米ドルの2極化、主要通貨 vs 有資源国通貨?
先週に続いて、米ドル安と円安のバイアスが懸念されるが、今週は米経済指標も数多くあり、G7を前にして、欧米各国の要人発言が目白押しなだけに、相場は神経質な展開が余儀なくされるだろう。先のECB理事会でも見られたが、ユーロ圏ではユーロ高がインフレ抑制に寄与しているため、現状のユーロ高を歓迎する声も少なくないが、貿易不均衡と金融政策の面ではユーロ高を懸念する声が日増しに高まっている。確かに自国通貨高により、インフレ抑制効果があると言いながらも、原油価格の高騰が続いている限りは、通貨高によるインフレ懸念払拭には限界が生じるのも事実であろう。反面、米国では米ドル安がインフレリスクを増大させるとして、利下げ論が後退する可能性を見せている。為替相場にとっては本末転倒の感もあり、悩ましい相場展開が待ち受けている状況である。
▲週末に控えるG7においては、主たる話題が信用収縮リスクと言う抽象的な問題でもあり、引き続き資金供給の面とリスク管理の強化面に注がれるる事になるが、当初よりは、サブプライム問題が沈静化の兆しがあることから、為替相場への直接的な影響は限定的との見方も少なくない。しかしながら、それ以前にECB側からのドル安並びにユーロ高牽制発言が各要人から続出する可能性もあり、緊張感が高まる相場であることには変わりがない。
本来ならばG7が終了してからの市場参加が賢明であるが、ユーロ高論議が過熱化している状況では、リスク回避の側面からは過度なユーロロングを控えたほうが賢明であろう。
▲視点を変えれば、丁度1ヶ月前は米非農業部門雇用者数がマイナス表示になり、ドル円が115円から112円前後の円高局面を迎えたが、前回の米雇用統計で修正局面があったにしても、1ヶ月足らずで5円以上の円安が進んでいる状態である。ドル円の適正レベルや輸出企業の採算分岐点がドル円115円と言われる所以でもあるが、輸出企業の実需売りが自然発生するのがドル円118円と言えるのかもしれない。
一方、米ドル自体も0.5%の利下げ実施に追い込まれ、対ユーロドルでは1.38前後から1.42台までの急落を見せており、結果的にはクロス円の急騰に繋がった形であるが、円キャリートレード志向の根強さが全面に押し出された恰好である。日銀の利上げ実施が他国の経済情勢に沿った金融政策であり、円安基調を脱するには利上げ実施以外には選択肢がないとも言えるだろう。先週の日銀金融決定会合でも日銀福井総裁からは新鮮味のある発言は皆無であり、利上げが更に遠退き、当面は欧米経済の状況と照らし合わせながらの金融政策であり、独自性には程遠い印象であるが、多少の円高局面に振れたとしても、115円の壁を再突破するには容易ではないであろう。
▲今週も株式市場を睨みながらの相場展開にもなると思われるが、今週はシティなどの米大手金融機関やIBMなどのIT産業の決算が公表され、その上に、米経済指標の中でも金融面での影響を受け易い9月米消費者物価指数、サブプライム問題の進捗状況を図る9月米住宅関連、米景気先行指数を探る米地区連銀経済報告(ベージュブック)、そして、各要人発言にも注目しなければならず、専門家でさえも、これだけ入り乱れた複雑怪奇な材料がある市場では、相場展開を読みきれないのが実状であろう。事が生じてからの短期トレードに徹し、少な目のトレードで臨む事を勧める。
*********************************
●今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年10月14日(日)週末の終値ベース
今週は米ドルに対して2極化している状況である。特に米ドルの売られすぎがカナダドルとオセアニア通貨などの有資源国通貨に集中しており、反面、円及びポンドに対しては米ドルの買い戻し傾向が見られている。本チャート上では、ユーロドルに関しては、2.42台半ばからの上値の重さを示しており、又、ドル円は118円前後ではポジション解消レベルの売りを示唆している。先週と同様に米ドル安と円安の連動性が見られるが、総じて、米ドル売りを更に敢行するにはリスキーな展開である。そして、繰り返しになるが、相対的には難易度の高い相場展開であるため、特に相関係数が高いオセアニア通貨の裁定取引や欧州通貨同士の組み合わせの動きに注目することを勧める。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
▲ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.1022→0.1055
1÷ユーロドル1.4175=0.7055−100÷ユーロ円166.70=0.6000(0.7055−0.6000)=0.1055⇒ドル円117.60円。 113円台からの強い買いシグナルが最終段階近くまで戻している。118円前後が当面のポジション解消レベルであり、先週の買いシグナル116.90から、今週は引き続き弱い買いシグナル117.60円が点灯しているが、一部利益確定売りも検討。(売りターゲット118.00〜118.50) 過去の売買シグナルは以下の通り。116.85買い→118.30売りclose→116.65買い→118.10売りclose→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→113.50買い→115.35円買い継続→114.85買い→116.90買い
▲ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅48.40⇒49.10円
先々週の強い売りシグナル1.4266から、下値トライを見せているが、1.400を割るに至らず、先週の1.4140の売りシグナルから、今週は引き続き売りシグナル1.4175が点灯している。米ドル金利がユーロ金利を上回っている時だけに、1.42台からのユーロショートに妙味がある。 (買いターゲット1.3450〜1.3550)71.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3825売り→1.3476買いclose→1.3666売り→1.3875売り→1.4088売り→1.4262売り→1.4140売り継続
▲豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅22円 現状乖離幅11.95⇒11.25円
先週のかなり強い売りシグナル0.8978から、損切りレベル0.900に乗せたことにより、一旦はポジション解消買いシグナルが0.900で点灯したが、再度今週は仕切り直しとして、0.9043の売りシグナルが点灯している。(買いターゲット0.8.250〜0.8350)
0.7917売り→0.7810買いclose→0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.7967買いclose→0.8268売り→0.8422売り→0.8661売り→0.8872売り
▲NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅27.80⇒27.95円
先週の強い売りシグナル0.7609から、引き続き今週も強い売りシグナル0.7764が点灯している。 (買いターゲット0.7000〜0.7100)
0.7473売り→0.7257買いclose→0.7643売り→0.7543買いclose→→0.7972売り→0.7462売り→0.6948買いclose→0.7215売り→0.7016買い close→0.7130売り→0.7434売り→0.7579売り→0.7609売り
▲カナダドル(ドル円−カナダ円) 平均乖離幅10円 現状乖離幅−2.25⇒−3.35円
パリティ1.00割れから、転換期を迎えているが、更に上昇を続けており、先週の強い買いシグナル0.9811に引き続き、今週も買いシグナル0.9723が点灯している。(売りターゲット1.0550〜1.0700)1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→1.0553買い継続→1.0308買い→1.0009買い→0.9944買い→0.9811買い
▲ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅121.85⇒121.85円
先々週の売りシグナル2.0470から上値が重くなっており、先週の強めの売りシグナル2.0423から下値を探る展開へ突入、乖離幅は変わらないが、今週も売りシグナル2.0361が点灯している。(買いターゲット1.9800〜1.9900)1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→1.9816買いclose→2.0282売り→2.0470売り→2.0423売り継続
▲スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅22円 現状乖離幅17.65→18.35円
先々週の強い買いシグナル1.1642から、先週の1.1778の買いシグナルに引き続き、今週も買いシグナル1.1849が点灯している。(売りターゲット1.2080〜1.2180) 1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.2075売りclose→1.2020買い→1.2094売りclose→1.1892買い弱め→1.1723買い→1.1642買い→1.1778買い継続
★オセアニア通貨裁定取引(平均乖離幅10.00円 現状乖離幅16.00→15.05円)
先週の乖離幅は16円台の安全圏に突入したが、今週も15.05円と比較的リスク限定の状況に位置している。現状レベルからの段階的な売買(豪ドル売り/NZドル買い)可能(ターゲット10.00〜11.00円)(過去5年間の最大乖離幅17.15円)過去の週間の乖離幅は以下の通り。15.40→13.90→10.55→12.25→9.40→10.75→9.85→10.75→10.40→9.35→10.00→10.95→11.65→11.65→12.25円→13.45円→15.35円→14.90→14.15→14.85→16.00
*注(クロス円の売買には円相当額を一致させること。またはAUD/NZDの直接取引)
▲単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円、第3四半期279円。
先週は282.20、今週は117.60+166.70=284.30と円安レベルに接近中。要警戒レベルへ。
● 欧州3大通貨ペア
▲ユーロポンド『平均乖離77円 現状乖離幅73.45⇒72.75円』
0.69台の強い売りシグナルが継続しており、先週は売りシグナル0.6923から、今週も引き続き強い売りシグナル0.6962が点灯している。 (買いターゲット0.6750〜0.6850) 0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6914売り→0.6975売り→0.6967売り継続→0.6923売り継続
▲ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅66.05⇒67.45円』
先週の弱めの売りシグナル1.6655から、今週は弱冠強めの売りシグナル1.6796が点灯している。(買いターゲット1.6500)過去の売買シグナルは以下の通り。1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6604売り弱め→1.6655売り
▲ポンドスイス『平均乖離140円 現状乖離幅139.50⇒140.20円』
強い買いシグナル2.36台から続いていたが、先週の買いシグナル2.3929から、更に上昇し、今週は弱めの買いシグナル2.4126が点灯している。『一部売り利益確定も検討』
(売りターゲット2.4150〜2.4200) 2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.4357売りclose→2.4463買いclose→2.4688売りclose→2.4465売り→2.4299買いclose→2.4397売り→2.4054売り→2.3866買いclose→2.3679買い→2.3832買い→2.3929買い
**************************************
各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 ★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
***************************************