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鈴木郁雄の実践・為替ストラテジー

米ドル過小評価することなかれ!日米欧トリプル安?

今週の焦点は明日FOMCの金融政策の利下げ幅に絞られるだろうが、0.25%か0.5%の利下げであるかはFOMC発表寸前まで意見が分かれるところである。 原油価格の高騰が加わり、インフレ懸念を抱える米国としては0.5%の利下げは強行できない事情がある。しかしながら、サブプライム問題に対する疑念解消と世界の金融不安を払拭するには0.5%の利下げでも不充分なのかもしれない。 
▲米国としては、サブプライム問題が更に拡大する懸念もあり、先行き不透明な米経済を配慮して、最終的には0.25%の段階的な利下げで時間稼ぎを図りたいところであろう。IMMシカゴ通貨先物市場でも投機筋の動きが停滞しているように、方向性を見出すにはまだまだ時間を要するのが現状であろう。
いずれにしても、大方は0.25%の利下げに傾いている関係上、米ドルの上値の重さが生じているが、利下げ後のバーナンキFRB議長の発言に注目しながら、ワイドレンジで対処するしか良策は無いだろう。 一方、0.5%の利下げの際には金利格差縮小が鮮明になり、米ドル安が加速する状況になるため、総体的には米ドルショートで臨むことが賢明であろう。しかしながら、米ドルショートに対する限界も生じており、あくまでも段階的な米ドル売りと見るべきであり、当面のドル安をドル円113円台、及びユーロドル1.39台半ばに設定して臨むことが必要であり、又清算レベルと一考し、ポジションの見直しを図ることが得策であろう。

▲今週はサブプライム問題を表面化させたてベア−・スターンズなど大手米証券会社の6−8月期の決算が相次いで発表される。 証券会社すべてが業績悪化とは言い難いが、株式主導の為替相場である以上は米ドルショートで臨むことが好ましいが、先週発覚した英ノーザン・ロックの被害総額は拡大しており、BOEの緊急支援によってパニックは避けられているが、欧州圏でのサブプライム問題の終わりが見えてこない以上は、先週のポンドのような急落場面を常に連想して臨むことが肝要である。

▲FOMCの後の19日には日銀金融決定会合後の福井日銀総裁の会見が注目されているが、日銀の利上げ計画が完全に埋没した状態になっており、米金利の利下げ幅に関わらず、マーケットに及ぼす影響は限定的であろう。いずれにしても、市場は債券市場の利回りが低下しているように、質への逃避(リスク回避相場)が優先されるため、神経質な相場展開が余儀なくされており、ドル安、円安、ユーロ安が共存するマーケットである。大局的な見地で遠回りに相場を観ることが賢明である。単なる相場観でもテクニカル分析でも乗り切れない相場であり、大きな動きが生じてからの始動に専念することが賢明であろう。
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今週のペットでも判る簡単チャート(事前予測実施中)
作成年月日 2007年9月16日(日)週末の終値ベース
サブプライム問題に端を発して、米雇用統計の悪化によって米ドルが利下げ局面を迎えようとしている。米ドルの軟調が続いているが、チャート上では米ドルの売られすぎの傾向が見られる。もう一段の米ドル売りのタイミングを待ってからの米ドルロングに妙味が生じている。レベル的にはドル円114円前後とユーロドル1.39台が米ドルの買い局面としては魅了的である。そして、先週と同様に注目点を挙げるならば、オセアニア通貨の乖離幅が拡大しており、豪ドル売り/NZドル買いのチャンスが到来している。15円以上の乖離幅であればリスク限定的になると思われる。各通貨別チャートは各通貨をクリックしていただければ、ご覧いただけます。
新外為の森 US$チャート(ユーロドル/ドル円)米ドル⇒買い
ドル円 ユーロから見るドル円相場 (ユーロドル⇔ユーロ円)
平均乖離幅0.1000 現状乖離幅0.0864→0.0959
1÷ユーロドル1.385=0.7207−100÷ユーロ円160.05=0.6248(0.7207−0.6248)=0.0959⇒ドル円115.35円。 先週の強めの買いシグナル113.50円から上昇を見せているが、今週も引き続き買いシグナル115.35円が点灯している。
(売りターゲット117.80〜119.80) 過去の売買シグナルは以下の通り。121.50売り→116.85買い→118.30売りclose→116.65買い→118.10売りclose→123.85売り→122.50買いclose→123.35売り→121.30買いclose→114.35買い→115.80買い継続→113.50円買い
ユーロドル(ユーロ円−ドル円)平均乖離幅40円 現状乖離幅42.80⇒44.70
先週1.3771の売りシグナルから、今週は更に強い売りシグナル1.3875が点灯している。
(買いターゲット1.3400〜1.3500) 過去の売買シグナルは以下の通り。1.2875売り→1.2511買いclose→1.3335売り→1.2875買いclose→1.3651売り→1.3368買いclose→1.3825売り→1.3771売り→1.3476買いclose→1.3666売り→1.3623売り継続→1.3771売り
豪ドル(ドル円−豪ドル円) 平均乖離幅22円 現状乖離幅(19.70⇒18.20円)
先週の売りシグナル0.8264から、今週は更に強い売りシグナル0.8422が点灯している。チャート上では安全圏の売りレベルに達している。(買いターゲット0.7850〜0.8000)0.7917売り→0.7810買いclose→0.8374売り→0.8181買いclose→0.8444売り→0.8416買いclose→0.8577売り→0.8796売り→0.7967買いclose→0.8268売り→0.8176売り継続→0.8264売り継続
NZドル(ドル円−NZ円) 平均乖離幅32円 現状乖離幅35.05⇒33.10円
先々週のポジション解消レベル0.7016から、選手は弱い売りシグナルが点灯していたが、今週は通常の売りシグナル0.7130が点灯している。(買いターゲット0.6900〜0.7000) 0.7473売り→0.7257買いclose→0.7643売り→0.7543買いclose→→0.7972売り→0.7646売り→0.7462売り→0.6948買いclose→0.7215売り→0.7016買い close→0.6912売り弱め
カナダドル(ドル円−カナダ円)平均乖離幅10円 現状乖離幅5.95⇒3.45円
先週の買いシグナル1.0553から、今週は一気1.03台にまで突入し、今週は強い買いシグナル1.0308が点灯している。(売りターゲット1.0900〜1.1100)1.1855売り→1.1596買いclose→1.1773売り→1.1379買いclose→1.1162売り→1.1078買いclose→1.0610買い→1.0679売りclose→1.0484買い→1.0647買い継続→1.0553買い継続
ポンド(ポンド円−ドル円) 平均乖離幅115円 現状乖離幅116.70→116.15円
先週の強い売りシグナル2.0282から、2.00前後まで一気に下落しているが、一部買い戻しも検討しながら、今週も引き続き売りシグナル2.0069が点灯している。
(買いターゲット1.9600〜1.9800) 1.9636売り→1.9105買いclose→2.0021売り→1.9748買いclose→1.9836売り→1.9696買いclose→2.0556売り→2.0407売り→1.9816買いclose→2.0133売り→2.0173売り継続.
スイスフラン(ドル円−スイス円)平均乖離幅22円 現状乖離幅18.00→18.35円
先週の買いシグナル1.1885からは大きな変化が見られないが、チャート上では更に強い買いシグナル1.1892が点灯している。 (売りターゲット1.2080〜1.2100) 過去の売買シグナルは以下の通り。1.2069買い→1.2194売りclose→1.2057買い→1.2270売りclose→1.2420売り→1.2223買いclose→1.2027買い→1.2080売りclose→1.1907買い→1.2075売りclose→1.2020買い→1.2094売りclose→1.1885買い
オセアニア通貨裁定取引(平均乖離幅10.00円 現状乖離幅15.35→14.90円)
先週の15.35円まで乖離幅が拡大して、今週は弱冠縮小したが14.90円の乖離幅は安全圏レベルの売買である。豪ドル売り/NZドル売りの好機が続いている。
(過去5年間の最大乖離幅17.15円)過去の乖離幅は以下の通り。
15.40→13.90→10.55→12.25→9.40→11.30→11.80→11.25→10.30円→10.95→11.65→11.65→12.25円→13.45円→15.35円
(クロス円の売買には円相当額を一致させること)
単純加算方式 ユーロ円+ドル円(275円以下は円高&285円以上は円安の目安)
過去の四半期ごとの平均は2006年度第2四半期259円、第3四半期264円、第4四半期271円と着実に円安方向。2007年度第1四半期276円、第2四半期284円。7月平均は288円。8月平均は275円と円高局面に突入。先週は269.80円と更に円高に移行。今週はドル円115.35+ユーロ円160.05=275.40円まで盛り返しており、当面は270円割れを円高、280円越えを円安として見なすことも一考である。
欧州3大通貨ペア
ユーロポンド『平均乖離77円 現状乖離幅73.90⇒71.45円』
久しく様子見状態が続いていたが、先週の0.6790の様子見から売りシグナル0.6914が点灯している。(買いターゲット0.6770〜0.6780)0.6775売り→0.6701買いclose→0.6567買い→0.6590売りclose→0.6859売り→0.6778買いclose→0.6787売り→0.6736買いclose→0.6748様子見→0.6801様子見→0.6753様子見→0.6790様子見
ユーロスイス『平均乖離62円 現状乖離幅60.80⇒63.05円』
先週の1.6366の様子見から、今週は弱めの売りシグナル1.6500が点灯している。
過去の売買シグナルは以下の通り。1.6439売り→1.6417買いclose→1.6575売り→1.6509買いclose→1.6620売り→1.6559買いclose→1.6473売り→1.6398買いclose→1.6417様子見→1.6272様子見→1.6426様子見→1.6475様子見
ポンドスイス『平均乖離42円 現状乖離幅39.20⇒37.50円』
先々週の強い売りシグナル2.4397から先週の弱い売り2.4054まで下落したが、今週はポジション解消買い2.3866レベルに達し、様子見に転じている。(様子見) 過去の売買シグナルは以下の通り。2.3644買い→2.3862売りclose→2.3435買い→2.4357売りclose→2.4463買いclose→2.4688売りclose→2.4465売り→2.4299買いclose→2.4261様子見→2.3928様子見→2.4199様子見→2.4397売り→2.4054弱め売り、一部買い戻し。
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各通貨別チャートは新外為の森ホームページよりもご覧になれますのでご参照ください。
新外為の森 http://kentish.fc2web.com
★ 本ペットチャートでは3〜4段階分散投資をお勧めしています、常に少なめからの始動をお願い致します。最終的な投資・運用の判断はご自身の責任で行って下さい。
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プロフィール

鈴木郁雄

Ikuo Suzuki

ケンティッシュジャパン代表

オーバーシーズユニオン銀行入行後、フランスの3大銀行のひとつであるソシエテジェネル銀行東京支店に勤務、外国資金本部長として20年間のディーリング経験を持ち、為替のみならず今話題のデリバティブ業務を日本に導入し、ディーリング部門を統括し、多大な成果を挙げる。01年10月為替投資顧問会社ケンティッシュ ジャパンを設立、今現在も邦銀大手ならびにロンドン・ニューヨークなどの外銀ディーラーとの親密な情報交換し、投資家心理を加えた独自の分析には定評がある。

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