢明であろう。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1055→0.0888
(1÷ユーロドル1.4299=0.6993)−(100÷ユーロ円163.80=0.6105)=0.0888⇒ドル円114.55買い。
113円台からの強い買いシグナルが先週の弱い買いシグナル117.60に達し、118円直前では売りシグナルが点灯し、一気に円高局面になり、今週は再び買いシグナル114.55が点灯している。(売りターゲット117.50〜118.50) 過去の売買シグナルは以下の通り。116.85買い→118.30売りclose→116.65買い→118.10売りclose→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→113.50買い→115.35円買い継続→114.85買い→116.90買い→117.60弱い買い(利益確定117.80売り)
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅49.10⇒49.25円
史上最高値を更新中であり、乱高下は見られるが、先週の売りシグナル1.4175から、1.4300台まで上昇を見せているが、今週は強い売りシグナル1.4299が点灯している。中期的な週足チャートでも売りシグナルが鮮明になっている。(買いターゲット1.3450〜1.3550) 1.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3825売り→1.3476買いclose→1.3666売り→1.3875売り→1.4088売り弱め→1.4262売り→1.4140売り継続→1.4175売り継続
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅22円 現状乖離幅11.25⇒12.55円
先週は0.90台を越えて、損切りを意識した展開であり、強い売りシグナル0.9043であったが、今週は再び0.90割れを見せて、引き続き売りシグナル0.8904が点灯している。(買いターゲット0.8.250〜0.8350)0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.7967買いclose→0.8268売り→0.8422売り→0.8661売り→0.8872売り→0.9043売り
NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅26.30⇒28.90円
先週の強い売りシグナル0.7764から、急落を見せているが、今週も引き続き強い売りシグナル0.7477が点灯している。 (買いターゲット0.7050〜0.7100)
0.7473売り→0.7257買いclose→0.7643売り→0.7543買いclose→0.7972売り→0.7462売り→0.6948買いclose→0.7215売り→0.7016買い close→0.7434売り→0.7579売り→0.7609売り継続→0.7764売り
カナダドル(ドル円−カナダ円) 平均乖離幅10円 現状乖離幅−3.35⇒−4.00円
中期的なチャートでも強いカナダドルの存在を示しているが、最高レベルの乖離幅を見せており、更なる高値追いには注意を要する。パリティ1.00割れの影響もあり、先週の強い買いシグナル0.9723に引き続き、今週もかなり強い買いシグナル0.9663が点灯している。(売りターゲット1.0500〜1.0600) 1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→1.0553買い継続→1.0308買い→1.0009買い→0.9811買い→0.9723買い
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅121.85⇒120.40円
2.04台からの売りシグナルが継続しているが、先週は2.0361の売りシグナルまで下落したが、ユーロドルの影響を受けて、今週は再び上昇を見せ、強い売りシグナル2.0511が点灯している。(買いターゲット1.9800〜1.9900) 1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→1.9816買いclose→2.0282売り→2.0470売り→2.0423売り継続
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅22円 現状乖離幅18.35→16.35円
1.16台の強い買いシグナルから、先週の買いシグナル1.1849まで到達したが、再び今週は買いシグナル1.1665が点灯している。 (売りターゲット1.2080〜1.2180)  1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.2075売りclose→1.2020買い→1.2094売りclose→1.1892買い弱め→1.1723買い→1.1642買い→1.1778買い継続→1,1849買い継続
オセアニア通貨裁定取引(平均乖離幅10.00円 現状乖離幅15.05→16.35円)
この数週間は15円前後で推移しており、今週は16.35円まで乖離幅が拡大しており、安全圏に達している。現状レベルからの段階的な売買(豪ドル売り/NZドル買い)が可能なレベルである。(ターゲット10.00〜11.00円)(過去5年間の最大乖離幅17.15円)過去の週間の乖離幅は以下の通り。12.25→9.40→10.75→9.85→10.75→10.40→9.35→10.00→10.95→11.65→11.65→12.25円→13.45円→15.35円→14.90→14.15→14.85→16.00→15.05
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZDの直接取引)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向へ。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円。10月は282.20、284.30、そして今週は114.55+163.80=278.35と円高レベルに接近中。275円割れでは円売り局面。
● 欧州3大通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離77円 現状乖離幅72.75⇒71.15円』
0.69台の強い売りシグナルが継続しており、先週は売りシグナル0.6962から、今週も引き続き強い売りシグナル0.6971が点灯している。 (買いターゲット0.6750〜0.6850) 0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6914売り→0.6975売り→0.6967売り継続→0.6923売り継続→0.6962売り
ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅67.45⇒65.60円』
先週の売りシグナル1.6796から、今週も引き続き売りシグナル1.6680が点灯している。(買いターゲット1.6500) 1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6655売り→1.6796売り
ポンドスイス『平均乖離140円 現状乖離幅140.20⇒136.75円』
先週は利益確定レベルの売り2.4126が点灯したが、今週は再び買いシグナル2.3926が点灯している。 (売りターゲット2.4100〜2.42002.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.4357売りclose→2.4463買いclose→2.4688売りclose→2.4465売り→2.4299買いclose→2.4397売り→2.4054売り→2.3866買いclose→2.3679買い→2.3832買い→2.3929買い→2.4126売りclose
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。


プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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